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1-2 ゴール設定|Active Project Management 超実践トレーニング ガイド

management studioの吉見です。
現場で使えるプロジェクトマネジメントの研究開発を行い、e-ラーニング、セミナー、アドバイザリーでご提供しています。「Active Project Management 超実践トレーニング」のガイドから、コンテンツの解説部分をセクションごとにご紹介するシリーズ。
今回は「CHAPTER 1 Start 立上げ」から、プロジェクトの価値実現のカギとなる「セクション2 ゴール設定」についてです。


035 行き先が無いとプロセスは始まらない

プロジェクトには何かしらの成果が必要です。成果がなければ中断または失敗となります。また成果を実現しても価値がなければ意味がありません。そのために目的と目標を設定します。目的とは「何のために?」という抽象度の高いゴールイメージです。そもそもなぜこのプロジェクトを行っているかという根本になるものですので、簡単に変わるものではなく理想を描いたものになります。一方で目標は、その目的を達成するためには具体的に何が必要なのか?という実際に実現するターゲットとなるものです。目標は場合によっては実現可能性から変更することもあります。プロジェクトではこの両方を明確にすることでゴールにし、それを実現するためのプロセスを計画し行動します。

036 「目的」は共通の判断基準

目的は「このプロジェクトが成功した先に何があるのか?」ということをイメージできるものである必要があります。理想的過ぎて漠然としも、反対に達成したときに得られるものが小さくてもいけません。プロジェクトに関わる人が「ワクワク」し共感できるものが最良です。抽象的なゴールである目的を立てる意味は、それが関係者の判断基準になることにあります。プロジェクトに関わる様々な立場や専門性を持っている関係者は、それぞれがそれぞれの役割や責務を果たす必要があります。当然、具体的に何をすべきかは異なるでしょう。しかし共通する想いや価値に基づいて具体的な目的を設定し、具体的な判断を行えば同じ目的に収束するはずです。そのような目的をつくることが理想です。

037 ミッションとサクセス

目的と目標は必要ですが、実際にはプロジェクトの性質によってキレイに切り離せないこともありますし明確できないこともあります。プロジェクトの成果は「目的と目標」の他に「最低限と理想」という視点で設定します。最低限の成果(ミッション)は契約や責任において出さないといけない成果であり、これがない場合は失敗となります。サクセスはミッションに+αの価値を加えたものです。大事なのはこの2つがあることです。最低限、何が必要なのか分かっていればチャレンジすることもできますし、もし上手くいかなくなっても軌道修正ができ最悪の事態を回避できます、また0から価値を考えるよりもベースがあって付け加える方がアイデアが湧きやすいという利点もあります。

038 ゴールは誰がつくるか?立場で変わる目的と目標

実はプロジェクトのゴールは立場によって異なります。共通する部分もありますが、違う部分もあることをプロジェクトマネジャーは理解しておく必要があります。それぞれの立場で考えているゴールで共通するもの、理想としてはwin-winになるものを誰かが紡ぎださなくてはいけません。そうでないと、立場によってバラバラの動きになってしまいます。この立場の違いやその背景にあるロジックの違いを俯瞰的に把握し折り合いをつけるのは、プロジェクトを「何とかする」プロジェクトマネジャーの重要な仕事のひとつです。といってもプロジェクトマネジャーがひとりで捻り出す必要はありません。ヒアリングや議論を積極的に実施して見つけ出しましょう。

039 ミッションとサクセスのつくり方

ゴールをつくる手順は、まずミッションを明確にします。これは事業そのものの目的であったり、発注されている内容だったりしますので契約内容やオーナーとそれぞれのステークホルダーのビジネス上の関係ですでにある程度明確になっているはずです。可能な限り具体的な成果物や成果の内容にし、漠然としたもの、評価や計測ができないものは避けるようにします。ミッションを明確にしたら「そこに何を加えると価値が上がるか?」という問いによってサクセスを考えます。その問いのヒントになるのは「困りごとがあってその解決になるもの」または「実現したいものに近づけるもの」のいずれかです。大事なプロセスですので避けずにしっかりと考え、コミュニケーションしましょう。

あとがき

今回はプロジェクトのゴール設定についてでした。プロジェクトの成果と、成果から生まれる価値は初期段階の目的の明確化と目標設定にかかっていると言っても過言ではありません。難しいテーマですがアイデアを膨らませて、ワクワクするような行き先をつくりましょう。

次回は「セクション3 ステークホルダー」についてです。関係者調整は、プロジェクトマネジメントにおいては切っても切れない重要テーマ。戦略的な分析の考え方をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

またコンテンツにご関心をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせいただけると幸いです。

吉見周平
management studio contact@mgt-st.com
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