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アニメ『響け!ユーフォニアム3』の第12話における展開について、原作者と脚本家に直接質問してみた(という設定の妄想記事)

(注)本記事は筆者(=豆蔵)が表題に関する解釈について、原作者の方と脚本家の方の立場をお借りして、勝手に妄想の限りを尽くしたお気持ち表明記事であり、両者の意思は全く介在していない言わば同人誌的な二次創作であることを前提にお読みください。
一部両者のⅩ上でのコメントなど、事実を前提にした記述もありますが、その解釈も含めて全文が筆者の妄想でありますので、本記事の記述を根拠にして両者がこのように語っていたといった引用はなさらないよう切にお願いいたします(Google検索にも引っかからないよう、本記事内で両者の名前を使用することも控えさせていただきました。)。
原作者の方と脚本家の方には、このような形で一ファンの勝手な妄想を投稿してしまったことを深くお詫び申し上げるとともに、何卒温かい眼差しでご了承いただけますと幸いです。

なお、本記事には『響け!ユーフォニアム3』の原作小説のネタバレが含まれますのでご注意ください。
また、アニメ終了後に発売された最新刊である『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のみんなの話』については、あえて未読の状態で執筆させていただきましたので、その設定と矛盾する内容になっている可能性がありますこと、何卒ご了承ください。

(以下余白)






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豆 蔵「ここでお聞きしたいのは、第12話における原作とは異なるオリジナル展開についてなんですけど…」

原作者「やはりそこですよね…笑」

豆 蔵「まず大前提として、原作と異なる展開を提案したのは脚本家さんからということでよろしいんでしょうか?」

脚本家「そうですね。まずは僕から監督たちに提案して制作側としての方針を固めさせていただいて、その後に今回のアニメではこういう展開で行きたいのですがどうでしょうと原作者さんにご相談させていただき、無事ご承諾をいただけた感じです」

豆 蔵「なるほど…けっこう大胆な変更だったと思いますが、原作者さんとしてはすんなりと受け入れられるものだったのでしょうか?」

原作者「提案自体には驚きましたけど、それもアリだな…とすぐ思いましたね。なにより、私自身そういう展開も見てみたかったというのもありまして。実を言うと、小説の執筆段階でもそこはけっこう迷った部分だったんですよ。最終的には、久美子がソリに選ばれるということで落ち着きましたけど」

豆 蔵「たしかに、原作者さんはⅩ上でも『アニメはアニメ、小説は小説として一作品として違った味を楽しんでほしい』とコメントされていましたよね。言うなれば、結果がどちらに転んでもおかしくはなかったと。つまり、わずかかもしれないけど原作の久美子の方がアニメの久美子よりも技量は上だったということになるんでしょうか?」

脚本家「それもあったかもしれないですけど、どちらかといえば真由の方だったと僕は解釈していますね」

豆 蔵「と、言いますと?」

脚本家「アニメでは、原作には無かったソリの再オーディションという展開を入れさせていただいたんですけど、その直前に久美子と真由が本音で語り合うシーンがありますよね。そこで真由の『そんなに塩を送っていいの?』という台詞がありますけど、そうして彼女に全力を出させてしまったのが一番の要因だったんじゃないかと」

豆 蔵「原作者さんも同じ解釈ですか?」

原作者「そうですね。少し補足をさせていただくなら、これまでも真由はけして手を抜いていたというわけではないと思うんです。でも、やっぱり転校生という自分の立場もありますから、久美子に遠慮する気持ちもやはり常にその根底にはあったのかと。それが少なからず音として表れていたというのはあったかもしれませんね」

豆 蔵「踏み込んだ質問になりますが、ことアニメの展開においては、その純粋な技量においては、真由の方がわずかながらも久美子よりも一枚上手だったということでよろしいんでしょうか?」

原作者「そういうことなんだと思います」

豆 蔵「そしてさらに踏み込んだ質問になるのですが、アニメのオリジナル展開である再オーディションでは、二人の得票数は拮抗していましたよね。最終的には麗奈による1票差で決まったわけですけど、もしわずかながらもハッキリと真由の方が技量が上だったということなら、もっと露骨に得票数に差が付いていてもおかしくはなかったと思うのですが、この辺りについてはいかがでしょうか?」

脚本家「中々痛いところを突かれましたね笑 まず僕の解釈を言わせてもらうなら、緑輝や奏の台詞にもあったように、元々二人の技量はほとんど拮抗していたけど『好みの差』という程度の違いはあったんですよね。これはソリとしての麗奈との相性とか演奏の全体のバランスといった技術的な要素もあったとは思いますが、部員それぞれの両者への思い入れもけして無視できる要素ではなかったはずで。音楽においていかに想いを込めて演奏できるかというのは完成度を高める過程においてけして無視できないファクターでもありますから、そういうこともひっくるめて久美子の演奏の方が好ましいと感じる部員が相当数いたとしても不思議ではなかったと僕は考えています」

豆 蔵「原作者さんはいかがでしょうか?」

原作者「難しい質問ではありますけど、おそらく多くの視聴者さんたちもそう考えておられるように、ブラインド形式の再オーディションではあったものの、どちらが久美子の演奏でどちらが真由の演奏だったということはきっと全ての部員が把握できていたと思うんですね。それこそ、これまでに何十回、何百回と二人の演奏を聴いてきたわけですから」

豆 蔵「自分もそう受け取っていました。麗奈は言わずもがな、緑輝や秀一、そして奏についてはかなりハッキリとそれを示唆する描写がありましたよね」

原作者「そうですね。そしてそこに何らかの贔屓的な感情があっても私は彼女たちを責められないと思っています。要は、その子にとっては何が一番大切なのかの話であって。麗奈はあくまでも演奏としての完成度、もっと言えば吹奏楽部としての悲願である『全国金賞を狙うための演奏』により近づけるのはどちらかという観点を貫いたんでしょうし、緑輝や秀一にも譲れないものはあったんでしょう。そして、奏については挙手の前にかなり逡巡する素振りを見せていましたが、最終的には久美子への思いの方が勝ったんでしょうね」

豆 蔵「意地悪な質問をして申し訳ないのですが、つまり全ての部員が純粋に演奏の技量のみを判断基準にしていたら、圧倒的多数が真由を支持したという展開もあり得たということでしょうか?」

原作者「(苦笑しながら)あの再オーディションの場面においては、それもあり得たかもしれませんね」

豆 蔵「お二人とも、難しい質問にお答えいただきありがとうございました。引き続いてそれに関連することでもあるんですが、今回のアニメ化に際し、原作では全国大会のソリに選ばれたのは久美子でアニメでは真由だったという点が大きな話題になりましたが、ネット上の意見を見ていると、原作でも部員の投票による再オーディションがあったと認識している人も多いように思いました。しかし実際は、原作では再オーディションをするまでもなく滝先生が明確に結論を出していたわけで、この変更にはどういった意図があったんでしょうか?」

脚本家「それについては、アニメでも滝先生の台詞として表現させていただきましたが、ハッキリとした答えがありますね。まず、アニメ化に際して全国大会のソリは真由で行くと決まった時に、当然次はどうやったらその展開により説得力を持たせられるかということになるわけですが、例えば原作どおりに滝先生の一存でピシャリと決まってしまったとして、果たしてそれに視聴者が着いてこられるのかと考えまして。そうなると、全部員の投票による再オーディションという形である方が視聴者にも納得してもらいやすいし、何より久美子自身にとってもそれは当てはまるのではないかと。ブラインド形式にしたのは、久美子ならきっとそうしたに違いないという思いからですね」

原作者「その点については、最初に相談していただいた段階から私もきっとその方が良くなるだろうという考えでした。ただ、おそらく私では再オーディションという発想には至らずに、どうにかして滝先生がそう判断した過程を読者や視聴者が納得できる方向に持っていくということに腐心していたと思います。なので、脚本家さんからこのアイデアをいただいた時にはなるほどと思いましたね」

豆 蔵「なるほど…今回の再オーディションの意図については理解できました。しかしそうなると、揚げ足を取るようで恐縮なのですが、滝先生の目からしても言葉どおり久美子と真由の技量の差は判断に迷うほどの僅差であったと捉えるのが自然になりますが、先の再オーディションについての話にもあったように、部員からしても明らかなわずかながらの技量の差が二人の間にはあったすると、それが音楽の専門家である滝先生に分からなかったはずがないと思うんです。この点についてはどう思われますか?」

脚本家「またまた、痛いところを突いてきますね笑 一つ言えることは、先ほど述べさせていただいたように、再オーディションの直前に久美子と真由が初めて本音で語り合ったことで、久美子が真由に対して文字どおり『塩を送った』ことが大きかったのではないかと思います。それまでは、滝先生でも甲乙つけがたいほどに本当に二人の実力は拮抗していたけれど、真由が真の意味での実力の全てを出せたという点で、あの再オーディション時の演奏においてはそれがわずかながらもハッキリと分かる差になって表れていたという解釈が自然だと僕は考えています」

豆 蔵「ちなみに、原作での滝先生の最終的な判断基準について、ここでお伺いしてもよろしいでしょうか?」

原作者「小説における最後のオーディションの段階では、久美子もあすかと香織に相談して心の整理がついて、麗奈とも無事和解のハグができて、今の北宇治に対する思いを部員の前で熱く語ってと色々と出来事が重なって吹っ切れている状態でしたので、きっと実力の120%が出せたんじゃないかと私は信じています。なので、滝先生の目から見ても純粋に実力で真由を上回る演奏ができたとしても何ら不思議ではなかったのではないでしょうか」

豆 蔵「すみません、野暮な質問だったようですね…。素晴らしい回答をありがとうございました」

脚本家「原作のその辺りはとても勢いがあって、読むたびに僕も目頭が熱くなります。だったら、そのまま使えよという話ではありますが…笑 でも、今回のアニメでは、どうしても真由も一緒に救ってあげたかった。これは、監督とも共通の方針ではあるんですが」

豆 蔵「たしかに、原作では最後まで本当の意味では久美子と真由は分かり合えなかったという印象は残りましたね。そういうところも含めて、青春らしいリアリティの良さでもあると自分は思いましたけど」

原作者「ありがとうございます。そうやって、どちらが正解ということではなくて、二つの可能性の両方ともを楽しんでいただければ私も本望です」

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