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「われは海の子」。これまでも、これからも。

どこで見つけたのかわかりませんが、偶然ツイートだったかニュースだったかを見つけたことで知った、このトピック。

高政というのは、宮城県では知らぬ人がいない、有名な蒲鉾の会社。
女川町という、東日本大震災で大きな被害を受けた町に会社や工場を置いています。
たぶんCMもどこかでは目にしているのだろうけど、最近テレビをほとんど見ていないこともあって、CMソングにアイナ・ジ・エンドさんが起用されているというのは、このツイートを見るまで知りませんでした。

本当にシンプルな旋律に、アイナさんの特徴的な声もあいまって、すごく情緒的なアレンジになってますよね…。
聞いてるとすごくしみじみとした気持ちが湧き上がってきます。


この素敵なカバーが生まれた背景には、BiSHの所属する事務所「WACK」と女川町の素敵な交流、ご縁があったのですが、これも私はこのニュースを見るまで知りませんでした。

文中にもある通り、女川町は若い世代が前面に立って復興を進めたことで、他の自治体にはない「おもしろい」動きが次々と生まれている、まさに「復興のその先へ行く」姿を体現している自治体です。
私も仕事でもプライベートでも何度も訪れたことがありますが、本当に「ワクワクする」まちなんですよね。


正直、東名阪のアリーナを悠々埋めるような有名アイドルのフェスを、人口4桁のまちに誘致しよう、というだけでもかなり大胆なのに、
それもとても「王道」とはいえない、なんなら放送禁止用語がまったく隠れてないようなタイトルをつけちゃうグループを呼ぶなんて、行政にも地元住民にも眉をひそめる人はいくらでもいそうです。
「田舎的感覚」で考えると、相当難儀してもおかしくない出来事のように思うのに、逆に町長自ら大歓迎している、なんならノリノリなところが、このまちのメンタリティを象徴しているように思えてなりません。

「『明日のことも考えられない』っていう皆さんが大勢いらっしゃるなかで進まないといけない。何年後か、その人たちが顔をふと上げたときに、『こんなに変わっちまったよ』っていう声だってあるだろうし、『こんなふうに変えてくれたんだ』っていう声もあるかもしれません。ただ、皆さんが『一歩、踏み出してみようか』って感じてもらえるように、と思ってやってきました」(須田善明さん:女川町長)
「やっぱり『被災地』が文脈の一番最初に来ちゃう部分は否めないです。でも、それは前提じゃなくて背景。僕らがやりたいのは、被災から立ち上がることではない。どういう町になりたいかとか、どういう未来が欲しいかっていうモチベーションで前に進んでいるんです」(高橋正樹さん:蒲鉾本舗高政社長)

そして、この女川の人々のメンタリティというのが、
冒頭で紹介した「われは海の子」という曲にも宿っているように感じるのです。

我は海の子白浪しらなみ
さわぐいそべの松原に、
煙たなびくとまやこそ
我がなつかしき住家すみかなれ。

生れてしおにゆあみして
なみを子守の歌と聞き、
千里せんり寄せくる海の
吸いてわらべとなりにけり。

高く鼻つくいその
不断《ふだん》の花のかおりあり。
なぎさの松に吹く風を
いみじきがくと我は聞く。

津波で町を根こそぎ奪われた地で、地元に根差す蒲鉾メーカーが、
CM曲として「われは海の子」を選ぶ。

どれだけ多くを奪われようと、我々は海とともに生きてきたし、これからも海とともに生きていく。
そんな矜持を感じるようで、強く心に響くものがあります。

ぜひ、多くの人に繰り返し聞いていただきたい名曲、名アレンジです。
Spotifyはじめ、各種音楽配信サイトで配信されているので、ぜひ!

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