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「D'you know what I mean?」に託されたパーソナルな心の吐露が人間らしさを増すドキュメンタリー『アズ・イット・ワズ』

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実を言うとオアシスのギグは一度しか観たことがない。2000年7月22日のウェンブリー・アリーナでサポートはハッピー・マンデーズだった。初めてのスタジアム・ギグだったので、割と早くから(多分4時くらい?)ウェンブリーには入場していたものの、人が多すぎて(当たり前だが)前方に細長く突き出たステージにさえ近づけなかったのを憶えている。

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昨夜BBCにて、 リアム・ギャラガーのドキュメンタリー『アズ・イット・ワズ』が放送されており、観る予定はなかったのだが(深夜枠だったので、いつもはもうベッドに入っている)、結局最後まで観てしまった。

オアシスは言わずもがなビッグバンドだし、それに付随するように彼らに関するスキャンダルやゴシップは常にメディアを賑わしているので、正直言うと、映画の内容には、そこまで目からウロコな情報はなかった。

しかしながら、実は、私はリアム・ギャラガーと同じ街に住んでおり、たまに近所で見かけることがあり、パパラッチに追いかけられて、車から飛び出て、その車にFワードを浴びせているところ(「子供が乗ってるんだぞ!Fキン追いかけてくるんじゃねえ!」)に遭遇したこともあるし、子供を公園の砂場で遊ばせていた時、リアムがジーンを連れてきて、スコップとおもちゃのトラック(日本製)を貸してあげたことがあって、ああ、あの時彼はこの騒動の真っ只中だったんだなあ、と勝手に自分の思い出とクロスさせて、少し感情的に観入ってしまったりなんかもした。

ドキュメンタリーの内容に関しては、ファンの人も、そうじゃない人もそこそこ楽しめるんじゃないかと思うのだが(ステージに立つシーンは多いけど、演奏シーンはほとんどない)、実は観ていて、心がほっかりしたのは、リアムの息子たち、レノン(パッツイ・ケンジットとの息子)とジーン(ニコール・アップルトンとの息子)がとてもいいリレーションシップを築いているなあ、というところ。リアムが語るにはレノンは落ち着いていて、ジーンはどちらかというと活発な方。少し前に何かのインタビューで、息子たちのバンドについて触れていて、「レノンのバンドは初期のザ・ヴァ―ヴみたいで、ジーンのバンドはアークティック・モンキースタイル」と言っていたのを思い出した。リアムのツアーに同行して、一緒に過ごす時間が多いからか、本当の兄弟みたいにじゃれ合っているところ、ステージ袖で二人で真剣にリアムのパフォーマンスを見守るシーンなどは、心温まったわ(筆者も二人の息子の母)。

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ジーン(左)とレノン(右)。どちらもリアムの面影があるね。

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好きな紅茶を訊かれて、「ヨークシャー・ティーがベスト」というリアム。「PG Tips はフットボールで言うと、最強だったけど、頂点から転がり落ちて二度とプレミアシップには戻れないチームのようだ」とライバルの紅茶ブランドをこき下ろす(筆者注:PG Tips 不味くないですよ...)。「反対にヨークシャーティーは本当に美味しいのに、チームとしてはマジで最悪だ、ってことだよ」。こういうジョーク上手いよね、リアム。

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よく考えたら、ビーディー・アイも一度観ていた。2011年にブリクストン・アカデミーで行われた東日本大震災の復興支援イベント「ジャパン・ディザスター・ベネフィット」。これはリアムがオーガナイザーとしてミュージシャンたちに声を掛けて実現したものだった。ラインナップは、ポール・ウェラー、プライマル・スクリーム、リチャード・アシュクロフト、グレアム・コクソンなどそれは豪華なギグだった。

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「ジャパン・ディザスター・ベネフィット」で買ったTシャツ。何度も着ているので文字が消えかかっている(汗)。上からBeady Eye、 Graham Coxon、Paul Weller、Primal Scream,、Richard Ashcroft、The Coral と書いてある(と思う)。


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偉大なる最後の(?)本物ロックンローラーと呼ばれるリアム・ギャラガーだが、ドキュメンタリーの中で、兄ポールが語っていたのは、「キッズはノエルになりたいんじゃない。リアムになりたいんだよ」。そういう意味ではキッズたちにとって、破天荒ながらも成功を収めているモデルロールということだろうか。

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リアムは母、ぺギーとよくTVに出演する。ドキュメンタリーでも未だマンチェスターの兄弟が育った家に住む母を訪ねるシーンがある。

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セレブリティ・ゴーグルボックスでは母ぺギー、息子ジーンと一緒に。


ドキュメンタリー中、母ペギーはリアムにこう言う。「来年こそは仲直りしておくれよ。人生は短い(life is too short)から、お前たちのどちらかに何が起こるとも分からないし」。リアムはこれに「あいつ(ノエル)はこんなに背が低い(short)だからな」とジョークで答えるも、パートナーのデビー・グワイサーは最後にこう語る。「リアムは何とかしてノエルと繋がろうと頻繁に連絡を取っているけど、ノエルの方からの反応が全くないことに、深く傷つけられ続けているのよ。そのことがリアムをいらだたせている。なぜなら寂しいから」。先ほど述べたように筆者も二人の息子の母。10年以上も喧嘩別れしたままの息子たちを見るのはつらい。ペギーの痛みが手に取るように分かる。

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ドキュメンタリーにも出てきたリアムがジョギングするハムステッド・ヒース。私もここのところ毎日のように、歩きに行っています。今日も行ってきた。リアムには会わなかったけど(笑)。


BBCのページはこちら。


最後に、もう一人忘れてはいけないのが、ボーンヘッド。オアシス時代から二人を見ているから、リアムの痛みが分かるのね。思慮深くていい人。大好きになったわよ。

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