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日野市民が自らの手で保全している緑地・雑木林七選

ファシリテーター・ライフコーチのまなみです。
「自然の中に学びの場をつくる」ことを目標に、2024年2月から東京都日野市に越してきました。
美しい作品を考え、作り、表すことで学習者の主体性を育み、学習者・コミュニティ・世界中の生命を豊かにする、そんな学びの場をみなさんとつくっていけると嬉しいです。


さて、日野市で自然の中の学びの場をつくりたいと思っている私は、2024年5月から日野市の雑木林ボランティア養成講座に参加することにしました。
この講座は、毎月一回日野市内の雑木林や緑地について講義や実習を行う一年間の講座です。
最終的には刈払機やチェーンソーも取り扱えるようになるとのこと。
講座終了後には、日野市の雑木林や緑地を保全するボランティア団体のどれかに入会し、活動できるようになることが目的です。
雑木林ボランティア養成講座の歴史はかなり深く、私が参加する今年が20期目だそう!
電話での申し込みなのですが、申し込み開始30分で定員に達して締め切られたそうです。



初回の5月はオリエンテーションだったのですが、6月は日野市に残っている雑木林・緑地七ヶ所を一日かけてみんなで回ってきました。
今回は日野市民のボランティア団体が保全している雑木林・緑地七ヶ所をご紹介したいと思います。
どの場所も開発されそうになりながらも、未来に祈りをかけてストップをかけた方や粘り強く交渉した方がいて、そのおかげで今も様々な生命体が生き生きと過ごすことができています。
人間と自然の関係性について改めて考えることができるnoteになるといいなと思います。




30年ぶりに保全活動が復活、向島緑地


まず、日野市の地形について説明すると、日野市は多摩川と浅川が削った沖積低地と、JR側の日野台地、百草園側の多摩丘陵からできています。
日野市は低地が多いので水田をつくるのに向いている土地だと思うのですが、人間の手にかかると開発しやすいのもこの低地。
この後紹介する緑地のうち、最初に紹介する向島緑地だけが低地、その他は開発されづらかった台地との高低差や丘陵にある緑地です。


向島緑地は京王線高幡不動駅と浅川の間にある緑地です。
ここは30年ほど前に開発される寸前だったところに、市民環境活動家の方が直訴して公有化された緑地とのこと。
それ以来管理されていなかったのですが、去年から市民ボランティアによる整備が始まりました。
近くには向島用水も流れていて、下流には水車があったり、潤徳小学校のビオトープも残されていたりと、自然が多く残されているエリアです。


向「島」となっているのは、浅川の氾濫原で島のように残っていたエリアだからという説。
木を切らないようにして、鳥の居場所として残しているエリアもあります。


カブトムシが眠る谷仲山緑地


谷仲山緑地は日野市役所の近くにあり、台地との高低差沿いに残された緑地です。
カタクリなどの日野市固有の生物を保護しながら、市民ボランティアが保護活動を行っています。
雑木林には様々な種類の木がありご説明いただきましたが、私がそれぞれの種類を判別できるようになるにはまだまだ時間がかかりそうです。


湧水には蛍がいるそうですが、誰かが放流した外来種だそう。
落ち葉をまとめて、カブトムシが育つような腐葉土をつくっていました。


大人の秘密基地、百草山緑地


百草山緑地は東京の名湧水50選にも選ばれている小沢緑地や、百草園にも接している日野市の中でも特に急峻な多摩丘陵にある緑地です。
ここは15年近く市民ボランティアの方が整備しているそうですが、まだまだ完成には近づかないということです。
地形も急ですし、成長速度が速い竹が次から次へと生えてくる…!
緑地の中には日野市唯一の滝もあるそうですが、山道も整備中とのことで、日野市のサグラダ・ファミリアみたいな場所でした。
※現在、一般の方は入ることができません


奥多摩の山に道を掘ったので、この階段をつくるのがどれだけ大変か想像力が働くようになりました。
6月なので紫陽花も綺麗に咲いていました。


山も谷も味わえる、南平丘陵公園


南平丘陵公園では、市民ボランティア団体が応援派遣なども行って、精力的に活動している運営しています。
公園には丘陵の上の展望台もあれば、谷底のひょうたん池や吊り橋まであるというダイナミックな地形を楽しめる場所です。
雑木林の萌芽更新作業も行われているため、森の中の木がどのように管理されているのかを体験できる場所でもあります。


眺めも良いので、真ん中の赤い煉瓦の日野市役所、右にはベルーナドームも見えます。
ひょうたん池にはほとんど水が入っていないのですが、おたまじゃくしが泳いでいました。


日野市最後の里山、倉沢緑地


日野市最後の里山として、倉沢第一・第二緑地が残されています。
倉沢緑地は谷戸になっていて低地には田んぼもありますが、高低差を上がっていくと、その先には万蔵院台地が!
台地の上には緑地の保全に参加している会員向けの市民農園があり、中央大学馬術部からの馬糞や、モグサファームからの牛糞、おからなどを肥料としながら農業を行っています。
緑地と農地が一体化した、サステナブルな自然環境を現代に残しています。
※現在、一般の方は入ることができません


緑地の切り株をそのままベンチとして活用。
台地の上は農園になっていました。


蛍光る真堂が谷戸


倉沢緑地のすぐ隣にあるのが、真堂が谷戸です。
この真堂が谷戸では、雑木林の保全、畑の管理、田んぼの復元など生物多様性を残す活動が行われています。
この谷戸には日野市に昔から生息していた在来種の蛍が残っているため、市民ボランティア団体が保全活動や調査活動を続けています。
※現在、一般の方は入ることができません


倉沢緑地よりさらに小規模で、ひとめでわかる谷戸地形です。
谷戸の奥には小さい田んぼが!
6月中旬には一般開放の蛍の観察会を行っています。


台地から水が湧く東豊田緑地


最後に訪れたのが、東豊田緑地です。
ここは黒川清流公園とも呼ばれていて、湧水が流れ込む黒川用水でも有名な場所です。
JR中央線の豊田駅近くの台地の際にあり、急な地形を開発せず緑地としてそのまま残しています。
地元の実践女子大学とも協力して、東豊田緑地を活用するプロジェクトが行われていました。


東豊田緑地は人間が歩けるスペースが限られていて、多様な生物のための場所だと感じます。
黒川用水を流れる湧水は本当に綺麗!


日野市の緑地を一日で七ヶ所回り、それぞれの市民ボランティアがどのような思いで日々保全活動を行っているか聞くことができました。
日野市でも、低地の水田や畑では今も宅地開発が続いています。
そんな中、過去に日野市の自然環境を保全するべきだと声をあげた人がいて、約30年の間、市民の力で緑地や雑木林を守ってきたと思うと、市民が持つ力について気づかされました。
実際に日野市では、いまだに子どもたちが用水路で遊んだり、田植えを体験したりする姿を見かけることができます。
私も日野市に住むだけではなく、日野市の用水路や緑地についてもっと発信して、日野市に良い影響を与えられる市民になりたいと感じました。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
日野市の緑地や雑木林に興味を持っていただけたら、ぜひ一度遊びに来てみてくださいね。


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