見出し画像

問題集の解説で学ぶ?応用が効く例題の使い方 【理解コントロール 実践編】

今回は「問題集の解説で学ぶ?例題の効果的な使い方 」というテーマでやっていきたいと思います。今回の記事は「理解コントロール 実践編」です。

勉強力
(1)自信コントロール : どれぐらい学ぶことに自信があるか?
(2)興味コントロール : どれほど学ぶ内容に興味があるか?
(3)実行コントロール : どれほど集中して学ぶことができるか?
(4)理解コントロール : どれほど深く学ぶことができるか?【今回】
(5)持続コントロール : どれほど長く学ぶことができるか?

それでは、やっていきましょう。
受講生からの質問です。

来月の模試に向けて、現在数学を勉強しています。10点アップが目標です。しかし、授業で聞いて分かったつもりになっても、いざ問題集を開いて演習に取り組んでみると、手が止まってしまいます。模試で問題が解けるようになりたいのですが、どうしたらいいでしょうか。

ありがとうございます。

まさに、数学の特徴ですね。授業で解説を聞いても、問題が解けるようにならない。専門的には概念的知識と手続き的知識の両方が必要であるという言い方をしますが、簡単にいうと「単純な暗記ではダメ」ということです。

それならば。ということで質問者は「問題集を使って演習しよう」という風に進んだんですね。すごく良いですね。でも、難しいですよね。わかります。

そもそも、問題が解けないから勉強しているのに、まずは問題を解いていこうというのは、なんかおかしいですよね。もちろん問題集に挑戦することは大事なことです。でも、問題集を開いてみて、「うーん解けない」と悩んで、1分後には寝てしまっている、だと意味ないですよね。

----

そこで今回は、問題集の解説を使って効果的に勉強する方法の紹介をしようと思います。専門的にはWorked Examplesと呼びます。

最初にポイントを説明します。

数学の問題が解けるようになるには、
・問題と丁寧な解説のついた問題集を用意する。  
・解説を見ながら、1行1行がどういう意味があるのか理解する。
・暗記にならないように、YouTuberのように説明してみる。

それでは、今回の論文です。Crissman (2006) The design and utilization of effective worked examples: A meta -analysis.2006年に発表されたメタ分析論文になります。メタ分析論文とは論文のまとめのようなものです。

The use of worked examples represents an alternative instructional method to that of problem-solving in highly structured domains such as physics and computer programming. The benefits of worked examples may be measured in posttest performance scores, and lower cognitive load in the form of less perceived mental effort.
DeepLによる翻訳
作業例の使用は、物理学やコンピュータ・プログラミングのような高度に構造化された領域での問題解決に代わる指導方法である。作業例の利点は、テスト後のパフォーマンスのスコア、および知覚された精神的努力が少ないという形で認知負荷が低くなることで測定されるかもしれません。

丁寧な解説のついた問題(worked examples)を利用した勉強法は、積み上げ式の科目で有効な勉強法であると言えそうです。また効果としては、負荷が少なく問題が解けるようになる効果があるようです。つまり、質問のように、これから数学を勉強する人にオススメの勉強法のようです。

一方で、注意点も書かれています。読んでいきましょう。

However, for worked examples to be effective, research into the range of different design components is crucial for creation of effective worked examples. Such components include intra-example features, such as the integration of source information with diagrammatic or auditory material, labeling or cueing of problem subgoals, and faded solution steps, and training in self-explanation strategies.

DeepLによる翻訳
しかし、効果的な作業例を効果的に作成するためには、さまざまな設計要素を研究することが非常に重要です。このような構成要素には、ソース情報と図や聴覚資料の統合、問題のサブゴールのラベリングやキューイング、フェードされた解答ステップ、自己説明戦略のトレーニングなど、事例内の特徴が含まれています。

解説します。単なる丸暗記で終わってしまうということに注意が必要なようです。その注意点を解消するためには、赤シートなどで少しずつ隠しながら学んだり、自分に説明してみるということを組み合わせることが有効なようです。

ではどうするか?私がコンサルティングする場合には、YouTuberのように解説してみよう、と伝えています。赤シートなどで少しずつ隠すことや、自分に説明してみることが難しい人でも、YouTuberのように解説することはかなり上手かったりするんですよね。もちろん実際に声に出して、撮影しなくて大丈夫です。

ぜひ、試してみてるください。

まとめ

ポイント
・数学や物理のような問題解決には、問題演習が必要不可欠
・最初から問題演習をするのは大変なので、丁寧な解説のついた問題を利用した勉強方法が有効

やり方
・問題と丁寧な解説のついた問題集を用意する。  
・解説を見ながら、1行1行がどういう意味があるのか理解する。
・暗記にならないように、YouTuberのように説明してみる。

以上、「問題集の解説で学ぶ?例題の効果的な使い方 【理解コントロール 実践編】」でした。

いつも、ありがとうございます。 いいね、フォロー、メッセージに助けられています。 まさに、執筆者の勉強力の支えです。 今後とも、よろしくお願いします。 なお、サポートは研究費に利用させていただきます。