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疲れたら、愛媛。-心地よさの原点-

先日、"24時間限定"の ひとり時間をもらって愛媛に帰った。

地元愛媛でやりたいことが多すぎて、会いたい人が多すぎて。何より数年ぶりの、日を跨ぐひとり時間。限られた時間をいかに充実させるか、楽しみでしかたなかった。

移動や準備、睡眠の時間を除けば、実質12時間くらいしかないのに、そこに4件の予定をぶち込むところが私らしくて、かわいい。

そして、この貴重なひとり時間で見えた「わたしの心地よさの原点」を、大切に記録したいと思った。


居心地が良い組織のひみつ

初日の夜、大学時代からお世話になっている企業の社長、社員の方と飲みに行った。お会いするのは、たぶん4年ぶり。

この企業の皆さん、ほんとうに感じがいい。会長や社長の人柄そのものといった感じで、大学時代に出会ってからずっと憧れの組織だ。
その日も、「組織の中の悪い部分もね、トップの責任なんだよ。」と仰っていて、またファン度が増した。

悪い部分を「誰かのせい」にするのは簡単だし、問題の本質から目を背けるにはもってこいの言い訳になる。けれど、そんな場面でトップが自分の在り方に目を向けられる組織って、組織内にもその思考が浸透して全体のモチベーションも高いものになる。そして、そんな組織は居心地がいい。

私たちの話題は、事業の話から子育て、オバケの話まで幅広い。濃いも薄いも共有できる、その心地よさというか、安心感は、まさに私の憧れであり目標。


「大人って楽しそう」と思わせてくれた場所

大学3年生だった私が、初めて「会社」という組織に足を踏み入れたのが、ここだった。「大人って楽しそうだな!仕事って楽しそうだな!」と思わせてくれた場所。

社長は、どんな話題でも正面から話を聴いてくれるし、的確なアドバイスをくれる。それは10年前から何も変わらない。大学生の時も、銀行員になった時も、ただの主婦になった時も、母親になってからも、私の肩書きが何であろうが関係ないようだ。

私と同じように、他の人たちも事あるごとに社長に挨拶に来るらしい。それはまさに社長の人柄あってのものなのだけれど、当の本人には全く心当たりがないようで「めちゃくちゃ嬉しいよな〜。有難いわ〜。」と微笑む。

閉店時間まで喋り倒したら、私の声帯が悲鳴をあげていた。声が出ない。24時間の自由時間と引き換えに、声を失ってしまった。(ちなみに、この日から2週間、私の声が元に戻ることはなかった。ほんとにあった怖い話。)


受け入れてくれる「人」と「器」

食事会の帰り道、顔見知りがやっているお店を「私のこと、覚えてますかー!!」と、何軒も回ったのは秘密。時間が時間だったので、どこも閉店後だったけれど、「おお!久しぶり〜!」となるのが嬉くて楽しい。(お騒がせしました!)

翌朝は、新婚の妹と喫茶店でモーニングを食べながらめちゃくちゃ薄っぺらい話をした。私たちはいつも薄っぺらい。薄っぺらすぎて、何を話したか覚えてないのだけれど(おい)、早朝の喫茶店は、そんな寝ぼけた私たちのことも優しく受け入れてくれる。

そして、中学校からの幼馴染みたちとランチ。こちらも4年半ぶりの再会だった。みんな結婚したり子どもが生まれたり、転職したりして環境は変わっていたけれど、中身は何も変わっていなくてホッとした。4年半分の近況(の反意語は何?)報告を聴くのもまた楽しい。
患者さんやそのご家族目線の看護を追求する友人の「どこで働くかじゃなくて、誰と働くか。高め合える環境が大事。」の言葉がめちゃくちゃカッコよかった。


女性でも大学生でもチャレンジさせてくれる場所

そして、自由時間最後は、地元球団の開幕戦に呼んでいただき、少しだけ顔を出した。

大学時代、まだ全国的にも事例が少なかった"長期インターンシップ生"として受け入れてくださったチームだ。当時は他球団も含めて男性スタッフがほとんどだったけれど、今は少しずつ女性スタッフも増えているようだ。

現役教員の方たちの民間企業研修の場にもなっていて、毎年、県内の学校から1年間教壇を離れて球団で働く先生がいるのだけれど、ここ数年は女性の先生が自ら手を挙げて来られることが増えているんだとか。なんだか自分ごとのように嬉しい。

男社会とか女社会とか言われる場所に飛び込むこと、それを受け入れること、どちらにも勇気や覚悟、責任が付き纏うけれど、私にとってそんな場所で働けた経験は、その後の選択にも影響が大きかったように思う。

この球団に飛び込んで、誰からも「女のくせに」なんて言われたことはなかったし、逆に女性だからといって特別扱いされることもなく、いつでも「チャレンジしてみな!」と背中を押してくれた。その環境でたくさんもがいて、自分の身の丈を思い知って、そして最後には「私はやればできるんだ!」という自己効力感をプレゼントしてくれた。

何をしでかすか分からない小娘を、どデカい器で受け入れてくださった球団の皆さんには感謝しかない。

さて、球場に着いて、もう忘れられてるだろな〜と思いつつ、恐る恐る「こんにちは〜」と言うと、「おお!!!!!〇〇さん!(旧姓)」と声を掛けてくださる皆さんとの再会に、またホッと一安心。

「久しぶりやね!これ食べ!これも飲み!」
と、相変わらずのおもてなし精神。

「おー!久しぶり!自衛隊の人と結婚して、香川に行ったんやったな!」
自衛隊の方と結婚した事実は1ミリもないけれど、結婚して香川に行ったのは正解。雑だけど愛情のある絡み。

どれもこれも、10年前と何ひとつ変わらず心地が良い。

社会人になってからは、ほとんど独立リーグの試合を観に来る機会がなかったので、知っている選手がいないどころか、すごく年上の人たちだと思っていた選手の年齢層を、いつの間にか私の歳が猛スピードで追い抜いていて、ちょっと複雑な気持ちになった。笑

数年前に甲子園まで観に行った元甲子園球児が入団していたことにも驚いた。10年以上前に在籍していた選手が、先日のWBCで大谷翔平選手のブルペンキャチャーをしていたりと、独立リーグの世界は本当に面白い。

カスカスの声で好きなだけ喋り倒して、香川へと車を走らせた。タイムリミットが迫っていた。


疲れたら、愛媛。

この歌、ほんとに実在する。
お笑いコンビ「和牛」が歌っているのだけれど、本人動画はもう見られないようなので、代わりにコチラをどうぞ。(歌は0:48頃から。笑)


愛媛という場所は、私が大学生だろうが、社会人になろうが、主婦だろうが、ママになろうが、時間が経とうが、変わらずいつもあたたかい。これがまさに「ふるさと」なのかなと思う。

ふるさとに帰りたいと思わせてくれるのも、そんな温かい人たちが、"いつものように"大きな器で受け入れてくれるからこそ。

組織もふるさとも、結局、心地よさを創るのは「人」なんだなと、改めて感じた、あっという間の時間だった。

疲れたら、愛媛。またすぐ帰るね。


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