見出し画像

【IntegriCulture】細胞培養でアイドル牛爆誕⁉誰もがオリジナル肉をデザインする時代へ【後編】

あかむら後編_005

あかむら後編_006

あかむら後編_007

あかむら後編_008

前編ではインテグリカルチャーが生み出した「純肉」と、低コストでの細胞培養を可能にした「CulNet™ System」について紹介しました。培養肉が一般に浸透した未来では、私たちの食卓はどうなっているのでしょうか?

■畜産農家のシゴトはどうなるの?

お話を聞いていてひとつ気になったんです。
それを羽生社長にぶつけてみました。

培養肉とリアル肉で食肉市場のシェアを仲良く分け合えるならいいですが、安くておいしいなら培養肉がどんどんシェアを奪ってしまうのでは?
「畜産農家の人が失業しませんか?」

羽生社長の回答はこう。
「畜産農家さんも培養肉を作るようになりますよ」

…!?!?
どういうことでしょうか…?詳しく聞いてみました。

「培養肉に必要なのは、動物の細胞です。つまり、動物を屠殺する必要がないということ。培養肉を食べながら、その動物が生きている姿を見ることもできます。特別に美味しいお肉を作らせてくれる動物がいたら、ブランド化することもあるでしょう」

つまり…
「キュートな瞳、とろける脂身!あなたの食卓彩ります、ベコです♡」
みたいなアイドル牛が生まれるってこと!?

畜産農家にはそれだけ多くの動物がいるため、人気の牛の細胞を管理し、市場へ振り分ける「芸能事務所」のような役割をもったり、さらにおいしいお肉になる細胞を新しく創り出したり…といった可能性があるそうです。

画像1

(出典:Shojinmeat Project)

■家庭用培養システムでオーダーメイドな肉づくり

羽生社長はこの培養技術をインテグリカルチャーだけで独占せず、より小型化・省コスト化して一般家庭でも利用できるようにしたいといいます。

「家庭でも肉が作れるようになれば、好きな種類の肉を組み合わせたオリジナル肉を作ることもできますし、『味や食感は牛肉だけれど、脂は魚のもの』など健康状態に合わせてお肉をデザインできるようになります」

なるほど!しかも多くの人がお肉を作るほど、新しいノウハウが生まれてお肉はさらにおいしくなっていく、よい循環が生まれるんですね。培養したお肉のブレンド比率なんかで流行も生まれそうです。

培養肉なら菌の心配も少ないし、牛ユッケや鶏レバーもまた食べられるようになるかな…期待。

■培養プラント、宇宙へ飛び出す

最後に、羽生社長の思い描く未来について聞いてみました。

「宇宙で培養プラントが稼働することでしょうか。例えば火星や、冥王星なんかもいいですね。宇宙飛行士が食べる食事はまだレトルトが多く簡素なものですし、地球から生きた牛を持ち込むことは難しい。でも、細胞培養技術が進化し続ければ、宇宙で細胞を育てて肉にして食べることができるようになります。もちろん植物なんかも培養できますし、宇宙の可能性は非常に大きいと感じています」

地球にはもう土地がなく、動物の飼育スペースが限られています。宇宙の培養プラントで肉をつくり、限界に達している地球上の畜産機能を補うことができれば、食糧危機を脱する大きな一手になりそうです。

【まとめ】
培養肉は単に天然肉の代替品になるのではなく、ひとつの食文化として人々の価値観を変える可能性を秘めていることがわかりました。
より自由に、自分に合った形で人々が食事を楽しめるようになる未来。食糧危機への打ち手であるとともに、今よりさらに豊かな食の未来を感じさせる細胞培養肉の存在、これからも見ていきたいと思います。

※インテグリカルチャーのスピンオフ元の同人サークル"Shojinmeat Project"では、一般家庭でのDIY細胞培養技術を開発し、公開しています。

漫画=あかむらpixiv
取材・文=藤堂真衣(@mai_todo
編集=中嶋駿

👇SNSも随時更新中👇
編集部Twitter:@if_comic
編集部Facebook:ifmanga
編集部Instagram:ifmanga

この記事が参加している募集

スキしてみて