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1-0 立上げのポイント|Active Project Management 超実践トレーニング ガイド

management studioの吉見です。
現場で使えるプロジェクトマネジメントの研究開発を行い、e-ラーニング、セミナー、アドバイザリーでご提供しています。「Active Project Management 超実践トレーニング」のガイドから、コンテンツの解説部分をセクションごとにご紹介するシリーズ。
今回からはプロジェクトのステップに沿って具体的な方法をご紹介します。まずはプロジェクトマネジメントにとって最も重要な初期段階の重要ステップである「CHAPTER 1 Start 立上げ」から「セクション0 立上げのポイント」についてです。


027 よくある失敗の第一歩「何となくスタート」

「仕事の話が来たから何となくやれることからやり始めてみよう。配員や期限も曖昧だし分かっていないことも多い気がするがやりながら徐々に確認しよう。とりあえず関係者を集めてキックオフミーティングを開いてスタートした雰囲気にしよう。」プロジェクトの初期段階でよくある出来事ですが、実はこの時点で知らないうちに炎上に向け舵を切っています。プロジェクトの炎上は突然起きるのではなく、プロセスのエラーの蓄積が表面化することで起きますが、この蓄積はエラーの連鎖によって起き、エラーの連鎖を断ち切るのは時間が経てば経つほど労力がかかります。つまり最初にエラーが起きにくい土台をしっかりとつくることが重要になります。

028 プロジェクトは「何も決まっていない」初期が重要

プロジェクトの不確実性はうまく扱えば可能性に、そうでなければリスクになります。不確実性はスタート時が最大で徐々に小さくなるという性質をもっています。例えば見積は初期段階には16倍の振れ幅を持っていると言われていますが、見積に限らず他の要素(スケジュールや成果のクオリティ)も同じような収束の仕方になります。つまり想定の何倍もの不確実性を持っている初期段階をしっかりとおさえないとプロジェクトの成功が難しいことは明白です。ただし、リスクを排除すればよいということではありません。反対にゴールに近づくと可能性も小さくなってしまいます。失敗を避けるだけではなく価値を実現するためにも、初期段階に労力をかけることが最も効果的です。

029 誰と立ち上げる?

プロジェクトの立上げ段階ではまだ、それぞれの役割分担が決まっておらず、ステークホルダー(利害関係者)の理解も深まっていません。そんな中で、誰とプロジェクトを立ち上げるか判断することは非常に重要になります。プロジェクトではステークホルダーはフラットな関係ではなく特に影響力によって同心円状になるからです。何となく流れでやりやすそうな人と立ち上げるのではなく戦略的に、最も重要になるであろう中心にいるステークホルダーと関係をつくり立ち上げるようにしましょう。この判断は様々な視点で行う方が精度が上がります。チーム内で「誰がこのプロジェクトの中心になりそうか?」というテーマで議論し意見交換することも有効です。

030 立上げの計画

立上げではまず、4つの項目をおさえます。いずれも今後のプロジェクト推進のルールとなるような重要な項目です。また見積や契約の業務仕様にもなります。これが崩れると、この後に立てる計画や判断が全て崩れてしまう可能性がありますので、避けずにしっかりと情報整理を行いましょう。とは言え、スタート時点では、決まっていないことや変わりそうなことがあるのが実情です。その場合でも、決まっていなことは「決まっていない」、変わりそうなことは「不確定」というステータスを、整理を通して明らかにし必要な関係者と認識を共有しておく必要があります。オーナーや組織の責任者と認識を合わせることはプロジェクトチームや自分自身を守ることにつながります。

あとがき

今回はプロジェクト立上げの意義と目的についてでした。何といってもプロジェクトは初期段階が肝心。成否のほとんどが不確実性の高い初期段階でどれだけ段取りできたかで決まります。

次回は「セクション1 スコープ」についてご紹介します。どんなプロジェクトでもテーマになり関心度も高いマネジメント要素ですので、ぜひご覧ください。

またコンテンツにご関心をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせいただけると幸いです。

吉見周平
management studio contact@mgt-st.com
HP https://www.mgmt-studio.com
X(twitter) https://twitter.com/management_st_

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