「母性」の鈍い赤

感想書こうと思って温めてたら、いつの間にか
公開してから少し時間が経っちゃった。


少し前から、湊かなえさん原作の作品、ということで
楽しみにしてました。

母と娘の異なる証言、事件は何故起きたのか。

2人の視点から同じ出来事を少し繰り返して見返すんだけど。
母からの視点と、娘からの視点。
同じ内容のはずなのに、受け取る側にとっては
どう映るか、っていうのが違っていて面白かった。

「愛能う限り」

なかなか日頃聞くことがないけど、「愛能う」
ってどんな意味だろうと思ったら
「できる限り、可能な限り」って意味らしくて。
この意味を知ると、また違うように受け取れるというか。

できる限り、愛情をかけて、育てた、と。

ただ単純に母親が娘に対して、無限の愛情を、と
いうよりは、自分が与えられる愛情のうち
可能な限りの愛情を持とう。と思っちゃって。

それも、この母親が、自分の娘にとって
母親になりきれなかったからそう受け取れるんだな、と。

母親に愛して欲しかった娘。
そんな母親もまた、いつまでも自分の母親のむすめでありたかった。

依存とも取れるほど、自分の母親褒めてもらおうと
全て行動してきたし自分が好きじゃなくたって
母親が気に入った絵を描くから、と同じ絵画教室の男性と結婚した。
いくら母親と仲良くても、そこまでするか、と。
思っちゃうのが普通なのかな、それとも、そこまで
母親に対して愛を持つことが普通なのかな。

この家族のあり方はこれでいいのかな、なんて。
思ったりもして。

確かに、母親も大切だけど、自分の子供ができたなら
やっぱりその子を一番大事に思ってあげるべき
なんじゃないかと思うことが普通なのかわからないけど。

まだ私には子供いないし、結婚もしてない。
だから、いざ私がそうなった時、母親にちゃんと
なれるのかな、って同時に不安にもなる。

母親のあり方に正解があるのなんてわからないけど
私が母親になる時、どうなってるんだろうって
ちょっと怖くなった。
自分のことを先に考えてしまうんじゃないか
子供を後回しにしてしまうんじゃないか。

今の自分の生活を考えると、想像できなくて。


あと、なんと言っても、役者さんがやっぱり凄い。

戸田さんの母親に、気持ち悪い、とか言われたら
戸田さんの娘でもないのに、自分の母親に言われてる
みたいで少し傷つく。笑

永野芽郁ちゃんは、健気に頑張って母親に愛されようと
してるんだけど母親に言われるたびに傷つく顔が切なくて
胸を締め付けられまくってた。

義母役の高畑さんは、あんな役をやると、本当に
素晴らしいくらい憎まれ役になってて、やっぱとても
凄い役者さんだな、って再認識する。
そこまできついこと言わないでもいいのに、って
思うんだけど、あんな風に演じてくれるからこそ
主役が引き立ってんだな、って驚いた。


映画を楽しみにしてたから、原作見てなかったけど
見てよかった。面白かった。


でも、次こそは明るい映画見たいなぁ。笑
毎回思ってるし、ラーゲリ見ようと思ってる場合じゃ
ないんだけどね。


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