【音楽サブスクって稼げるの?】#4 音楽の持つ権利って?
\音声でもお楽しみいただけます!/
タメになる音楽情報を発信中のポッドキャスト「アーティストのミカタ」では、 全5回にわたる大型企画が進行中です!
今、アーティストが最も気になるポイントのひとつである
「サブスクって稼げるの?」
という疑問の答えに様々な観点から迫ります。
企画の第4回目となる今回は、音楽に関する権利関係について取り上げました。
noteでは、ポッドキャストの内容を文字に起こしてお届けしていきます。
↓前回の記事はこちら↓
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【参加者プロフィール】
中野…ポッドキャスト番組「アーティストのミカタ」進行役。
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中野:こんにちは!
ポッドキャスト「アーティストのミカタ」進行役の中野です。
沢井:サックスプレイヤーでプロデューサーの沢井です。
中野:「アーティストのミカタ」はその名の通り、音楽活動をする上でタメになる知識をアーティスト向けにわかりやすく発信していく番組です。
日本を代表するサックスプレイヤーでありながら、数々の有名アーティストのプロデュース、また音楽講師も勤められるなど、多方面で音楽と向き合ってこられた沢井先生に、今アーティストが知っておくべき内容をピックアップして解説していただきます。
さまざまな音楽活動をすることができる今だからこそ、アーティスト自信が必要な知識を身につけることでもっと自由に音楽を楽しんでいきましょう!
今回もよろしくお願いします。
沢井:はい、よろしくお願いします。
中野:現在、この番組ではアーティストがよく抱く「サブスクって稼げるの?」という問いの答えを探すべく、全5回に渡り、サブスクについて理解を深める企画を進行しています。
番組としての答えは一応出ていて、条件付きではあるものの「稼げる」ということなんですが、「なぜ稼げると言えるのか?」「どうしたら稼げるのか?」というところをサブスクの普及率や仕組み、構造などをひとつずつ理解しながら順番に紐解いていこうと思います。
そして今回も、前回に引き続き、音楽サブスク時代を駆け抜けるアーティストの方をゲストとしてお呼びしています。
ピアニストのMinkさんです。
Mink:よろしくお願いします!
中野:今回のテーマは少し難しいので、今まで敬遠してきたという方もいらっしゃるかと思うのですが、「音楽に関する権利関係について」沢井先生に解説していただきたいと思っています。
沢井:権利って言うと少し難しい話になるんだけど、仕事をやっているとその仕事の仕組みっていうのは、その仕事に関わっている人は大体わかっているものだと思うんだよね。
でも、音楽家はやっぱり芸術家的な志向を持っていて、「お金のことなんてどうでもいいんだよ」みたいな感じで考えている人が多いのかなと思う。
だからいわゆる権利のことって、疎い人が多いよね。
Minkは音楽の権利のことについて、どの程度知ってる?
Mink:いや、ほとんど知らないですね…。
知っとかなきゃいけないな、とは思って調べたりはするんですけど、やっぱり難しい単語とか出てきて、よくわからないまま閉じちゃったりします。
沢井:じゃあいまのところ、ほぼ何もわかってないって感じ?
Mink:はい。
沢井:じゃあ教えてあげましょう!
Mink:お願いします!
沢井:まず、「音楽著作権」って聞いたことあるよね?
それってどういう権利かわかる?
Mink:音楽を作った人が、勝手に他の人に利用されないようにしたりする権利かな、と思います。
沢井:なるほど。「音楽」っていう言い方したけど、それってどんなもののことを指してる?
Mink:曲ですかね。
沢井:じゃあ「曲」っていうのはどういう定義で認識すればいい?
音源として出来上がっていないといけないと思ってる?例えば、CDとか。
Mink:そんなことはないと思います。
沢井:じゃあどういうものだと思う?
Mink:うーん、わからないです…。
沢井:じゃあここで、鼻歌を歌ったとする。
それって著作権に関わると思う?
Mink:いや、それはないと思います。
沢井:じゃあ例えば鼻歌を録音して「これ俺が作ったんだ」って言ったらこれは著作権が発生すると思う?
Mink:しないんじゃないですかね?
沢井:するんだよ!
例えばMinkが鼻歌とかを歌ったり、ちょっとメロディー書き留めたりして「Mink」っていうサインしたらそこでもう著作権は成立してるんだよ。
絵も同じ。
絵を描いて、そこにサインをすることで自分が描いたって証明をすることができる。
要するに自分が作ったっていうこと証明できれば著作権が発生するんだよ。
譜面だったり録音物だったりね。
Mink:なるほど!
じゃあ形に残っているもので、「自分が作った」ということがわかれば著作権を主張できるということですね。
沢井:そう!
じゃあこういう場合はどう思う?
隣の友達がMinkが曲を作っているのを見ていて、「いい曲だ」と思って譜面を書いて、どこかで録音して「この曲は自分の曲だ」と世の中に出した。
そういう時はどうしたらいいと思う?仕方ないこと?
Mink:仕方なくはないですけど、それはどうしようもないですよね?
沢井;この場合は、Minkが自分で作ったっていうのを証明できれば裁判できるんだよ。
それで著作権侵害を訴えられる。
それを公にやっているのが、著作権管理団体っていうところだよね。
例えば、JASRACとか。
そういう団体に、一般には「著作権を登録する」とか「預ける」っていう言い方をするけど、それは間違いで「譲渡している」っていう表現が正しいんだよね。
譲っているってこと。
だからJASRACに登録してある曲は、全部JASRACの曲なんだよ。(厳密にいうと、JASRACは管理委託されていて、音楽出版社が権利を持っている)
Mink:そうなんですか!
沢井:だから強く主張できるんだよ。
「うちの楽曲使いましたよね?だったら、使用料ください。」って。
音楽でいう著作権っていうのは、作曲と作詞に対して発生するんだよ。
で、その楽曲には著作権の他に隣接している権利っていうのがあって、それを「著作隣接権」っていうの。
少し難しいよね。
例えば、曲を作って何かの形で録音した場合、その音源のことを原盤というんだよ。
そこにかかってくるのが、「原盤権」っていう権利。
原盤を作るのに、お金を出した人がその原盤権を持つことになる。
この「原盤権」は、「著作隣接権」のひとつなんだよ。
Mink:なるほど!
沢井:だから、Minkが自分でお金出して録音をしたら、著作権も原盤権もMinkが持っているということになるよね。
Mink:はい。
沢井:原盤権の他にも音楽の著作隣接権っていうのは色々あるんだけど、今アーティストにとって大事で、絶対に知っておくべきなのは原盤権と著作権だね。
著作権料っていうのは法律で決められてて、CDだと定価の6%。
楽曲の著作権管理がJASRACにある場合、その楽曲を使用した人は、収益のうち、6%に当たるお金をJASRACに支払わなければいけないということだね。
例えば、Minkが音楽出版社に楽曲の著作権を譲渡してJASRACに管理委託してCDを作ったとする。
そしたら、自分で作ったにも関わらずJASRACにCDの著作権使用料を払わなきゃいけないの。
で、JASRACは、徴収したお金を最終的には手数料を引いてMinkに戻す。
そうやってお金は回ってくるんだよ。
だから、著作権っていうのは複雑で、例えば宇多田ヒカルがCDを出した場合、レコード会社が著作権使用料っていうのを著作権管理をしているJASRACに支払う。
それで、その後にJASRACから音楽出版社(※)を通して宇多田ヒカルにそのCDの収益が入ってくる。
Mink:なるほど。
沢井:あと、楽曲の使用料っていうのは、コンサートで宇多田ヒカルの曲が使われたり、放送で流れた場合もお金が入ってくるんだよ。
Mink:よくバラエティ番組の後ろで少し流れているような場合も、入ってくるんですか?
沢井;入ってくる。
Mink:へー!
沢井:そういう時に使用料を払わなくて済むように、テレビ局が著作権フリーの曲を作ってるってことだよね。
Mink:なるほど。
沢井:だから、放送使用料っていうのはすごい金額が発生するんだよ。
「みんなのうた」ってあるでしょ?
全国放送で、1日何回も、2週間くらい流れるとすると、放送使用料だけで三桁のお金が入ってくる。
放送使用料ってそういうものなんだよ。
あとはカラオケで歌われたり、レンタルCDが借りられたり、ラジオで流れたり、譜面になったりしたらその都度権利を持っている人にお金が入ってくるんだよ。
Mink:すごいですね!
沢井:それと同じように、サブスクで配信された場合も、ちゃんとお金が入ってくる。
サブスクの場合は、ユーザーが支払う利用料金が980円だとしたら、そのうち、何%が著作権使用料として支払われてるか知ってる?
Mink:知らないです。
沢井:CDの場合は6%で、3000円だとしたら180円JASRACに支払われてるんだよ。
Mink:でもCDよりは少ないんじゃないですか?
沢井:いや、多いんだよ!7.7%。
そのお金はどこが支払っているかというとDSP(※)。
その著作権使用料はJASRACに支払われて、そこからまたアーティストのところに戻ってくるんだよ。
Mink:なるほど、難しいですね。
沢井:そうだね。だから原盤権の話ももう少ししたいんだけど、そろそろ時間になってきちゃったね。
中野:はい、権利はアーティストにとってすごく大切な部分のひとつですが、難しい分野でもあるので、また別に新たな機会を設けて詳しく取り扱っていければと思います!
次回はいよいよ最終回なので、サブスクは稼げるのか?という問いに対しての結論を出していく回になります。
今回もありがとうございました!
次回もお楽しみに!
沢井、Mink:ありがとうございました!
〜今回のポイント〜
・たとえ鼻歌やメロディーを書き留めたメモ等であっても、製作者が自分であることが証明できれば著作権を主張することができる。
・音楽の著作権は、作曲者と作詞者に与えられる。
・著作権管理団体に管理委託した場合、自分が制作した曲であっても、その曲の使用料は著作権管理団体に支払わなければならない。
・音楽にまつわる権利として、著作権の他に「著作隣接権」がある。
・楽曲を録音した音源を、「原盤」という。
・「著作隣接権」のひとつとして「原盤権」があり、「原盤」の制作費を出した人にその権利が与えられる。
・アーティストが必ず知っておくべき権利は、「著作権」と「原盤権」。
・著作使用料は法律で定められており、CDの場合は定価の6%、サブスクリプションの場合は、7.7%である。
・CDの著作権使用料は、CDを制作したレコード会社が著作権管理団体に支払い、手数料を引かれた上で音楽出版社を通して楽曲の著作者に戻される。
・サブスクの著作権使用料は、楽曲を配信しているDSPが著作権管理団体に支払い、手数料を引かれた上で音楽出版社を通して楽曲の著作者に戻される。
・著作権使用料は、CDやサブスク以外にコンサートやカラオケ、CDレンタル等で利用された場合にも発生する。
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