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無料でできる算数の自宅学習、教えます!


 世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。日本でも全国の小・中学校、高校に休校の要請が出され、教育現場でも混乱が広がっています。保護者の方は休校期間で子どもが自宅にいるとき、どのように学習をさせればいいのか迷われているかもしれません。
 そんな方のために、今回は教材を買わずとも自宅にあるもので出来て、効率の良い算数学習のテクニックをまとめてみました。


「あとどれぐらいでご飯かな?」~時計を読んで「時刻と時間」をマスター!

 以前にも書きましたが、算数の中で「時計」の範囲は子どもが最もつまずきやすい単元の一つ。幸い、この単元自体はそれだけで独立しているので、高学年の学習には影響が出にくい単元です。中学受験をしないお子さんなら出来ないままでも構いませんが、中学受験をするお子さんなら低学年のうちに時計がスラスラ読めるようになっておきたいものです。

 時計なんて読めて当然じゃない?と多くの方が思うかもしれません。しかし子どもにとってはそうでもない。時計が読めるためには、
①60進法を理解する
②12時=0時ということを理解する
③午前・午後というルールを覚える
などなど、独自のルールを多く覚えなければなりません。

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 でも時計ってふだんの生活に大きく関わっていますよね。だとしたら、自宅で時計の学習ができるんじゃないか、と私は考えます。それどころか、ドリルを使って学習するよりも自宅の時計を使い、実体験として学んだ方がいいとさえ、私は思っています。

 例えば、子どもにこう質問してみるのはどうでしょう。

「おやつは3時からなんだけど、あと何分で3時になるかな?時計を見て考えてごらん」

 おやつの時間は子どもにとって楽しみな時間のひとつ。そんなおやつの時間を例に、子ども自身の生活とリンクさせて時計の読み方を学習してもらうのです。

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(画像出典:https://www.irasutoya.com/2013/07/30.html)

 他にも、「夕ご飯は30分後にしようと思っているけど、それって何時かな?」とか「午後3時半から午後4時15分まで勉強したら、何分ぐらい勉強したことになるかな?」のように、生活のいたるところでこうした質問が出来ます。

 自宅学習期間中、ぜひお子さんに試してみてくださいね。ただし、おうちの時計がデジタル時計の方は、アナログ時計を買ってもらわないといけないのですが(笑)

何度で切ればケーキは6等分?~ケーキを使って「角度」をマスター!

 時計と並んで子ども達が苦手な単元に「図形」があります。しかもこの単元は時計と異なり、角度や簡単な図形の名前を覚えることから始まり、立体図形にいたるまで、全学年にわたってつながりがある単元。どこかでつまずいてしまうと、その後の学習に大きな影響を及ぼしてしまいます。
「図形」の学習も自宅学習に取り入れることができないでしょうか。

 例えば、丸いホールケーキを家族みんなで食べることを考えてみましょう。そのためには、家族の人数分だけケーキを均等に分けなければいけません。

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(画像出典:https://irasutohonpo.com/hcake/)

 そこで、こういう質問を投げかけてみるのです。

「ケーキを6等分するにはどうしたらいいかな?」

 ここで子どもはどうやったらケーキが6等分になるかを考えます。もしここでお子さんが悩んでしまうようであれば、次のように質問を続けてみましょう。

「6等分ってことは、ひとつの角度って何度になるかな?」

 そうです。ここでケーキを切ることを、角度の問題として子どもに聞いてみるわけです。
 もし、子どもがケーキをうまく切ることができた場合でも、切った後のケーキを指差して「これって何度かな?」と質問してみましょう。「ケーキを切る」という何気ない生活の一コマから、こうした図形の問題を子どもに考えさせることができます。

自宅は算数にあふれている!

 以上、自宅にあるもの出来る算数の学習について書いてみました。この他にも生活のいろいろな場面で算数が使えます。

 例えば、料理の調味料の配合で「比」について考えたり、あるいはネットショッピングをするときの税率計算で「百分率」を考えることだって出来ます。実は自宅って、算数の勉強のきっかけにあふれている。あとは、おうちの方がそのきっかけに気付けるかどうか、そこが重要です。

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(画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1707042?title=%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88)

 また、自宅で生活に結びついた学習をすることには他のメリットもあります。
 子どもにとって算数で出てくる数の概念ってとっても抽象的で理解しにくいんですよね。それがケーキのように生活の中で具体的に理解できると、今まで勉強していた内容がぐっと身近になり、理解も早まるわけです。時計の例でもそうでしたが、大事なのは生活とリンクさせることです。そうすることによって、子どもにとって抽象的で曖昧だった算数の世界が身近になり、算数が好きになるかもしれません。

 というわけで、おうちの方にとっては難しく感じられる「自宅学習」はうまく使えば、算数学習へのきっかけになるどころか、算数という科目をもっと好きになるきっかけにさえなるのです。教材を買わずとも無料でできる算数の自宅学習、ぜひ意識してみてください。

〜まとめ〜
・自宅は算数にあふれている!
・算数を生活とリンクさせることが大事
・考えるきっかけをおうちの方が作ってあげる


今木 智隆(いまき ともたか)
「学びのベーション」編集長。RISU Japan株式会社 代表取締役。
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、デジタルマーケティング専門コンサルティングファームのビービット入社。金融・消費財・小売流通領域のサービスに従事し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した幼児から小学生向け算数教材で、のべ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーでもハイレベル層から、算数やAIの基礎知識を学びたいとオファーが殺到している。

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