「偏差値至上主義」の住人から脱出しませんか?

ほぼ全ての親御さんが我が子の幸せを願っていると思います。そのために、偏差値の高い大学に行かせたいと考える親御さんも少なくないでしょう。

ただ子どもが幸せになるために学歴は重要ではありません。なぜそう言えるかというと、2018年に同志社大学と神戸大学共同で日本人数万人を対象に、「所得」、「学歴」、「人間関係」、「心身の健康」、「自己決定」がどの順番で幸福に寄与するかを調査した結果が根拠となります。その結果は以下です。

1位:心身の健康
2位:人間関係
3位:自己決定
4位:所得
5位:学歴

なんと学歴は最下位でした。所得や学歴よりも、自己決定の方が幸福には重要ということです。自己決定とは、自分の行動や進むべき道(学校・就職など)は自分で決めることを指します。

親や周囲のプレッシャーにより、小さい頃から勉強を強制させられて、世間的に良いとされる大学に行って、その流れで所得の高い就職先に入ったAさよりも、親や周りが本人のしたいことを尊重して、思うがままに自分で行動を決めて、進路を選択してきたBさんの方が幸せだということになるでしょう。

もしAさんが最初は親に無理やらされてきた勉強が、いつしか自分のやりたいことや目標と直結することに気づき、そこから自発的に取り組んだのであれば結果は違うかもしれません。

ただ自分の意志とは関係なく、親や周囲の期待を応えるために、その道を選んだとしたら、Aさんの人生に「自己決定」の要素は少ないので、世間的には羨ましがられても、Aさんは自身は心の底から幸せを感じません。

Aさんとその周りは言ってしまえば、「偏差値至上主義」の住人です。従来、今も世間の多くの方が依然この主義の住人だと思います。だから私が勤めるような受験塾が市場として成り立っています。

ただこの先はどうなのか?というと疑問しか残りません。子どもの幸せのために偏差値の高い大学に行かせて、世間的に安定といわれる会社に入ったとしても、当の本人は幸せになるのか?ということです。

先述した調査結果によると、学歴や所得は、健康・人間関係・自己決定より、幸せにおいて重要ではありません。

むしろ学歴を追い求めるプロセスで、心身の健康を及ぼしてしまうリスクすらあるでしょう。私はそうなってしまう家庭をいくつも見てきました。

少なくとも私が勤める学習塾の多くの生徒は目が死んでいます。私を始めとする学習塾で働いている人間の責任もあるしょうが、大部分はやりたくもないことを親や周囲のプレッシャーによってやらされているからです。

今している勉強が将来どう役立つのかが、ある程度明確になっている子であれば、頑張れるかもしれません。ただ多くの生徒はそうではないでしょう。何のために勉強をさせられているのかわからないまましています。

仮に親の期待に応えて偏差値の高い良い大学に入り、安定といわれる会社に所属しても、VUCAと言われる時代において、その先どうなるかはわかりません。所属した会社が勤めている間に潰れるリスクはより高まっているからです。

必然と転職や起業など、自分の道を切り開いていくことが求められます。そうなると、親や周囲の期待に応えるために勉強をし続けた子は、自ら考えて・行動する力は養われていないので、詰みます。

ですので、もうこの先どうなるか分からないので、ここ数十年ほど続いた偏差値至上主義の住人から脱出しませんか?誰も幸せになりませんよ。と私は言いたいです。

それではこの先の教育では子どもたちの偏差値を高めることに代わって、何が重要になるのでしょうか?私は次のようなものだと考えます。

心身の健康維持・向上をするためのフィットネス
より良い人間関係を構築するための術の習得
自分の人生を自分で切り開くための自己決定力を養う
親世代が子どもの意思決定を尊重できるようになるためのアンラーニング

各項目の詳細の考えは、また次の機会にお伝えできればと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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