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今の常識が変わる、未来の教育

前の投稿に義務教育の在り方を変えたいという想いが日に日に強くなってきた、と書いていたところ、ソニーグローバルエデュケーション会長、磯津さん著書の「2040 教育のミライ」に出会いました。

以前、コンサルタントとしてソニーのプロジェクトに携わり10年ほど常駐してお仕事をさせてもらっていたのですが、その時にプロジェクトでご一緒していた方から教えてもらった本です。

読んでみると、そうそう、その通り、と思う事ばかりが書かれていました。

そして、ソニーが教育事業を立ち上げて、今の教育システムを変えていこうと、実際に取り組んでいる事を知り、未来が見えてきました。
目指しているのは「最先端のデジタル技術を活用して、子どもの個性や特性を最大限に活かす個別最適化された教育」との事。

文部化科学省が変わらない限り日本の教育はいつまでたっても良くならない、というのは大きな誤解で、「社会・省庁(政治家)・学校(教員)・学習塾・親に責任の一端がある」ことで、それぞれにとって自分ごととして自覚する事が大切だと書かれているのですが、まさに、その通り、だと思います。

自分の子供達が学校に通い始めて、時代がこんなにも変わっているのに、今の学校が昔から何も変わっていない事に驚き、没個性で、社会性や協調性ばかりに重きを置く教育に違和感を持ったのは、著書にも解説されている学校教育の歴史を読んで納得しました。

明治以来、日本の学校教育は「富国強兵」のため「工場・戦場適応型人間」を量産する事をシンプルな目的として行われてきたそうです。
画一的な一斉授業を通して、何を学ぶか全てお膳立てしたものを知識として詰め込む。それをどれだけマスターしたかは平均値からの乖離を示す偏差値によって評価され、優秀、落第などとし、それが製造業の「品質管理」そのものとなり、「規格内」の子供をどれだけ育てられるかを目的としていたとの事。その様な教育方針が戦後も変わらず今も続いている様です。
経済が右肩上がりの80年代まではこうした教育が機能していたものの、90年代にバブルが崩壊し、今、日本は先行き不透明で将来の予測が難しい時代がやってきているとの事。

私がいつも思っている、言われたことを言われた通りに出来る事が評価される学校教育では、新しい発想も出てこなくなり、経済も発展していかないのではないか、という懸念は、やはり「工場・戦場適応型人間」を量産している教育が今もなお、続いているからなのではないかと思います。

いまの日本に必要な人材は、目の前にある(もしくはまだ見えていない)問題の解決策を自分の頭で考え(または自分で問題を発見し)、解決のため行動に移すことのできる主体性を持った人材です。

世界中の教育者たちが20年もかけて議論し目標とした「ラーニングフレームワーク」によると、教育の最終目標は「社会全体のウェルビーイング(社会全体が良くある事=人々が心身ともに健康で幸福であること)」とあり、個人に次の3つの資質を求めています。

  • 物事に主体的に関わる力

  • クリエイティブな力

  • 対立を解消する力

これらの資源が世界の産業全体で求められている能力で、社会全体でこのような子供達を育てるために現場に落とし込む教育改革を続けているとの事。

日本も明治以来変わっていない「工場・戦場適応型人間」を量産する教育を抜本的に変えていかなくてはいけない時が来ているのです。

そのために「未来クリエイター」の育成が急務と書かれています。
「自ら問いを立て、価値を創造していける人」を「未来クリエイター」として、その資質として工場型人間と比較して、以下の様に書かれています。

工場型人間は受動的。外発的動機
低い自己肯定感、依存心、保守的な考え、同調性、協調性、特定の深い知識、事務処理能力

未来クリエイターは主体的。内発的動機
高い自己肯定感、探求心、革新的な考え、創造性、批判的思考力、違いを認める力、協働する力、幅広い教育、課題解決能力、デジタルリテラシー


未来クリエイターが育つ環境に変わるためには、「教員中心の学校から子供中心の学校へ」、教員や親が自分たちの理想を押し付けるのではなく、子供の個性を引き出す環境に根本的に変えなければいけないとの事。
そのために、具体的にどうすればいいかというという事を3つ書かれています。

①個を軸にした学び
現在のような受験科目ではなく、個人が将来やりたいこと、またはそれにつながることを自分のペースで学ぶ
②探求型学習
日常生活における課題を見つけ、幅広い知識を総動員して解決策を模索する訓練を繰り返す事で、主体性を引き出し、生涯役立つ問題発見・問題解決力を身につける
③プログラミング教育
コンピューターを始めとするデジタルガジェットを使いこなせるようになることで、個人の「できること(能力)」を拡張する

具体的に①では、「学習指導要領の大幅削減」「選択科目の大幅な拡張」「脱ペーパーテスト」が不可欠。
②では、答えが一つではない課題に子どもたちが挑戦し、自分なりの答えをみつけていく「プロジェクト型学習」を普及したい。
③では、プログラミングの価値はあくまでプログラミングの「中身(入力内容)」にあり、その「入力内容を考える能力」が未来クリエイターとしての能力とマッチしているから、また、「デジタルリテラシー」はこれからの時代、読み書きソロバンに並ぶ必須能力だから。
と書かれています。

ここまで読んで、今、うちの長女が通学している「N中等部」が全てやってくれている事を改めて認識し、公立中学に行かない選択をして、未来クリエイターを育てる教育がされている「N中等部」に通わせて良かったなと感じました。
次女には、どんなところが合うのかを探してみたところ、「N中等部」のように、個別最適化や探求型学習、プログラミング教育などを実施しているフリースクールがたくさんある事がわかりました。
全国の不登校児童数が増え続けて、新しい教育をしているフリースクールが増えている事はとても良い事だと思っています。
ただ、まだフリースクールは文科省に認可されていないので、公立校に在籍する必要があり、また自己負担の費用は大きいです。

ここまで、第1章 教育の未来を決める5大当事者で書かれていた事を書きました。
第2章 教育改革は「個別最適化」で加速する
第3章 「探求型学習」で先の見えない時代を生き抜く力を身につける
第4章 学校では教えてくれない「プログラミング教育」の本質
第5章 ソニー流「教育xメタバース」の新世界

と詳しく書かれています。

新しい時代を幸せに生きる力をつける未来の教育について描かれている本です。
教育についてを改めて考えてみるきっかけになる、おすすめの本です。
興味があれば、是非読んでみてください。


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