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塾生とのお話 学び舎たけむら

 今年大学受験を終えたR君と講師竹中の対談をまとめました。R君は中学1年から塾に来てくれて、6年間見てきました。受験生活だけでなく、6年間を振り返って話していただきました。興味深い話も沢山聞けたので、是非ご覧ください。

R君のプロフィール

中高一貫校に進学。部活動にも積極的で、高校時代は運動部の副キャプテン。高3まで部活をやりきりました。大学受験では一橋大学(国立文系)を目標に。残念ながら、一橋大学は不合格でしたが、私立文系の最難関である早稲田大学政治経済学部、慶應大学法学部などに見事合格しました。

「合格・不合格だけじゃない受験勉強の意義」

竹中:合格おめでとう!
R君:ありがとうございます。
竹中:早速だけど、まず受験を振り返ってもらえるかな。
R君:合格・不合格という結果のプレッシャーはあったけど、勉強自体は楽    
  しめていました。また、受験勉強の中で将来やりたいことが見えてきた
  気がします。
竹中:具体的にはどんな分野を考えている時が楽しいの?
R君:世界史であつかう民族問題や宗教問題を考えるのが楽しかったです。
  日常の中でも興味をもって考えていることが多い気がします。
竹中:それは本格的な受験勉強を始める前には無かった感覚?
R君:そうですね。志望大学も最初は一橋大学がカッコいい、ぐらいの感覚
  で(笑)。政治学に興味が絞れていたわけでも無かったので、自由度が大
  きい社会学部をなんとなく目指してました。その後、受験勉強の中で、
  何を考えている時に自分が楽しさを感じるのか少しずつわかってきて、
  広かった目標が絞れてきました。
竹中:大学ではどんなことを勉強したいの?
R君:今は、外交や安全保障といった国際政治に興味があります。平和に貢
  献できる研究・仕事が自分の道なのかな、と思っています。でも、そう
  思えるようになったのは高3の冬ぐらいで、受験勉強も終わりに近づく
  頃でした。自分の人生にとって大事なことを勉強の中で気づけたのか
  な、と思います。
竹中:合格・不合格に関わらず、受験勉強が良い経験となった一つの例だ
  ね。もちろん、長い勉強時間があったからこそだと思うけど。点数以外
  の部分でも成長してるのだな、と改めて実感できて嬉しいです。

「自分なりにやって気づくこと」

竹中:勉強は最初から楽しかったの?
R君:中学1年の頃は楽しくなかったです。追試を逃れるためだけに勉強して
  ました(笑)。僕は中学1年生の時は反抗期で気持ちも不安定で親や先生
  にとても迷惑をかけてしまいました。勉強もなぜやる必要があるのかわ
  からず、周りの大人からやらされてると感じていて、よく親に反抗して
  いました。塾も頻繁に休んでいました。中学2年からは好きな勉強だけ
  やってました。日本史が好きでしたね。今思えば、とても効率の悪い勉
  強をしていましたが、我流でやるのが楽しかったです。
竹中:定期テスト前に、時間をかけて丁寧に新しくノートを作っていたのを
  覚えてます。効率的な方法も伝えてみたけど、「これでやりたい」って
  言うから、まぁ無理に止めなくて良いか、って(笑)。
R君:そうですね。無駄なことも多かったと思いますが、勉強の楽しさを知
  るという意味で良かったと思ってます。強制されると楽しさが失われそ
  うです。
竹中:これは講師目線では悩むポイントだね。一番良いのは今の話みたい
  に、講師が手を出さず、生徒が「自分で何かを感じ、気づいていく」こ
  と。一方で、手を出さないと「いつまで経っても生徒が変わらないので
  は」という不安もあって。
R君:受験などのタイムリミットさえ無ければ言わないで待つのが良いのか
  もしれませんね。そういう点は中高一貫校のメリットで、焦らずじっく
  り勉強できたのも良かったです。
竹中:R君に対しては、自分は良く待ったな、と自画自賛してます(笑)。中学
  の頃に「気分が乗らないから、今日は塾休みます」という連絡がきて
  も、そういうこともあるか、と受け入れて。
R君:高校でも部活で疲れきった時は休んでました。それでも竹中先生は許 
  してくれるだろうな、と。なので、塾に行くのが嫌だと感じることは無
  かったですし、自分のペースで勉強できたのが良かったのかな、と思っ
  てます。
竹中:R君みたいに、部活に打ち込んでるなど何かに熱量をもって取り組ん
  でいる子は「待ち」で良いのかな、と思えるんだよね。

※後記 思い返してもR君を叱った記憶は無いです。何か相談された時も、R君が自分で判断し、意思決定できるよう自主性を尊重しました。偏った情報・意見だけを伝えることはしないで、両論併記を心がけました(私の意見が出すぎていることもあったと思いますが・・・)。

「成長を楽しむ」

竹中:勉強のコツを教えてください。
R君:周りの優秀な人を見ていると、どこかで勉強の楽しさを感じていて、
  時にはテスト範囲や受験範囲を無視して、自らの興味の赴くままに探求
  していきますね。一方で、勉強・受験はやらなければいけないこと、と
  義務感で勉強している人は伸びにくいのかもしれない。義務感で勉強し
  ても面白くないですし。
竹中:なるほど。
R君:それに興味の赴くままに探求している友達の話は面白いです。周りも
  勉強しているから自分も、という気持ちになれるし、自分が勉強した
  分、そういった友達との会話もかみ合ってきて楽しかったです。
竹中:やっぱり周りの友達の影響は大きいよね。SNSとかで悪影響は無かっ
  た?
R君:自分はSNSへの投稿が面倒なので、あまりしないですが、確かに「いい
  ね」されると嬉しいです。ハマってしまうと大変なのかもしれない。そ
  れと、SNSをみて自分と他人を比べたりしてしまうのはよくないのかな
  と思います。
竹中:受験期に「スマホを封印したらQOL(クオリティ オブ ライフ=生活
  の質)がめちゃくちゃ上がりました」って言ってたよね。
R君:設定した時間まで取り出せなくなる箱があって、そこにスマホを入れ
  るんです。最初はものすごい嫌だと思いながら、10時間にセットして、
  入れてみて。そうすると、初めはやることなくてつまらないんですよ。
  それと同時に、「自分はスマホが無いと自分を楽しませられない人間な
  んだ」と思って悲しくなりました。でも、その時間で、勉強したり、本
  を読んだり、絵を描いたり、様々なことを楽しんでると、こっちの方が
  良いな、と。
竹中:それだけYouTubeが影響を与えてる?
R君:そうですね。YouTubeは息抜き程度に使うのが良いと思います。楽しみ
  がYouTubeだけに依存するのは良くないかな。
竹中:自分は、楽しさには「受動的な楽しさ」と「能動的な成長する楽し
  さ」の2つがあるのかな、と思っている。テレビやYouTubeは誰かが楽し
  さを与えてくれているもので、「受動的な楽しさ」が大きそう。勉強を
  楽しむには「能動的に成長する楽しさ」が感じられないと難しいのでは
  ないかな。
R君:自分は「能動的に成長する楽しさ」の方が「受動的な楽しさ」よりも
  楽しく感じます。部活もそうですね。部活でうまくいかないことも沢山
  あったが、やりきった。
竹中:高3の大会まで部活をやりきってたもんね。そういう経験が「でき
  る」という自己肯定感を育むのかな。
R君:そうですね。勉強にもその経験は活きたと思います。「うまくいかな
  くても最後まで諦めずにやりきる」。諦め癖がつかなかったのが良かっ
  たです。部活を頑張りながらでも、高校のクラス分けテストで上にクラ
  スに行けました。そんな中で、「自分ならできる」という謎の自信が
  (笑)。その謎の自信で「受験も何とかなるだろう」と思ってました。
竹中:謎の自信は大切だよね。経験上、「できるようになる」と信じてる生
  徒の方が圧倒的に伸びます。

※後記 ちなみに中学時代のR君はゲームに熱中してました。コロナ渦の自宅学習期間には勉強そっちのけでゲームをやりこみ昼夜逆転生活を送っていたといいます。両親に内緒で課金をしたこともあるそうです。対話だけ見るとあまりにも真面目で優秀な子に見えてしまったので追記します(笑)。
 また、大学受験の各科目の勉強のコツも聞きました。ボリュームがありましたので、こちらは次の記事(URLは↓)にまとめました。是非、参考にしてください。https://note.com/manabiyatakemura/n/n3ca91778d410

「学び舎たけむらに来て良かったこと」

竹中:この塾に来て良かったと思うことがあれば聞かせてくれる?
R君:自分で考えられることは考えさせて、軌道が逸れすぎているときは修
  正してもらって、と良い塩梅でやってもらえたと思ってます。
竹中:高3の最後の方はその修正がほとんど必要なくなってたのは気づいて
  た?。R君自身ですべきこと、考えるべきことを判断できるようになっ
  ていた。一人で考えられるようになったこと自体が大きな成長だと思っ
  てます。最後の方は安心して任せて見ていられました。数学だけは少し
  口出ししたけど(笑)
R君:何が必要かを自分で考えられれば勉強はできるようになると思いま
  す。国語や社会は参考書を読んで勉強していけば、自分に足りない所は
  わかる。数学や理科の方が自分の足りない所に気づきにくいと思う。
竹中:確かに、数学や理科は気づきにくいのかもしれない。解けるのがゴー
  ルではなくて、スラスラ解けるがゴールだから。数学や理科は、考えて
  理解する段階と、スラスラ手が動く段階がある。スポーツでイメージし
  てもらうとわかりやすいのだけど、考えて動いているうちは実戦では使
  えない。反射的にできるようになるまで練習して、はじめて使える技術
  になる。
R君:わかります。数学は何度も似た問題を繰り返しやって、パターンを整
  理しなければいけなかったな、と思います。時間の問題もありました
  が、受験で唯一やり残したことです。大学の経済学で数学を使うので、
  その反省も活かして取り組みたいと思っています。
竹中:他に塾で印象に残っていることとか、良かったことはある?
R君:竹中先生はテストの点数が良かったり偏差値が上がってもあまり褒め
  てくれるような感じではなくて、中学の時は何だったら先生は褒めてく
  れるんだろうとか考えたりしたこともありました。
  ですが、学年が上がるにつれてテストの点数とか偏差値よりももっと重 
  要なことが他にあると感じるようになりました。何がどのような過程を
  経てできるようになったか、を自ら客観的に捉えられるようになること
  が勉強の本質だと感じていますし、中学1年生の時から竹中先生に教わ
  ってきたからこそ、そう気づけたのかなと思います。
竹中:確かに結果よりも、過程を評価してますが、生徒はそう感じるんです
  ね。努力した分の結果がついてきたときは褒めてるつもりだったんだけ
  ど。反省します(苦笑)
R君:それと、竹中先生と木村先生は僕にとって圧倒的な知の巨人のような
  存在で、僕から持ち掛けた話題に対して、僕自身がネットで調べてもた
  どり着けないような話を聞かせてくださりました。お二人が多方面のこ
  とに対して知的好奇心を持つ姿から、学ぶことに終わりはなく、また学
  問は自分の興味次第でどこまでも自由に拡げていけるものなのだと知る
  ことができました。6年間ありがとうございました。

編集後記

 対談をしている時、これだとR君が聖人君子のように見えるだろうな、と思いながら話していました(笑)。良い話をもらいすぎたかな。R君も失敗したり、悩んだり、時には悪いこともしただろう、普通の生徒だと私は思っています。最初から優秀だったから、良い大学に入れたのでしょ、とは受け取らないで欲しいですかね。
 その一方で、私の気づかない間に立派な大人に成長していたのだと気づかされもしました。子供の成長は早いですね。中学生の頃のイメージも残っていて、どうにも私の認識が追い付いていません。まぁ、それも嬉しい驚きです。この先、更に様々な経験をし、成長し、時にはつまづき、素敵な大人になっていくことを期待しています。たまに話をしに来てくれると嬉しいですね。ありがとうございました。

学び舎たけむら講師 竹中一真


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