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「ヨーロッパでは傘を刺さない」は本当か否か

ロンドンに来て、私がまず驚いたのは、街中で傘を刺して歩く人がほとんどいないことだった。これは、日本に住んでいるとよく耳にする「ヨーロッパでは傘を刺さない」という話が、実際にはどうなのかを肌で感じることができる体験だった。

私も以前は、欧米の人々が傘を使わないという話を聞いたことがありました。彼らは少々の雨など気にせず、傘を使わないのだという。しかし、それは単なる異文化の話に過ぎず、具体的にその理由を深く考えることはありませんでした。ロンドンに来てみて、その理由が実際に体験としてわかってきたのです。

まず、ロンドンの雨は日本の雨とは全く違います。日本の梅雨時期のような、しとしとと一日中降り続く雨や、夏の夕立のような急激で強烈な雨は、ロンドンではあまり見かけません。もちろん、雨が降る日は多いのですが、そのほとんどが「小雨」と言っても過言ではないほどの控えめなものです。軽くパラパラと降る雨や、肌に感じるくらいの湿度があるだけで、傘を刺す必要がないと感じることが多いのです。

ロンドンでは、少しの雨なら気にせず歩き続けるというのが一般的です。街の人々は、フードを被る程度で十分で、傘を持ち歩くことすら面倒と感じているようです。さらに、ロンドンの風は強く、傘が風にあおられて壊れてしまうことも多いため、傘を持つこと自体が実用的ではない場面も少なくありません。

また、ロンドンの天候自体が、雨が長時間降り続けることが少ないことも関係しています。降り始めてもすぐにやむことが多いため、「傘を刺すほどの雨ではない」と多くの人が考えているのかもしれません。こうした天候の違いを知ることで、日本での「雨が降れば傘を持つ」という常識が、ロンドンでは通用しないことに気づかされます。

この体験を通じて、私が感じたことは、「文化の違いは気候の違いにも深く関わっている」ということです。日本にいると、雨が降ればすぐに傘を刺すのが当然と思ってしまいますが、これはあくまで日本の気候に適応した行動に過ぎません。ロンドンのように、雨は降るけれど傘を必要としない程度の小雨が多い場所では、傘を刺す行為自体が過剰に感じられるのです。

ロンドンで傘を使う人が少ない理由は、ただ「傘を使わない文化」という一言では片付けられないものでした。実際には、ロンドンの気候や天候パターンが影響しており、そうした自然環境に人々の行動が適応しているということなのです。日本に住んでいると、どうしても自国の常識で物事を捉えがちですが、環境が違えば常識も違うということを、この「傘を刺さない」という経験を通じて強く実感しました。

さらに、この話は「適応」という観点でも非常に興味深いものです。人は自分の住む環境に自然と適応していく生き物であり、行動や習慣はその土地の気候や文化に応じて変化していきます。ロンドンでの生活を始めてわずか2週間ほどで、私自身もまたその適応の一部を経験しつつあると感じました。最初は傘を持ち歩いていましたが、今では小雨であれば傘を持つことなく外出するようになりました。これも、ロンドンという土地の環境に対する一種の適応の一例です。

こうした異文化体験を通じて気づかされたことは、私たちはつねに「自分の常識」に縛られているということです。しかし、実際にその常識が通用しない場所に行くことで、新たな視点や行動を学ぶことができるのです。ロンドンでの傘に関するエピソードは、その一端に過ぎませんが、これからも異なる文化や環境に対する理解を深めていくことが、私自身の成長につながるのだと感じています。

この記事を通じて伝えたかったことは、私たちが住む場所や気候によって、日常の行動や習慣がどれほど異なるかという点です。そして、その違いを知ることが、異文化理解の第一歩であり、私たち自身の成長に不可欠な要素であるということです。ロンドンでの生活を通じて感じたこの「傘を刺さない」という文化的な違いは、単なるエピソードにとどまらず、私たちの固定観念を打ち破り、新たな視点を得るための重要な経験でした。

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