【第17回】 コトバの宇宙の法則を知ろう!
新シリーズ開始
今回から新シリーズ「マンダラを"ふかめる"手引書 -Level3.0-」が始まります。
このシリーズでは、これまで学んできたマンダラツールの知識と技術を活して、わたしたちが普段から"慣れ親しんでいるこの言葉の世界"を、マンダラ宇宙(コトバの宇宙)で具現化していきましょう。
マンダラツールの使い方はこちらの記事(第1回~第16回)をご覧ください。
1. わたしたちが慣れ親しんでいる"この言葉の世界"とは?
この記事を読んでくださっている方はおそらくみなさん日本語人だと思いますが、私たち日本語人が当たり前に使っている言葉でも、いざ異国の人たちにその意味や特徴を伝えようとしたときに苦労したことはありませんか?
海のない国に住む人達に"津波の脅威"を伝えたり、
砂漠に住む人達に"四季の変化"を伝えたり、
インド人に日本のカレーの"美味しさ"を伝えたり、とか。
最近はインターネットやAIのおかげで、情報共有はずいぶんとスムーズにできるようになりましたが、どこかまだ"本質的なところ"が伝えきれていない、感じはしますよね。
これがいわゆる、”言葉の壁”というやつですね。
この”言葉の壁”の正体は、単に、見たことがないから、体験したことがないからといった単純なことではなくて、実は、その言葉によって想起される"過去の記憶"や"感覚"、"知識"や"認識"、"推測"や"期待"など"人間の思考活動"に伴うさまざまな"付帯情報/イメージ"の相違が大きく関わっているのです。
ですので、この”言葉の壁”は、こうした国や地域だけではなくて、当然、時代を超えても起こりますし、普段一緒に生活している身近な人同士でさえも十分に起こりうるのです。後者の方が外国人の例よりもピンとくるかもしれませんね。
普段私たちは、こうしたいろんな"思考の壁"に仕切られた「狭い言葉の世界」のなかで、なんとかうまく暮らしているのです。
2.「広い言葉の世界」=「コトバの宇宙」
では、「広い言葉の世界」って一体どこにあるのでしょうか?
どうすれば「広い言葉の世界」がつくれるのでしょうか?
それこそが、"コトバの宇宙"、すなわち"マンダラ宇宙"であり、そこには先人たちが伝え遺してくれた"マンダラ/曼荼羅の智慧"があるのです。
それは、なぜか?
マンダラで表現される"コトバの宇宙"には、「広い言葉の世界」を実現するための2つの重要な"コトバの法則"(=言語哲学)があり、そこには、私たちが自由な言語活動をおこなうために必要な"コトバの道具"(=文法原理)が備わっているからです。
3. マンダラ宇宙を支配する"2つのコトバの法則"
マンダラ宇宙を支配している”コトバの法則”は、「① コトバがもつ能力」と「② コトバがもつ構造」の2つに組み込まれています。
① コトバがもつ能力
マンダラ宇宙のコトバは、「意味 = 対象 = 事物」を"一体"として表現することができる。
② コトバがもつ構造
マンダラ宇宙のコトバは、「字音 ∈ 単語 ∈ 文」の構造をもって表現される。
※ ∈ 要素記号: a ∈ A(aが集合Aの要素である)
これら2つの"コトバの法則"は、日本語でも英語でも、ネパール語でも何語であっても適用することができる法則です。それゆえ、この法則に従って表現されたコトバは、国や言語や時代の違い("言葉の壁")を超えて使用することができるというわけです。
4. コトバの世界/宇宙とは
この「銀河まんだら村」では、「コトバの宇宙」とか「コトバの世界」、「マンダラ世界」、「マンダラ宇宙」といった不可思議な言葉が頻繁に出てきますが、これらはすべて同じ意味です。
"コトバの宇宙のコトバ"とか"マンダラ宇宙のマンダラ"という言い方では語呂が悪いので。
そして、この"コトバ"というのは、上記で示した"コトバの宇宙の法則"に則った言葉や言語、そして"言語思考活動"そのものを指しています。
また、「世界」と「宇宙」という単語もよく入れ替わりますが、これらも同義で使用されています。意味合いとしては英語の[ realm(レルム)]という言葉が一番近い感じです。
ちなみに、平安時代より日本に伝わる「両界曼荼羅図」は英語で[ The Mandalas of the Two Realms ]と訳されています。
5. "コトバの宇宙"を深めるための参考図書
コトバの宇宙/マンダラ宇宙についてさらに興味のある方は、これらの書籍を参考にしてみてください。
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