この想いを「Fight!」に込めて。
「走るのなんて大嫌いだ!!」
私は、こう思って生きてきた。
しかし、気づけば陸上競技のマネージャーをして6年目になっている。
なぜ、こんなにも陸上競技に惹き込まれたのか。
今回はそんなお話。
走ることが大嫌いだった。
冒頭にもあるように、私は走ることが大嫌いな子どもだった。体力テストの50m走やシャトルラン、持久走などの前には決まってお腹が痛くなっていた。
だから、なんでわざわざ、キツイ思いをするだけなのに、陸上競技なんてあるんだろうと本気で思っていた。
そんな私が高校で選択したのは陸上競技部のマネージャー。
正直、縁もゆかりもないと思っていた。
しかし、実際は不思議な縁で繋がれていたのだ。
陸上競技部に入った。
話は遡る。
今から約5年前。高校に入学したての頃。
私は部活動見学をしていた。
元々中学校では放送部で、その反動か運動部に憧れていた。
しかし、運動は大の苦手。
だから、「マネージャーならできるだろう。」と思い、マネージャー志望で様々な部活をまわっていた。
……気づけば大体の部活をまわり終えていた。
けれども、ビビっとくる部活は無く……。
少し焦りだしたとき、とりあえず一番最初に友達になった子が陸上部に入ると言うのでついていった。
そして、
その見学ですべてが変わったのだ。
グラウンドを駆け抜ける先輩方。
ただ、ひたすらにカッコよかった。
ものの数秒で私は陸上競技に惹き込まれたのである。
こうして、正直一番「無いな」と思っていた部活に入ることになった。(もちろんマネージャーとして。)
あの一瞬のために。
はっきり言おう。マネージャーは過酷だ。
よく、漫画やドラマで、キラキラの可愛い女子高生がドリンクを選手に手渡す。(そして恋に発展!)なんていうものがあるが、現実、汗まみれで泥くさく仕事をする。
そして何より、マネージャーには「正解」というものが無い。
常に自分が今、何ができるかを考えながら行動しなければならない。
自分より、選手優先。ドリンクも選手に先に飲ませ、余りが出ればやっと私も飲んでいたぐらい。
夏場は毎日熱中症になっていた。
大会前はマスコット作り。100個ぐらいひと夏で作ったこともある。寝る暇も無かった。
(計200個は作ったかな.......?)
部員に隠れながら休み時間にこそこそと作っていたことを思い出す。
冬場は寒い。ひたすらに寒い。
真っ暗な中、様々な工夫をしながらロングのタイムを計る。
吹雪の中でも、練習はきっちりやる。
自分でもバカだなと思うぐらいがむしゃらだった。
マネージャーも過酷だけれど、選手はもっと過酷だ。
ときには吐いたり足をつったり、過呼吸になったり。
それでも、自分をひたすらに追い込む。常に自分との闘い。孤独な競技だ。
そう、すべては
あの一瞬のために。
大会でベストを尽くすため。
100mなんか、ほんの十数秒で終わってしまう。
けれど、その何秒かのために毎日血のにじむような練習をする。
あの一瞬。
今までの努力の全てを出し切る。
だから、陸上競技は美しい。
私は、陸上競技を芸術だと思っている。
しなやかな動き、無駄のない肉体、洗練されたフォーム。
私はそれに一目惚れしたのだろう。
大会を見ていると、ただ目の前で走って、跳んで、歩いて、投げているだけではなく、その背景にあった努力の塊を感じる。
全ての選手がこの一瞬のためにどれほどの練習をしたのか。
陸上競技は楽しいだけではやっていけない。
才能だけでは勝てない。
厳しく、残酷でありながら、だからこそ、その一瞬に魅了されるのだ。
「Fight!」の持つ力。
陸上競技の応援としておなじみの「fight」。
これが不思議な力をもっている。
「fight」は、「頑張れ」という意味である。
しかし私は「頑張れ」ではなく「fight」が好きだ。
初めてこれを聞いたとき、「あ、なんかいいな」と思った。
どうして「頑張れ」ではなく「fight」なのか。今までずっと考えてきた。
おそらく、最短10秒で終わってしまう陸上競技では、応援の言葉は短ければ短いほど都合が良かったのだろう。
しかし、偶然か必然か、これが不思議な力を秘めている。
私には「fight」という、短い言葉に、たくさんの意味が込められていると感じる。
「応援してるよ」
「きっと大丈夫」
「まだいける!」
「そこが踏ん張りどき!」
「いいぞ!」
「その調子!」
などなど。
私にはそんな風に聞こえる。
声質やトーンで、同じ言葉でも全く違うように聞こえるのだ。
反対に私は、「頑張れ」と言われるとプレッシャーを感じる。
「もう十分頑張っているのにこれ以上どうやって頑張ればいいんだ!」と思う。
この違い、分かってくれる人、きっといるはず。
「fight」って言われると、不思議と力が湧いてくると思う。
私が応援するときも自然と様々な「fight」を使い分けている。
(ちなみに、大会のときは緊張で「fight」すら言えないことが多い。心で祈っている。)
「fight」の力は偉大だ。
マネージャーの意義。
結論から述べる。
マネージャーの意義だが、答えが無いというのが私の答えだ。
今まで5年以上陸上競技のマネージャーをしてきて何度も何度も考えた。
けれど、本当に答えは無い。
マネージャーは、自由だ。
それならなんで、これを書いてるんだ!とツッコまれると思う。
だから、ここからは私の考察を述べさせて頂く。
マネージャーは、誰かを支えることが仕事だ。
しかし、私がマネージャーをしてきて気づいたのは「私も選手に支えられている」ということだ。
どういう意味か。
それは、選手の喜びが私たちの喜びであり、選手の成長が私たちの成長であること。
普段マネージャーとしてしていることに対して、選手から感謝されるのが生きがいでもあること。
つまり、選手が居なければ、私たちも存在できないということ。
だから、選手にはとても感謝している。
もし、私が選手だったら、自力では行くことのできないであろう世界に連れて行ってくれる。
本当にマネージャーは幸せ者だ。
サポートしてもらえる選手に。
いきなりだが、質問する。
サポートされる人とされない人、どちらが良い記録を出せるだろうか。
答えは簡単。「サポートされる」人だ。
強くなるにはたくさんのサポートも必要だ。
お金の面でも技術の面でも、その他の環境面でもサポートは欠かせない。
是非ともたくさんの人に「サポートしたい」と思ってもらえる選手を目指して欲しいなと思う。
どうすれば、サポートしてもらえるのか。
こちらも答えは簡単。「感謝の気持ちを忘れないこと」だ。
私は選手が、感謝の気持ちを持っているかどうか見抜ける。
マネージャーだって人間だから、感謝されないよりされた方が自然と応援したくなる。
これはわがままかもしれないけれど、もし選手が表彰台に立てるのなら、私の顔も思い浮かべて欲しいなと思う。
そんな瞬間があれば、私はどこまででもついて行くと思う。
競技ができること。そのことを当たり前だとは思って欲しくない。
感謝すべきなのはマネージャーだけではない。大会ひとつにしても補助員、審判、競技場を管理してくれている人、そしてその家族などたくさんの人に支えられている。それを理解して競技場に立てる競技者が増えて欲しい。それが私の願いだ。
そして、そんな人は自然とたくさんのサポートを受け、強くなっていくのだと思う。
競技場に足を運んで欲しい。
ここでは、昔の私と同じで、陸上競技に縁が無いと思っている人に向けて書こうと思う。
先程、陸上競技は芸術だと述べた。
その感覚をぜひ、たくさんの人に感じて欲しい。
きっと、最近の日本代表のリレーや箱根駅伝などはテレビで観戦したことがあると思う。
けれど、やはり会場に行かなければあの興奮を肌で感じることは難しいだろう。
反対に言えば、陸上競技場に行くだけで私が陸上競技に一目惚れした理由がわかると思う。
スタートが切られる前の緊張感。
手に汗を握るレース展開。
「美」とも呼べる一瞬の動き。
はち切れる程の声援。
競技場どこを見渡しても見逃せない瞬間が詰まっている。
これはもう、文章では表現しきれない。とにかく、実際に陸上競技場に行ってみて欲しい。
なんと、日本選手権などの大きな大会を除き、大体は無料で観戦ができる!個人的にはプロ野球みたいにお酒が売ってたり、みんなで応援歌歌ったりしてみたいなとも思うけれど(している人もいる)、出入り自由で熱い闘いがタダで見れるなんて最高だと思う。
おすすめの観戦。
とは言っても、何から観たらいいのか最初は戸惑うと思う。ルールは単純だけれど、種目がたくさんありすぎて右往左往してしまうだろう。
そこで、私的おすすめの観戦の仕方を教えようと思う。
①まずは、「リレー」。どのチームも特に力を入れている種目だ。
リレーと言うとみなさんは4継と呼ばれる、4×100mリレーを思い浮かべると思う。そう、日本代表がメダルをとった種目だ。
もちろん、4継も大変盛り上がる。花形の種目だ。
しかし、実際の陸上競技界ではマイルと呼ばれる4×400mリレーの方が注目度が高いと思う。
ほとんどの大会でトリとなる種目だ。
まず、感じて欲しいのはスタート前の緊張感。
会場全体がシンと静まり返るのだ。
そこに私のチームがいると考えただけでもドキドキする。
そして、始まったあとの熱いレース展開。
最後まで何が起こるか分からない。
持ちタイムだけでは分からない、ドラマチックなレースを見ることが出来る。
1人トラック1周だから、比較的どこにいても見やすいのも良い。
初めは大会の終わりあたりに来て、リレーだけ見て帰るのもいいだろう。
②次に、跳躍。
これは、陸上関係者にとっても意外に思われるかもしれない。
けれど、跳躍こそもっと注目されていい、初心者にも分かりやすい種目だと思う。
跳躍には、走幅跳、三段跳、走高跳、棒高跳がある。
幅跳系は少し観戦しずらいかもしれないけれど、ホーム側の目の前のピットで行われることが多く、迫力がある。標準記録を知らなくても、良い記録が出ると歓声が上がることが多いので、「あ、今のぐらいがベスト8に入るんだな」と感じることが出来る。何より大記録を叩き出す人の跳躍は必見だ。
高跳系は、単純にルールが分かりやすい。バーを3回の跳躍の中で1回でも越えて跳ぶことが出来ればいいのだ。そしてなんと言ってもその美しさ。どこのチームの人でも、跳べた時は「よっしゃ!」となっている。
きっと、見始めたら止まらなくなるだろう。
後は少しマネージャーのオタク要素も入っているが、跳躍選手は美男美女が多い。顔もだけれど、体格がとにかく美しい。引き締まった筋肉に、比較的長身の体型。
陸上界のサラブレッドと呼ばれる橋岡選手なんかもう俳優さん並にカッコよすぎて直視できない。
あ、すみません、語り出すと止まらない。汗
③そして、ここまで来たらトラック競技のタイムに注目して欲しい。
陸上競技は、順位もだけれど、標準記録を突破できるかできないかで大きく意味が異なってくる。
日本選手権も、大体は標準記録を突破した選手が集まる。
だから、その標準記録を知っておくとまた深い観戦ができる。
あー、今の1位の選手、1位だけれど、あと0.02秒記録に届かなかったから悔しがってるんだ。とか、今のレース、4着までが次のステージに立てるんだ!とか。
もちろん、選手の自己ベストなんか知っておくともっと楽しめるが、まずは大まかに主要大会の標準記録を知っておくといいと思う。
他にも様々な楽しみ方が陸上にはある。
投擲にかじりついてもいいし、駅伝なら駅伝で応援ルートを模索していくのもいい。
陸上競技は応援の仕方も自由。
ふらっと大会に立ち寄れるような競技。意外とハードルは低い。
目標を見つけずらい今こそ。
今年のインターハイが無くなった。とてもショックだ。
私の母校でも有力選手がいたのに。
何よりたくさんの選手がインターハイやそれまでの道のりを目指してきて、何年も陸上をしてきて、いきなりその道が閉ざされたのだ。
誰のせいでもない。けれど無念だ。(インターハイに限らず、中止になった大会を目指してきた選手全員に言える)
私も、こんなにも生きがいであるマネージャーを出来なくなって、フラストレーションが溜まりに溜まっている。
それでも、だからこそ、1度立ち止まって改めて陸上と向き合って欲しい。
私たちは何のために陸上をしているのか。
もちろん、インターハイのため!って声もあると思う。
しかし純粋に自分のベストを更新するために頑張ってきた人の方が多いと思う。キツくてもその中に楽しみを見つけて競技をしてきたのではないか。
私もなぜ、マネージャーをしているのか。
今できることは何か。
沢山考えた。
そしてそのひとつがこのnoteを書くこと。
担当させて頂いているクラブチームやその他の広報をさらに活発にすること。
選手たちのモチベーションを少しでもいいから保てるようにサポートすること。
何だ、出来ることなんてたくさんあるじゃないか。
私の仲間には日本選手権を本気で目指している人もいる。そうではない人もたくさんいる。
「毎日ジョグしかできない」「競技場が思うように使えなくて困ってる」なんて声も聞くし、練習をしなくなっているだろうなと感じる選手もいる。
では、1回今の期間思い切って休んでもいい。
どうせ大会はまだやってこない。
陸上に限らず、好きなことをしよう!
なぜなら今したいことがきっと、遠回りでも陸上に活かせると思うからだ。
少し長めのレスト。いつもとは違うオフ期間。
そう思って、気楽に行こうじゃないか。
もしかしたら、この期間で、慢性的な疲労や怪我が治るかもしれない。新しい発見があるかもしれない。
インターネット上で有益な情報を見つけられるかもしれない。
私は、この期間、悪くないと思っている。マネージャーからしたらみんな、「頑張りすぎ」ていたからだ。
少しくらい、休んでもサボってもいい。
大切なのは陸上を好きでいる気持ちを忘れないこと。
忘れてしまったとしてもこの期間でもう一度思い出すこと。
それが、今の私たちに課された課題だと感じる。
あとがき。
ふう。やっとここまでたどり着いた。
こんなにも考えて書くということをしていなかったから、相当なエネルギーを使った。
少し寂しくもある。もっともっと書きたい。書き足りない。もっと陸上競技の魅力を伝えたい。
けれど、あえてここまでにしておく。
これから先は読者が陸上競技の魅力に自ら気づいていってほしい。
このnoteに、私の5年分の想いを詰め込んだ。
苦しいことの方が多かった。眠れない夜もあった。
それでも、私は陸上競技に出会えたことが運命であると感じている。
陸上競技に、仲間に出会えて良かった。
きっとこれから先も陸上競技を好きで居続けるだろう。
気づけば、3団体ものマネージャーをしている。
持病もあるけれど、マネージャーだけは続けたい。
「応援したいスポーツ」?そんな一言じゃ言い尽くせない。
私をここまで連れてきてくれた、ただの馬鹿で何も出来なかった私を成長させてくれた、生きる活力を与えてくれた、それが陸上競技だ。
だからこれからも。
この想いを「Fight!」に込めて。
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