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時限爆弾のようなマンガが生まれる!?マンガの未来を描くCANDL【後編】

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マンガ家としてデビューしたとしても、マンガをつくることで生活ができる人はほんの一握りしか存在しない。なぜならマンガで食っていくための稼ぎを得るまでには多くの場合時間がかかるからだ。

株式会社TART行っている実験プロジェクト「CANDL(キャンドル)」は、そんな未来を3つのポイントから変える可能性がある取り組みだ。

前半ではマンガの読者目線でCANDLがどんな可能性を持っているのかを紹介した。後半では、マンガ家目線でどんな未来が待っているのかを紹介する!

■第1の未来:マンガ制作チームの再定義!

CANDLができることのひとつに、マンガの印税などを受け取る権利を売買できる、というものがある。

これをうまく活用すると、会社のストックオプションのような使い方ができるようになる。ストックオプションとは、会社のために働いてくれた人に株を渡すことを言う。

例えば、優秀なマーケティングをする人に対して、労働の対価の代わりに印税を受け取る権利を渡す、といったことができるようになる。するとマンガ家は連載を始めた初期のうちから、優秀な人材を自分のチームメンバーとして迎えることができるようになるのだ。

■第2の未来:中古の売買もマンガ家の収益になる!

現代の日本では、中古でマンガを売り買いしてもマンガ家の懐にはお金は入ってこない。

しかしCANDLはブロックチェーンを使ってマンガに関する全ての取引を記録することができる。つまり、中古で売り買いしてもちゃんとその売上を誰が受け取る権利があるのかを記録しておくことができるのだ。

そのためマンガ家にとって中古で売れた場合も収益につなげることができるようになる。
これは貴重な収益源が一つ増えることに直結する。ありがたい!

と、ここまではマンガ家にとっての「稼ぎ」に注目してメリットを紹介してきた。
最後3つ目は、マンガ家と読み手にとっての面白さに直結するメリットを紹介しよう!

■第3の未来:まるで時限爆弾のような仕掛けをマンガに込められるようになる!

CANDLが描く未来の中で編集部がいちばんどよめいたのは、今までは絶対に不可能だった仕掛けがマンガの中にできるようになる、という部分だった。

CANDLはマンガに関する全ての取引を記録する、ということは…
そのマンガを読む権利が何回売り買いされたのかを記録できる、ということでもある。

なので例えば「100回目に転売されたらアンロックされる物語」を作ることができるようになったりする。
他には「全巻を揃えたら初めて読めるエピソード」を作ることもできるようになる。

今までは発表されたマンガの中身は基本的には変えられることはなかった。変わったとしてもごく例外のようなものだった(差別用語が消される、とか)。

しかしCANDLは、これをもっと自由に設定できるようになる。
それは今までにないマンガ体験を僕たちにもたらしてくれることになるだろう。

■まとめ
実証実験プロジェクトCANDLははじまったばかり。しかしCANDLが描く未来は、確実に僕らのマンガとの暮らしを面白くしてくれることだろう。

マンガを読む側にとっては、好きなマンガを応援する選択肢が増える未来。
それは同時に、僕らのマンガの楽しみ方の幅が広がる未来でもある。

そして、マンガ家にとっては、製作チームを作りやすくなったり、中古で売れてもマンガ家に還元されたり。さらには、今までにない面白い仕掛けをマンガの中に埋め込むことができるようになったりする。

もしかしたら未来、手塚治虫の登場がマンガの世界の一つの区切りを生んだように、CANDLというプロジェクトの存在が新しいマンガの世界のいちページを生み出すかも知れない。

これからCANDLが描く未来に注目だ!


漫画構成=鴨 修平(@kamo_syuhey)
取材・文=齋藤商店(齋藤和輝)
編集=井田(@ida_pei)

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