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これぞ「王者のメンタリティ」。

家族にバスケ好きが多く、
かつ女子のトップカテゴリー「Wリーグ」ENEOSサンフラワーズの寮が実家のすぐ近くにある、という縁もあって、
サンフラワーズの試合は実家のHDDによく入っています。

今日、先日行われた皇后杯(全日本選手権)の決勝を見たのですが、
この試合がめちゃめちゃおもしろかった…!


サンフラワーズは、2008年以来、主要タイトルを一度しか逃したことがないという、名実ともに女子バスケ界の「最強」チームで、
ベストメンバーとなれば、もはやスターター全員が日本代表、
みたいな感じのチームなのですが、
今のチーム状況が、かなり危機的でして。

今季のリーグ開幕戦のスターター5人のうち、
3人(もちろん全員代表選手)が相次いで負傷で離脱し、
15人いるチームで、少なくとも5人がそもそもコートにすら立てない。


そんな状況ですから、この決勝戦のスターターには、
これまでリーグ戦で一度もスターターに入ったことがない選手が2人も入りました。
しかもスターター5人のうち4人は、
前日の準決勝でほぼフル出場しているという消耗ぶり。
(しかもこの4人は、結果的に全員が決勝も40分フルタイム出場した)

もちろん「最強チーム」の一員であるとはいえ、
リーグ戦で普段出場機会の少ない選手や、ルーキー・2年目の選手が、
代表で主軸を張るような選手の代役を、この一発勝負の舞台で務めなければいけない。

しかもそんな状況でも、「常勝」サンフラワーズでこれまで先輩が積み上げてきた「連覇」の記録を、自分たちが止めるわけには絶対にいかない。

実際、経験豊富なはずのチームキャプテンが
「プレッシャーに押しつぶされそうだった」
「3日間、全然寝られなくて、負けたらどうしようって思っていた」
と語るくらいですから、
その重圧たるや…。想像を絶するものがあります。


しかし、さすがは「絶対王者」。
圧倒的なピンチを、このチームは見事に乗り越えました。

試合序盤こそ相手の攻勢に苦しみ、一時は二桁点差のビハインドを負うも、
粘り強いディフェンスからの攻めでじわじわと点差を縮め、
3Q終了間際でついに逆転。
最終4Qでは、リードを奪う中で相手が早々とチームファウル5つに到達、
さらに残り5分余りで敵のタイムアウトをすべて使いきらせるという盤石ぶりで、ゲームセットのブザーを鳴らしました。


試合後のインタビューや、大会中のプレビュー、レビュー記事を見ても、
これこそ「王者のメンタリティ」だなあ、という発言が、
この大会で躍動した選手から様々に聞かれました。

監督が
「普段全日本の選手と一緒に毎日練習しているのだから、このチームは誰が出ても大丈夫」
と言えば、
今季からスターターに定着した選手が
「自分が先発になって優勝を逃したとは絶対に言われたくない」
と強い負けん気を見せ、
普段から主戦を張る選手も
「自分がやらなければという気持ちでコートに立ちました」
と代わってリーダーシップを発揮する。

普段は分厚い選手層に阻まれてなかなか試合に絡めない選手だって、
日々練習で、代表選手とマッチアップしてきたという経験を信じて、
大舞台のコートに立つ。
そしてそんな「控え選手」たちが実際に試合で活躍することで、
「自分たちはこれだけやれるんだ」と自信を深めて、
さらにチーム力が底上げされていく。

そんな過程を、ひとつの試合を通じてたっぷりと堪能させてもらいました。

この大会中、大車輪の活躍を見せたルーキー選手が
「自分たちは失うものがない。『当たって砕けろの精神』です」
と言い放つくらいですから、このチャンピオンチームは末恐ろしい。

年の瀬に、いい試合を見させてもらいました。

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