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【とまり木通信】vol.4 対話って難しい【まなび会】

こんにちは、「まなびのとまり木」共同発起人の神門(かんど)です。

北海道も異常な暑さが続いており、気候が変わっていく様を体感している感じですね。熱中症は気づいたらなってたというケースがほとんどなので、水分補給・適度な休憩など、お気をつけください。


さて、蒸し暑い日が続く中、7月30日に北海道でODを広める活動をされている「ウチャスコマの会」からご協力をいただき、「オープンダイアローグ(OD)」イベントを開催しました。

第1部でODの映画をみて、第2部ですぐにODを実践するというものでした。


その映画は日本語訳がなされており、Youtube上でいつでも観れますので、ぜひご覧になってみてください。映画の内容を軽く説明すると、ODが生まれたフィンランドの西ラップランド地区に位置する、ケロプダス病院で働く医師や看護師へのインタビューによって構成されています。

ODに向き合う姿勢だったり、現場でどのようにODが実践されているのか、ODにはどのような思想があるのか、などを現場の声や緊張感と共に知ることができます。

日本語訳された書籍では伝わってこない体温を感じられるので、気になる方はぜひご覧になってみてください。



◯ オープンダイアローグ(OD)とは?

ODは、1980年代にフィンランドで生まれた精神疾患に対する療法の一つです。人口6万人の西ラップランド市に位置する、ケロプダス病院で行われたものが始まりです。

2021年5月には、WHO(世界保健機関)の地域精神保健サービスに関するガイダンス『人間中心の、権利に基づくアプローチの促進』において、「グッドプラクティス」の1つとして紹介されました。

Open Dialogueとは「開かれた対話」を意味します。

病院での医者と患者の会話ではなく、患者とその家族や友人、精神科医や臨床心理士などが一堂に集まり、チームでチームで繰り返し「対話」を重ねていくという療法です。

ODでは、問題点の指摘や診断はせずに、ただ対話を繰り返します。
アドバイス、説得、議論もしません。治療を目的とはしません。

ただ、対話を繰り返すだけなんです。


当日の様子


◯ 実践へ!

さて、映画を観終わった後はすぐに実践です!

このような流れで実践を行いました。

ODでは対話を通して自己を見ていきます。この際、どこまで話し・聞いていいのか、センシティブなことではないだろうか、その場の空間は居心地のよいうものなのか、などがそれぞれの心理的安全性につながります。

そのため、「グラウンドルール」をまずはじめに、参加者の皆さんと一緒に作るように心がけています。これは誰かが定め与えたルールではなく、空間が変わるごとにその場にいるみんなで作っていきます。

なので、「自分が嫌だな」と思うものであればなんでも発言してルールに組み込んでいきます。また、ここで話したことは原則「外に持ち出さない」ということも大事です。


ODの進め方

流れ
図で説明


ODでは語り手が中心です。

「中心」とはどのような意味かというと、ファシリテーターや聴き手は自分の話をする(過去の体験など)よりも、「話し手の話すことに耳を傾け、自分(ファシリテーター)の聞きたいことに誘導するのではなく、話し手の話を尊重する。」ということです。

ファシリテーターは、「最近の心の変化でポジティブなこと、ネガティブなことはありましたか?」などから話を始め、話し手は自分の話をし続けます。それに対してファシリテーターはYes or No で答えらない質問をしていき対話を繰り返していきます。

ここまでが①ダイアローグです。


その後、話し手の話を聞いていた聴き手とファシリテーターが、「今の話についてどう感じたか」を話し合います。この時、話し手はその話を聴くことに徹します。これを通して、自分の話したことを目の前の話し合いの中で認知していきます。

これが②リフレクティングです。

ちなみに、リフレクティングはもともとは別のところで生まれたもので、ODがそのエッセンスを引用した形になっています。


このようにODの実践を進めていきました。

説明する様子


◯ まとめ

ぼく(神門)自身、ODの経験が浅かったのもあり、改めて対話は難しいなと感じました。うまくやろうと思ってしまっていることも関係していると思いますが、日常生活における対人コミュニケーションの基本である対話は、重要なのに難しい。特に、どこまで聞いていいのか、聴き方に問題はなかったか、など話し手を尊重しながら聴くことが難しかったと感じました。

日常において「うまく話そう」と思いはしますが、「うまく聴こう」という姿勢はあまりありません。目の前の人の話を真正面から聴くことの重要性を強く感じました。

映画を観ても感じましたが、「ODは手法ではなく思想」なのだと思います。なので、医療行為としてのODでは治療を目的とせず、結果的に治ればいいよねという考えに基づいて行われているのだと思います。


ODに関する書籍は多くあるので、何冊かオススメさせていただきます!

こちらの本は、日本におけるODの伝道者である斎藤環さんの著書です。まんがなのでとてもわかりやすく、ODの雰囲気がわかります。


こちらは対話をする際に何に気をつければいいのか、ということがイラストで説明されています。暗黙知的に省略されている部分が多いので、「やってみたくなるオープンダイアローグ」を読んでから、この本を読むととてもわかりやすいと思います。


最後に、ODの創始者である、ケロプダス病院のヤーコ・セイックラさんの本を紹介します。この本で繰り返し強調されているのが、「人的ネットワーク」の重要性についてです。よりとっつき易い日本語だと「人と人との関係性」で、これこそがODの本質なのだと説明されています。

やはり、ODは思想なのだと強く感じます。


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