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京散歩-東山

お昼から京都ポルタで催されていた「マチマチ古本通り」へ古本狩りに。辻邦生、澁澤龍彦、稲垣足穂などなど手中に収める。映画史の文庫を除いた四冊、すべてマヤルカ古書店の値札であった。

地上へ出てからは塩小路通を東へ進む。行き先は養源院。昨年も同じような時期にここらを訪れ、三十三間堂に智積院なぞ巡ったが、当時は拝観が休止されていたと記憶している。

黒猫が数匹

ここ養源院は「宗達寺」とも称され、その名の通り俵屋宗達筆の杉戸絵、襖絵が複数所蔵されている。獅子図や白象図に関しては、図録や画像では幾度となく目にしていたけれど、実物は勿論はじめてであった。視界いっぱいに収まる獅子なり象なりにはある種の感動を覚える。

原色日本の美術14「宗達と光琳」より

忘れてはいけないのが、こちらも有名な血天井。関ヶ原の前哨戦である伏見城の戦いにおいて、落城の際に自刃した徳川家家臣。その血が染み込んだ床板を天井として転用していると伝わる。手形や人間の輪郭をも見て取れるのだから、これは不気味なほどに生々しい。

さて、腹拵えを済ませて。紅葉も見上げながら東福寺境内を通り抜け、同塔頭の光明院へ。重森三玲作庭の「波心庭」で知られる。躑躅の刈込は雲として空へ連なり、大海には秋の虹が落つる。水の音だけが響く。

内部の意匠も大変愉しく、モダンな試みと伝統の文脈とは仲違いを決して起こさぬ。写真を数枚。

と、こんな具合で。紅葉は散りきっておらんだった。兎にも角にも本を消化していかねばならん。まだ秋であろうから。

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