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短歌

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短歌 冬の日々

恋しいと言えぬからこそ尚のこと惑ふ想ひの深まりゆく夜

月のみが話し相手の冬の夜に悲しきこころ抱く己かな

懐かしき日々がこころを苦しめてあの幸せのただ眩くて

言葉遊び短歌series

愛といふ生きてゆくなら美しき得もいわれぬもの贈りたき君

悲しみの記憶の彼方暗闇を消し去る清き声を届けむ

坂の上静かな風の過ぎてゆく迫り来る冬傍には貴方

頼りなき地を踏みしむる月の夜手を取り合ひて溶けてゆきたし

懐かしき楡の木陰の温もりに猫の親子の長閑なる日々

儚くも広がる雲の吹き過ぎて平野に添ひし北限の空

眩しきは峰より落つる紫の巡り逢ふ陽と朦朧なる月

柔らかな命の泉豊かなる縁を結ぶ

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虹

秋の空かかる虹には鮮やかさ儚さもまた秘められてをり

普段見る同じ空には虹があり魅せられ求む違う何かを

光には美しき色混ざり合ひ気づきを吾に与へゆく空

この虹を君に見せたしこころにも美しき虹届けと願ふ

虹と言ふ優しきものはいつからか人に幾多の癒しもたらし

夢の中生まれし虹は空を越え希望の中へ落ちて消え去る

虹は神与ふ光の贈物悲しみを消し喜びにかえ

信じたきものを信じてよきかなとあの虹吾

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蛍

2015.6.19
#俳句

蛍舞ふ草原二人歩く宵

蛍たち儚さゆらり魅せて舞ひ

蛍火や闇夜の星の美しき

夏に見ゆ希望の灯蛍舞ひ

まぼろしよ蛍こころに灯をともし

ささやかなぬくもり蛍運ぶ宵

ふわり灯がともり揺らめき蛍舞ふ

星降る夜空に恋して蛍舞ひ
#短歌

さ迷ふは夏の蛍の優しさに惑ふ吾らの悲しき記憶

舞ふ蛍託して放つ吾がこころ君の傍へと灯を置いてゆく

短歌 memory

2015
6/16
吹く風を追いかけ花の在処へと みちびかれゆく夏の陽のもと

6/9
月と星何処へ向うか夏の宵 小舟漂ひ光を受けて

雨続き思ひ描くは陽の光 受けて輝く虹の行く先

6/8
雨音と涼しき風に包まれし 夜の静けさ夏薫る刻

6/6
一日が終わるこの時寄添ひて眠りが君を包みゆくまで

雨に濡れ色移ろはせ四葩(よひら)咲き優しき風情こころ和ませ

戻りたいけれど戻れぬあの日々は遠

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図書館連作series 夏の恋

1住まう家 さがすがごとく 吾がこころ
君との刻を 求めゆく夏

2晴れ渡る 明るき空の 穏やかさ
眺めているか 君もこうして

3淡き蒼 空に溶け込む 初夏の朝
このやさしさを 君に見せたく

4君の名を 探して過ごす 朝の刻
なぜにこれほど 愛しく想ふ

5変えられぬ 過去を思へば ただ一人
佇む朝の 切なきことよ

6溢れくる 明るき陽射し 受けながら
君を恋しく 想ふこころよ

7君からの

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短歌連作series 春に詠む

短歌連作 「春に詠む」三十四首 2015年春

空眩し 軽きめまいに 襲われて 視線の先に 吾が影が伸び

影が落ち 光も落つる 月夜には 水面に静か 二つ目の月

朧なる 月の息づく 春の夜に とけて流るる 光の雫

息づくは 月の兎の 優しさで 夜を駆け巡る 吾が物想ひ

夜半に咲く 虞美人草の 想ふ場所 愛しき人の 生きてゆく場所

朱に染まる 朝の道には 風に揺れ 肩を並べて 進みゆく

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