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2022年11月の記事一覧
小説(SS) 「異世界のギョウザ」@毎週ショートショートnote #バイリンガルギョウザ
お題// バイリンガルギョウザ ※1,500字程度
気付くと異世界に転移していたおれは、特にすごい力が与えられるわけでもなく、どうしていいかわからなかったので、仕方なくそこらへんにある町の中華料理屋でバイトをすることにした。
幸いにも日本語は通じた。原理理屈はよくわからないが、コミュニケーションに問題はなかったので元の世界と同じように接客を任された。店長や従業員は、体にうろこがついていた
小説(SS) 「ダジャレを求めて」@毎週ショートショートnote #全力で推したいダジャレ
お題// 全力で推したいダジャレ
その夏、夜ごはんを食べていたら、ビールを飲みすぎたお父さんが渾身のダジャレを言い放った。
さっきまでは楽しい雰囲気に包まれていたはずの食卓が一瞬にして凍りつき、食器の音だけが響く。
静寂の中で、ぼくは思った。
この世に、笑えるダジャレは存在するのかと。
心から湧き起こった疑問を解決すべく、ぼくは旅に出た。日本全国、津々浦々、地方で生まれ地方で死に
小説(SS) 「指先の立方体」@毎週ショートショートnote #立方体の思い出
お題 // 立方体の思い出
――目隠しされると思い出す。
かつて、ルービックキューブ世界大会の決勝で、優勝したときの手の感覚を、空気を、心臓の鼓動を。
わたしの横に立つジャッジが、タイマーを押し、白い長机の上に置かれた逆さまのプラスチックコップを外す。中から、3✕3✕3のルービックキューブが出てきた。
おでこにアイマスクをつけ、耳には遮音ヘッドホンをつけていたわたしは、素早くルービックキ
小説(SS) 「音声燻製キャンプ飯」@毎週ショートショートnote #音声燻製
お題 // 音声燻製
その週末、都会を離れてひとりキャンプへ訪れた香菜は、慣れた手つきでテント設営を終えると、椅子にもたれかけて新鮮な空気を吸っていました。
するとどうしたことでしょう、いい匂いがしてきました。その香りは、隣のキャンプから漂ってきた燻煙のようでした。
あまりにそそるものだったので、香菜はストレッチをする素振りを見せながら、ちらちらと煙の方を覗き始めました。
隣のキャン