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何事も自分のペースで

息子の高校が本格的に始まったと同時に、毎朝弁当を作る日々もスタートしました。

わたしは料理については平均値程度にはできるがやらなくていいならなるべくしたくない派です。

台所に立つのが好きじゃないんです。

料理っていちいちめんどくさいじゃないですか。

だから1日1回しかキッチンに立ちたくない。

幸いなことにうちの家族は誰も朝ごはんを食べないし昼間はみんないないし、つまり結婚以来16年間、夕飯作りのためにだけキッチンに立てばよいという生活をしてきました。

しかし結婚16年目の夏、ついに息子の弁当が始まったのです。

わたしは朝7時から毎朝卵焼きを作る生活を余儀なくされることになりました。

つらい、超つらいです。

もともと朝スッキリ起きれるタイプではない、むしろ寝起き最悪という有様なので、起きて1分後には卵をジュワ〜と焼くのがもう、とにかくしんどくてしんどくてたまりません。

卵焼いてはいるけど頭はぜんぜん起きてない。

ほぼ目を閉じたままウインナー切ってます(危険)。

なるべく覚醒したくないんです、だってこのあとまた寝たいじゃないですか。

でも卵焼き作って、ウインナー焼いて、昨夜のおかずをチンして、米をつめて、あと弁当箱的に足りないスペースに冷凍食品どれいれようかな〜とか思ってるあいだに勝手に目が覚めちゃうんですよ!!

息子に弁当渡す頃には完全に「おはよう」といった感じです。

つらい。

わたしは遠足などのイベントのときですら弁当のために早起きするのがほんとにイヤだったので、保育園〜小学校〜中学校と給食のある環境に息子がいてくれたことは超ラッキーだぜ!!イェイイェイ!!と思って生きてきました。

高校受験にあたり息子の選択には何の干渉もしなかったのですが「できれば給食のある高校に行ってくれないかな」とはちょっと思ってました。そしてもちろん給食完備の高校(そもそもそんな高校ない)に息子は行かなかったわけです。

それでも今年はコロナの休校措置で弁当作りをずっと免除され続けてきました、それも超ラッキーだぜ!!イェイイェイ!!と自分の幸運をかみしめていましたが、そんな日々も過ぎ去り容赦なく早起きする毎日が始まったというわけです。

ほんと朝起きるのつらい。そして朝起きた直後にキッチンに向かうのが超つらい。

しかし弁当を忘れたら息子に迷惑がかかる、という責任感はねぼすけのわたしを必ず起動させます。

マジで寝るの大好き、二度寝三度寝なんてお手のもの、なんなら目覚ましにも地震警報にも気づかないことやまのごとしのわたしですが、弁当のプレッシャーだけはどんなに眠くても、自分を布団から出してキッチンに向かわせます。

この感覚、新生児の頃の育児を思い出します。

あの圧倒的寝不足感のなか、どんなに地獄のように眠くても、赤ん坊が泣いた瞬間に必ず目が覚めて駆けつけてしまうあの感じ。

なつかしい(くない)。

そうわたしは、強い責任感で弁当を作ってるだけです。

やっぱり母親って母性じゃなく、責任感と訓練で出来上がってるんだなと思います。

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努力の記録。

さて、こんなに毎朝がんばって、眠気とたたかって作った弁当ですが、息子はただの一度も学校で食べてきたことがありません。

弁当に一口も手をつけることなく、フタすら開けることなく、朝渡したのとまったく同じ状態で持って帰ってきます。

「なんか、緊張して食べれないんだよね😆」

そして家に帰るなり弁当をチンして、おなかすいたーと言いながらうれしそうに完食するのです。

弁当が始まってから毎日です、毎日息子は、朝渡した弁当をカバンにしまったまま帰宅し、家に着いて再び取り出して食べ始めるという生活を毎日しています。

いやいやいや。

いやいやいやいやいやいやいや。

ウソでしょ。

こいつ大丈夫か。

息子を呆然と見つめながらこう質問するしかないわたし。

「おなかすかないの???」

「すかない」

高校生の男子が朝から夕方まで1日学校にいて、一口もモノを食わなくて平気などということがあるんですか。そんな高校生いるのか。

「・・・そしたら昼休みとかなにしてるの?」

「えっ友達とふつうに話してるけど」

「お友達に、おまえなんで弁当食わねえのとか、聞かれない?」

「聞かれる」

「なんて答えるの」

「おなかへってないからって」

どうしようもしかして貧乏な家の子と思われてたら。

いやこっちは毎日弁当持たせてるんです、貧しくて作れないとかじゃないんですぅー!!!!親がネグレクトしてるんでもないんです、わたし毎朝作ってるんですぅー!!!!がんばって起きて作ってます誤解はやめてーーーーーーー

などと会ったこともない息子の友達にテレパシーを送ってしまいました。

ほんとに息子は変わり者です。

まあでも、本人が平気と言うんだから、いっか、と思います。

慣れない環境で食べれなくなるってよくあることですからね。

ときには体育とかもあるのでさすがにおなか減りすぎて倒れないのかという心配はありますが、ほんとにきつかったら倒れる前に自分で判断して食うだろうし、無理矢理食べて来いとは言いません。

どっちにしても帰宅してから全部食べてるので、本人に任せることにしました。

息子であっても自分以外の他者の生理的な感覚については本人の好き嫌いを優先すべきと考えます。

そもそも彼は赤ちゃんのときから食が細かったし、霞でも食ってんのか、お前は仙人か、というツッコミを何度入れたかわからない。

食べない息子の最大の特徴はめちゃくちゃ健康体であるということです。

小柄でごはん全然食べないのに、数年に一度たまにインフルにかかるくらいであとは保育園〜中学校まで病気ゼロ、ほぼ皆勤の出席率。

世間的にはよく食べることが良いことで、子どもにたくさん食べさせるのが良いことと思われてるけど、そうじゃない子もいる。

そもそもわたしも食の細い子どもでした。

ちなみに夫に話したら、なんと夫も高校生のとき学校で弁当を食べなかったそうです。

「大丈夫、1年生の間だけだった、そのうちお腹すいて食うようになるよ、オレもそうだったから」

という彼の言葉が心強い。

というわけで見守ることにしました。

そんなわたしの「きみのすきなんでええんやで✨」という全受容の瞳に何を勘違いしたのか息子は、スゴクいいことを思いついたという満面の笑顔で言い放ちました。

「そうだ!!もう弁当作らなくていいよ、だって学校で食べないもん」

まじかよ!!!!

ついに高校生になったからって弁当作り覚悟してたのに、もう作らなくていいなんて超ラッキー!!イェイイェイ!!朝起きなくていいじゃんやったね!!

ってなるわけないだろ!!!!!!!

「だめだめちゃんとお弁当は毎日持っていってよ、なんかのタイミングで食べたいって思ったときになかったらやだからさ、無理に食べなくていいけど持ってはいってね、お守りみたいなもんだよ」

というわけで、しばらくはこのように学校でフタすら開けられることのない弁当作りが続きます。

毎日めちゃくちゃ眠いけど、今朝なんて眠すぎて油のかわりにしょうゆをフライパンにたらしてスゴい煙と香ばしさを発生させてしまったけど、そうやってウトウトしつつも息子の弁当は作っていこうと思います。

今日も息子は朝持たせた弁当を、いまごろうれしそうに食べてます。

その顔を見れるだけでじゅうぶんです。

#日記 #エッセイ #お弁当 #高校生 #子育て #食 #マイペース



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