「こっちの息子」
ある年末のこと。
帰省すると、親父はヘルペス(帯状疱疹)にかかって、仕事もしばらく休んでいるようだった。
風呂上がりには、オカンが脇腹から背中にかけての患部に、薬を塗ってあげていた。そこで僕はまたしても、目を覆いたくなる現実を目の当たりにすることになる。
「薬、ここにも塗ってくれ」
親父はそう言うと、誰にも求められていないイ○モツをおもむろに披露し始めた。僕が思わず、
「悲惨な実家やな……」
とつぶやくと、親父は、
「ワシはこっちの息子の方が大事やから」
と言いながら、さらけ出されたイ○モツを自分でなでていた。
悪夢のような帰省初日であった。
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