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21-24 駄文・日記・ロンドンの毎日

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留学生としてのロンドンでの毎日。日記(駄文)とロンドンの毎日は重複するため勉強以外のことはここに丸投げ。
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2023年5月の記事一覧

【日記】そういうもんだよ

【日記】そういうもんだよ

グラスを拭いている私の斜め後ろで、予約の電話を取っていた上司がしょりしょりと鉛筆を削る音が聞こえた。ふっと無性に、ああ美しいなと思う。大英博物館の前の人気店のマネージャーと、十数年前にお城のある田舎街でセーラー服を着ていた10才の少女が同じことをしている。しょりしょり。

【そういうもんだよ】「風邪ひいた?」

バイト先のバックヤード、10時間のちょうど半分の休憩時間。咳止めシロップで痛み止めを流

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【日記】移民・末路

【日記】移民・末路

私の後ろに立っていた老人が、モゴモゴと何かを呟いた。

ヒースロー空港の入国審査は、かなり並ぶ。天井が丸いタイルに彩られたあそこである。自動改札みたいなのを使えるはずなのだけれど、私は在留許可カードを持っているからなのかなんなのか、私は毎回対人じゃないと機能しない。自動改札に並んでみたら今回もダメで(ごめんなさい)、後ろで忙しく捌いていたおばさんが、「ごめんね〜大人のカウンターの方行ってくれる?」

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【日記】あなたは私みたいな人と付き合いたいと言うけど

【日記】あなたは私みたいな人と付き合いたいと言うけど

バイトの年上の後輩が「まなかさんみたいなひとと付き合いたいなあ、」と言うので、私は爆速で「付き合う?」と返しながら、これを冗談と判断するラインはどこにあるのだろうなあ、と思っていた。

バイトの年上の後輩(私は年上を一律で先輩と呼ぶので例外なくセンパイと呼んでいる)が、「イギリス帰ってきた?」と連絡をくれたので(バイトのシフトを見ればわかるので)、遊びに行った。目がクリクリとして明るくて可愛いひと

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【日記】京浜東北線

【日記】京浜東北線

京浜東北線と山手線の交点の一つに、田端という駅がある。ホームに降り立つと2本並列に並んだホームのそれぞれから双方向に京浜東北線と山手線が走っていくのが見えて、なんだか綺麗だなあ、と思う。

京浜東北線には途中で止まってしまうものと、遠くまで行くものがあるらしい。何も考えないで乗ってから目的地まで行かないことに気がついて、どうしようかと思う。ふと目を上げれば、サラリーマンっぽい人たちが複数電車を降り

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【日記】1年ぶりに髪を切って染めた話

【日記】1年ぶりに髪を切って染めた話

髪を切って染めた。

ほぼ1年前、シンガポールで切った時以来である。ブリーチと黒染めを重ねて色がまばらになってしまった髪を手なづけて、ちょっとでもよくしようの会と言っても良い。

美容院に行くというのは、なんとなく緊張する。緊張するが、予約の時に「できるだけ静かに過ごしたい」にチェックしているので、いつもの美容師さんと髪の色と長さと方向性を決めるだけで会話が終わる。ありがとうございます。私は彼女の

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【日記】現実味

【日記】現実味

帰省という言葉を自分が使う日が来るとはあまり思っていなかったのだが、というのはうちの家族は父方や母方の両親のところに帰省することはなかったので帰省の文化がなかったらしいのだが、とにかく今の私は年に1回東京に帰省するわけであり、今年もその時期がやってきた。帰省って年に1回だろうな〜となんとなく思っていたら、周りの学生たちは意外と頻繁に帰っていたのは知らなかったことにしておこうと思う。帰省って一回する

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【日記】暖かな春の日に

【日記】暖かな春の日に

暖かな春の日に、私は実家の周りを歩いていた。

4月初め、どうしても日本に帰らないといけない用事があって4日間だけ帰った。人に会う暇は何もなかったので、誰にも言わないでこそっと帰って、こそっとまたロンドンに戻ってきて、しれっとシフトに入った。しれっと。

家の外に出る。母と別れて少しコンビニに歩く。カフェインを摂取しないと寝てしまうからだ。コンビニのプリンターで印刷しようと思ったら、プリンタの中に

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