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1-1 スコープ|Active Project Management 超実践トレーニング ガイド

management studioの吉見です。
現場で使えるプロジェクトマネジメントの研究開発を行い、e-ラーニング、セミナー、アドバイザリーでご提供しています。「Active Project Management 超実践トレーニング」のガイドから、コンテンツの解説部分をセクションごとにご紹介するシリーズ。
今回は「CHAPTER 1 Start 立上げ」から、プロジェクトマネジメントの重要テーマに上がりやすい「セクション1 スコープ」についてです。


031 プロジェクトのスコープとは「誰が何をやる?」のこと

「スコープ」とは、業務範囲のことを指します。プロジェクトは異なる専門性を持った複数の人の集まりで実施されるため、それぞれが責任を持つ領域を設定しなければ「誰もやらずに抜けてしまう」や「同じことを別々でやってしまい無駄になる」ということが起きて全体の品質が落ちたりコストが余分にかかったり、スケジュールが延伸したりします。またスコープを逸脱することを「スコープクリープ」と言いますが、そうなると契約上の責任や対価の妥当性などビジネス上のリスクを生むことになりますが、そもそもスコープが明確でないと解釈や思い込みで簡単にスコープクリープを起こします。主体的に共創するためにはそれぞれが力を発揮するフィールドを設定することが重要です。

032 スコープ設定は前提となるプロジェクトの範囲を明確に

スコープの設定を行う時は、どのフェーズに対する設定であるかを明確にします。プロジェクトはフェーズ(時期)によってテーマ、アクションの主体者、判断の主体者などが変わるからです。例えばディレクター、PM、デザイナーといった全体を通した立場は、スコープの方向性やプロジェクトにおけるキャラクターを表現することには向いていますが、具体的な役割は設定できません。フェーズによって立場は変わらなくても役割は変わることを理解し、別で設定する必要があります。またプロジェクト全体を通して役割を設定しても進むうちに以降のフェーズにおける役割が変わることもあります。この場合もどのフェーズの役割がどのように変わったのか、具体的にする必要があります。

033 スコープを決める役割分担表

スコープの設定方法はいくつかあります。業務仕様書のように「私がやる範囲はこれです」という整理でもオーナーと合意できればビジネス上はよいかもしれません。しかしPMとしてActiveにプロジェクトに関わるのであれば、オーナー側や今後出てくる受注者を含めた全体の役割分担表を整理して、プロジェクトとしての抜け漏れがないか確認し、戦略的にプレーヤーの設定とリスク回避を行いましょう。役割分担表で重要なのは、見る人が具体的に分かることと主体者を明確にすることです。縦軸はポジションや能力ではなく行動がイメージできるものにします。主体者がぼやけると責任や主体性も曖昧になるので、今後の調整がいるかもしれませんが仮の設定でも明確にしておきます。

034 PMのポジションはとても重要

役割分担の設定は、PMが中心、結節点になるように行います。プロジェクトマネジメントを行う上で、PMがどの位置にいるかは非常に重要です。またこのポジションは一度プロジェクトが動き出すと途中から変更することが難しくなります。権限を持つということはその分責任も重くなりますが、中途半端に責任を軽くしてもPMである以上0にはなりません。逆に権限が軽くなってプロジェクトをハンドリングできなくなってしまうと余計な労力がかかる上に権限以上の責任が残ってしまう可能性があります。最も危惧すべきことは把握できない情報や状況が沢山生まれてしまうことです。具体的には、作戦立てと方針提示、情報と意思決定の流れに必ず関与するようにします。

あとがき

今回はプロジェクトのスコープについてでした。スコープ設定はプロジェクト推進のベースとなる大事な項目。しっかりと整理、更新する習慣は特に人的リソースの活用には必須です。

次回は「セクション2 ゴール設定」についてご紹介します。価値実現のカギになるため難易度の高い対象ですが、設定のコツを解説しますので、ぜひご覧ください。

またコンテンツにご関心をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせいただけると幸いです。

吉見周平
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