接着サバンナ

「もういいからしちゃおうか?」
「うん」

スミと布団の中で抱き合う。団子虫みたいに丸まって。
スミ、やっぱり実際テキなんだから……と思いつつ、スミがその気でしようとするのに、俺は体調のこととか気にしてか、気取られないようにスミのからだを避ける。

キスも朝起きたばかりで唇の端の臭いのを、わざと左右に顔を振って擦りつけてきて、ベロベロ舐めてくるけど応えない。
スミは絹のパジャマを着ていて、紫のアサガオのしなんだような柄。

「何だ、しないのか」

とみるや、やっぱりといった落胆の仕方、スミはわかったように諦めて消える。
すると、スミが寝ていた向こう側、ちょうど溝の淵になっていて、コンクリのダムの堤防の溝の下の方を見ると、

サバンナ。
木陰にゴムの卵が三、四つ見える。

あれ取ればやったもん勝ちだ。協力してあげよう。集めるの。
あれは俺がガバッて振って散らばっちゃったやつ。スミの欲しかったもの。
だから俺が集めれば報酬もね、期待できるんよ。そうだよね、スミ?
辺りには、スミのあきれたような感情の余韻が残っているけど姿なく。

下に下りて、見当つけたところに行くがない。もっと先だったかな?
しゃがみつつ進んでいくがない。有り得ない。

どうしよう、と思ってパイナップルのようなトゲトゲした熱帯系のトーテムポールのような植物に寄り掛かると擬態で、二頭、ギンと目を剥いて動く。ひし形の赤黒い縁取り。

これは関わるとまずいなと、上に急ぎ駆け上がろうとすると一頭が、じわり、じわりと狙いをつけて迫ってくる。あせり、上がろうとするが、からだが這い上がらない。不安定な砂地。傾斜の下がったところ。

ズム。

頭部が密着するくらいまで迫られ
ヌラヤーを突き刺される。

ここでのひとつの接着ミスで
取り返しのつかないことに

接着剤プラモの はなにならしてやろうか?
くっついたらおしまいだ

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