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〈開催レポート〉著者と書店と本好きがつながる読書会 byきみトリ&ドレッドノート

『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』著者の舟之川聖子です。4/3(土)の夜、清澄白河のBooks & Cafeドレッドノートさんと、『きみトリ』出版記念オンライン読書会をひらきました。(告知ページはこちら

今はまだリアルで集うには感染リスクが高い時期。そんな中でも、なんとかお店の雰囲気をお届けしながら、本好きさんと濃い交流ができないだろうか。さらに、『きみトリ』を読んでいない方も参加でき、読書会がはじめての方も気軽に参加でき、「読書会をやってみたいけれど、中身はどう進めればいいのかな」と思っている方の参考にもなるといいな......と、とにかくやりたいことを盛りに盛って、知恵を絞って、場の設計をしました。

当日の流れ

●前半は、10代へのおすすめ本紹介。きみトリの著者(聖子&ライチ)と店主の鈴木さんは、店内にある本を。参加者のみなさんからは、申し込み時のアンケートで出していただいた本を。
『きみトリ』は3章に分かれていて、それぞれの章テーマにまつわる、著者おすすめの本や映画のページを章末に載せています。このフレームを使って、読書会で皆さんから持ち寄ってもらったら楽しいのでは?と思い、やってみました。
●後半は、著者による朗読と、それを聞いての感想シェア。
読んでいない方もいらっしゃるので、10分ほどで読める項をピックアップして朗読しました。目でも読みたい方のために、テキストを画面共有もしました。

結果、それはそれは盛りだくさんで、賑やかで、楽しい90分となりました。

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著者と店主のおすすめ本

本好きの方には、「その本わたしも読んだ!」「それならこの本もあるのでは?」など、誰かと(あるいは心の中で)おしゃべりしながら見ていただけたら楽しいと思います。また、Amazonへのリンクを貼っていますが、購入の際にお近くの書店にご注文いただくと、まちの資源を活用したり、応援できるのでおすすめです。

ライチさんから
▶︎『推し、燃ゆ』宇佐見りん/著(河出書房新社、2020年)
推しを応援すること、表現することで自分と出会っていく主人公に自分を重ねる。人とかかわる上での通じ合えなさ、もどかしさに共感する読書体験をぜひ。(『きみトリ』でいえば、思春期、体調、人間関係(境界線)、恋、仕事などいろんなテーマに関わりそう)

鈴木さんから
▶︎『星の王子さま』サン=テグジュペリ/著、河野万里子/訳(新潮社、2006年)
世界中で愛されている名作。「飛行士サン=テグジュペリさんは実は宇宙人(リトル・グレイ)と邂逅した」「バオバブの木は惑星を破壊するほどの威力を持った兵器かも」との斬新な解釈を念頭に読んでみるのはいかが?(『きみトリ』では3章のおすすめ映画にSFを紹介しています)

聖子から
▶︎『戦争は女の顔をしていない』小梅 けいと/著、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/原作、速水螺旋人/監修(KADOKAWA、2020年)
第二次世界大戦で最前線で実際に戦っていた女性たちの語りをコミカライズ。原作は2015年ノーベル文学賞受賞。今までの人生で経験したことのない種類の過酷さや凄惨さに言葉を失う。怖さもあるが引き込まれる。(『きみトリ』では、3章のおすすめ本に戦争に関連した3冊を載せています)

参加者のおすすめ本

第1章「あなたの心と身体のこと」にまつわるおすすめ本
▶︎『なまけ者のさとり方』タデウス・ゴラス /著、山川 紘矢・山川 亜希子/訳(PHP研究所、2004年)
▶︎『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』アンディ・プディコム/著、満園 真木/訳(辰巳出版、2020年)
▶︎『あしながおじさん』ジーン・ウェブスター/著、岩本正恵/訳(新潮社、2017年)
▶︎『エヴリデイ』デイヴィッド・レヴィサン/著、三辺 律子/訳(小峰書店 、2018年)
▶︎『からだ ドックンドックン ・・・』ナムーラミチヨ/著、聖路加看護大学からだ教育研究会/監修(赤ちゃんとママ社、2013年)
▶︎『ワンダーWonder』R・J・パラシオ/著、中井はるの/訳(ほるぷ出版、2015年)
▶︎『ビターチョコレート』ミリアム・プレスラー/著、中野京子/訳(さ・え・ら書房、1992年)

第2章「あなたと誰かの関係性」にまつわるおすすめ本
▶︎『西の魔女が死んだ』梨木香歩/著(新潮社、2001年)
▶︎『少女のための性の話』三砂ちづる/著(ミツイパブリッシング、2018年)
▶︎『初秋』ロバート・B. パーカー/著、菊池光/訳(早川書房、1988年)
▶︎『友だち幻想』菅野仁/著(ちくま書房、2018年)
▶︎『影との戦い―ゲド戦記〈1〉』アーシュラ・K. ル=グウィン/著、清水真砂子/訳(岩波書店、2009年)
▶︎『鉄のしぶきがはねる』まはら三桃/著(講談社、2011)

第3章「あなたの社会の関係性」にまつわるおすすめ本
▶︎『雲の向こうはいつも青空』(不登校当事者や親のインタビュー集)
▶︎『青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記』高橋絵里香/著(講談社、2007年)
▶︎『ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈上〉〈下〉』リチャード・アダムズ/著, 神宮輝夫/訳(評論社、2006年)
▶︎『なぜ僕らは働くのか-君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』佳奈/著、池上彰/監修(学研プラス、2020年)
▶︎『僕は、そして僕たちはどう生きるか 』梨木香歩/著(岩波書店、2015年)
▶︎『社会的処方: 孤立という病を地域のつながりで治す方法』西智弘/著・編集、藤岡聡子ほか/著(学芸出版社、2020年)


うわー、どれもこれも読んでみたい本ばかりです!「書名はパッと出ないけれど、重松清さんの小説」というコメントもいただきました。

この中から2冊について、お二人におすすめポイントを紹介していただきました。

・『少女のための性の話』
生理、妊娠、出産、子育て......「ぜんぶ、つらくない!」という姿勢で書かれている。自分のからだを受け入れ女の子の自己肯定感を高める27篇。「誰とでも機会があったらセックスしてもいいでしょうか?」という質問に対する「メキシコの呪術師が、"金色の蛇"をつかって説明している」との答え方が、とても素敵で力になるので、この一篇だけのためにこの本を読んでほしいぐらい。
・『鉄のしぶきがはねる』
工業高校が舞台。圧倒的に男の子が多い中で、少数派の主人公の女の子は、ものづくりへの興味が消えつつあったが、「高校生ものづくりコンテスト」を目指す部活に入り、ある部員から「ものづくりはなくならない!ものづくりは楽しいからだ!」と言われたことがきっかけで、変化していく。自分も人の輪の中に入りづらかった学生時代に、ある団体に入って興味のあることを一緒に体験していくことで友だちができた経験があり、共感した。

時間の都合で2冊だけでしたが、聴かせてもらえてよかった〜と思うような、著者へのリスペクトと作品への愛に満ちる時間でした。本にも興味が湧きましたし、どの本にも「それぞれの人」にしかない「ここがよかった!」があり、人生の一部が刻まれているのだなぁと想像して、圧倒されました。

ここで『きみトリ』について、簡単にご紹介をして、朗読タイムへ。

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「友だちのトリセツ②誰かと友だちになるときに」

朗読を聞いていただいた後、感想をシェアしていただきました。
・書いた人の声で読んでもらうのはいい。
・「物とも友情を結ぼう(一人の時間を大事に)」「友だち関係は変わる、終わる」など、それでいいんだよと本で肯定されるのは力になる。
・勤め先で会う10代の人たちに、『きみトリ』のような等身大のかかわりや、言葉なら届くのかもしれないと思った。

また、「幸せだった小学生の頃を思い出して、懐かしい気持ちになった」「小学生の頃の読書経験が今につながっている」「友だちについては、むしろ今のほうが悩みを抱えているかも」という話題から展開して、
・習い事などで忙しいと、自分の世界をつくる暇がないかも?
・人生の宿題がいつ来るかは人それぞれ。10代だけの問題ではないかも
・転校して、居場所を見つけられないこと、人と話が合わないことに悩んでいたことを思い出した
・「一人ぼっちは最強の戦略」というフレーズを思い出した。

あー、その人の人生の一片を見せてもらえた感じ、この知と知的好奇心を持ち寄っている感じ、たまらないですね!読書会ってやっぱり楽しいです。

こうやって著者がお店と参加者の間に入ってファシリテーションして、場でやりとりを促すというのも、この読書会はユニークだったかもしれません。一般的には、お店が主催で著者をゲストとして招いて、お客さまに紹介するというかたちが多いですよね、きっと。

今回は自分から働きかけて(営業に行って)、一緒にひらく人たち、来てくださる方々と協力しながらつくった場。まさに『きみトリ』の「場づくりのトリセツ」で書いた、「好きなもので場をひらき、そこで仲間と出会う」を実践した感がありました。

記念撮影

皆様からいただいたご感想

・皆さんのおすすめ本が聴けたのがよかった。
・自分のおすすめの本を紹介できるのもうれしかった。
・タイトル通り、本当に読んでいなくても、持っていなくても楽しめる会で、びっくりしました。楽しかったです。
・まだ本を入手していませんが、読みたくなりました。
・朗読から参加者の語り合いができたのがよかった。
・著者に「あの項がよかったです!」と伝えられてよかった。

きみトリをどんな人に読んでもらいたいですか?の質問には、
・昔、10代だった大人。それから10代。今の20代、30代も読んだらいい。結局、全世代。今の高齢の人が読んだら、卒倒するかもしれない(笑)それも楽しいかも。
・自分と同年代、それも男性に届くことを夢見ております。
・一人ぼっちがかっこ悪いと思っている10代の方へ。またその親御さんへ。
わーいいですね、いいですね!

・自分で読書会をひらきたい!
という方もいらっしゃいました。『きみトリ』で読書会をひらくのに許可は要りませんので、どんどんやっていただければ!『きみトリ』を使ってこんな会をひらきましたよ!というご報告やSNSでの発信も大歓迎です。

・きみトリと一緒に「自分のトリセツ」づくりワークショップを企画したい!
とのお申し出もありました。ぜひやりましょう。お声がけください。

・ドレッドノートさんに行きたくなった。鈴木さんのお話がおもしろかった。
このお店と店主さんの魅力をシェアできて、ほんとうによかったです。「鈴木さんの存在、お話はなんか元気出ます」とはライチさんの弁。同意です。

・プリン食べたい!
そうそう、盛りだくさんな中に、突然食レポもしてしまいました!
こちらのチーズケーキとプリン、絶品なのです。プリンは「鏡面仕上げ」と呼びたくなる光沢が美しく、固め派にはたまらない食感です。チーズケーキは両国の吉良亭製。ほどよい甘みと酸味にドレッドノートさん製のベリーソースがマッチしています。

Collage_Fotor_ドレッド

バリスタの淹れるコーヒーと特製ホットサンドもあります。美味しい上に、本も買えて、読書もPC作業もはかどるお店は、まちの宝ですね。現代美術館の帰りに、まち歩きの休憩に、お仕事にぜひお訪ねください。

聖子とライチのサイン入り『きみトリ』も置いてくださっています。『きみトリ』をお買い上げの方には、コーヒー割引券のプレゼントもあります!
Twitter:https://twitter.com/suzukitaitou
Hp:https://www.dread-nought.com/
お店の存続と雇用の維持、ご来店のお客様の安心安全の環境整備のため、4月30日(金)までクラウドファンディングを実施されています。
https://readyfor.jp/projects/dreadnought


ご参加くださった皆様、ご関心をお寄せくださった皆様、ありがとうございました!

きみトリプロジェクトでは、今後もいろいろな書店さんとコラボして読書会やトークイベントをひらいていきたいと思っています。
「ぜひ我が店と!」という書店さん、「お店の人に紹介するよ!」という方、ご連絡お待ちしております。kimitori★http://gmail.com(★→@)

▼きみトリプロジェクト・ポータルサイト

▼書籍『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』


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