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数学が好きになるには、○○をやってみよう!【興味コントロール 実践編】

今回は「数学が好きになるには、○○をやってみよう!」というテーマでやっていきたいと思います。今回の記事は「興味コントロール 実践編」です

勉強力
(1)自信コントロール : どれぐらい学ぶことに自信があるか?
(2)興味コントロール : どれほど学ぶ内容に興味があるか?【今回】
(3)実行コントロール : どれほど集中して学ぶことができるか?
(4)理解コントロール : どれほど深く学ぶことができるか?
(5)持続コントロール : どれほど長く学ぶことができるか?

それでは、やっていきましょう。
受講生からの質問です。

はじめまして。私は文系で教育学部に所属している、大学2年生です。将来は小学校の先生になりたいと思っています。アルバイトのことで悩んでおり、相談させてください。現在、中学1年生の女の子の家庭教師をしています。まじめで頑張っているのですが、どうしても数学に興味が持てないようなのです。どうすれば、よいでしょうか。私もすごく好きかと、言われるとそうでもなくて、悩んでいます。

ありがとうございます。

まず、興味とやる気の違いについて整理しておきましょう。「俺って数学に対するモチベーションが高いんだよね」っていう人がいたとします。でも、例えばその人が「だって、数学だと簡単にいい点数取れるんだもん。」と言った場合には、興味というよりもやる気があると考える方がいいでしょう。

モチベーションがあると言っても、それが興味かというとそうではないんですよね。ちなみに、短期的に点数を上げたいということであれば、興味にこだわる必要はありません。むしろ、やる気で乗り切る方が良いと思います(この場合は実行コントロールの記事をご覧ください)。しかし、長期的な視点で考えると、興味を味方につけると間違いなく強いです。

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そこで、数学に対する「興味を高める方法」について紹介しようと思います。研究的には、「知識ギャップ理論」の紹介になります。

まず、今回のポイントです。

数学が好きになるには、
・数学を使ったら、どんな身の回りの問題が解けるかなと考えてみる。
・不思議な現象を見つけたら、しっかりと記録しておく。
・数学に興味が持てる本を読む。

それでは、本日の論文です。Peterson, E. G., & Cohen, J. (2019). A case for domain-specific curiosity in mathematics.  アメリカの研究者によるレビュー論文になります。

読んでいきましょう。かなり抜粋して抽出しています。

Epistemic curiosity is a desire for knowledge accompanied by positive emotions, increased arousal, and exploratory behavior (Grossnickle, Educational Psychology Review, 28(1), 23– 60, 2016). In the present theoretical review, we put forward a conceptualization of curiosity as domain-specific and examine how the components of curiosity develop within one academic domain: mathematics. 

DeepLによる翻訳
認識論的好奇心とは、ポジティブな感情、興奮の増大、探索的行動を伴う知識への欲求である(Grossnickle, Educational Psychology Review, 28(1), 23-60, 2016)本研究では、好奇心の領域特異的な概念を提示し、好奇心の構成要素が数学という一つの学問領域内でどのように発達するかを検討する。

興味は、ポジティブな気持ちになったり、興奮したり、もっと調べたいなと思うようになる気持ちです。ここでポイントとなるのが、前半で少し述べましたが「やる気」とは違うということです。何が違うかというと「数学」が好きになるというように、科目(範囲)がポイントになるということです。数学に対する興味はあくまで数学に対する興味で、英語の興味とは違うんですね。

 For students who believe that mathematics is about memorizing rules and applying procedures to problems that mathematicians (or their textbook) have the answer (Muis 2004; Givvin et al. 2011), gaps between what is known and what is unknown foreseeably center around not knowing a formula or not understanding how to apply a procedure. The emphasis on mathematics as having to do with numbers and computation (Givvin et al. 2011; Schoenfeld 1988) constrains the types of gaps that students might identify in mathematics.

DeepLによる翻訳
数学とは規則を記憶し,数学者(または教科書)が答えを持っている問題に手順を適用することだと考えている学生(Muis 2004; Givvin et al. 2011)にとって,既知のものと未知のものとの間のギャップは,式を知らなかったり,手順を適用する方法を理解していなかったりすることが予想される.数学が数と計算に関係するものであることを強調しているため(Givvin et al. 2011; Schoenfeld 1988),生徒が数学で認識するギャップのタイプが制限されている.

続いてこちらです。興味を高めるためには、知識ギャップが重要になります。簡単にいうと「不思議だな、わたし知りたい!!」です。でも、うまくいかない場合がある、それは「数学って教科書の問題を解くただけのものでしょ」とか、「まぁ暗記ゲームだよね」と考えてしまう場合です。うん、心が痛いですね。ついつい、考えがちです。

そうではなくて、どうしたらいいか。この論文では「一見すると数学が使えないような問題を考えてみる」ことを紹介してみます。身の回りの式にできないような問題を式にしてみるんですね。そうして生まれた「不思議だな」という気持ちが、ギャップに気づかせてくれ、数学の興味を育むようです。

なので、質問者の場合には今度、中学生の女の子と一緒に、数学の使えそうな場面を探してみるといいかもしれません。「レジに並んでる時間って計算できるかな」「お惣菜の割引って決まりがあるのかな」とか。まずは小さなことで大丈夫です。また、本から知るというのも良い方法です。例えば、下のような本を読んでみるといいかもしれません。

最初に言っておくと、残念ながらすぐには効果が出ないと思います。興味って時間がかかるのです。でも、長期的には絶対に効いてきます。

ぜひ、試してみてください。

まとめ

数学が好きになるには、
・数学を使ったら、どんな身の回りの問題が解けるかなと考えてみる。
・不思議な現象を見つけたら、しっかりと記録しておく。
・数学に興味が持てる本を読む。

以上、「数学が好きになるには、○○をやってみよう!【興味コントロール 実践編】」でした。

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