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小さなペペと美人のロン


エピソード53,
今回はバクとナミンで「キャンプ」をテーマに話しています。

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小六の夏休みに新聞社がやってる和歌山の離島のキャンプに
一週間行きました。
キャンプ期間中はみんな、そこだけで呼ばれる名前と枕詞をつけました。
でそれを書いたカードを首からいつもぶら下げて過ごすの。

みなさん、ほとんど「なりたい自分」を枕詞につけていた。
覚えてるのは「スポーツ万能の松竹梅」とか「大金持ちのベリー」とか etc
せやし、思い切って私は「美人のロン」にしました。
美人とは程遠かったけど美人になりたくてしゃーなかったんですね。
当時は往生際悪くアイドルになるのをまだ諦めれずにいた。
自分のこと客観的に見るチカラがまだついてなかったのね~。
ロンはメロンが好きやったからで麻雀からではありません。

知らない子8人くらいでグループ作って、
そこに大学生のお姉さんやお兄さんがリーダーとしてついてくれて、
1週間、同じコテージで暮らしました。

私のグループは「小さなペペ」って名前の大学生の
お姉さんがリーダーになってくれた。
この人のおかげで私は自分の一枚目の殻を破ることができたと
今でも思ってる。恩人です。
ペペさんはいつも私を「美人のロン」って
よく冷えたスイカのひとくちめみたいな爽やかな声で呼んでくれた。

自分でも美人やないのは十分わかってたから、最初は恥ずかしかったし、
他の子が内心、どこがやねん!って思ってるんやろなーって怖かった。
「もう枕詞の美人はつけんといて。
みんな、どこがやねーんって思ってるやろし」って
ペペさんに頼んだ。

そしたら「なんで?ロンは美人になりたいんやろ。今はまだ小六やし、
これから先どーなるかわからんやん。
でも、みんなが美人のロンって呼んで、自分でもそう思ったら、
そっちの方向に行くよ。べっぴんさんになるわ。そんなもんやねん」
ってニッコリ笑って話してくれた。
そんな話をしてくれるオトナは初めてやったから衝撃やったし、
ココロに光が差し込んだ。
コンプレックスだらけやったから自分以外の誰かになりたかった。
でも、ペペさんの一言で希望を感じることができた、基本、素直やから。

元々、調子に乗るタイプでもあるから、ほな、そーゆーことでって1週間、みんなに美人のロンって呼んでもらって、単純やから違和感もなくなってきた。

その頃はルックス以外でも自信なかったけど、
なんか人生全般にヤル気が湧いてきて、歳下の子のお世話とか
アクティビティの準備とかも自分からするようになった。
今まで自分から率先してそんなことしたことなかったのに、
自分からやりたくなった。
そしたら、ペペさんや他のリーダーさんはいちいち褒めてくれた。
「さすが美人のロンは行動力があるわ」とか 
「美人のロンが手伝ってくれて、ホンマ助かったわ、ありがとう」って。
そしたら嬉しいしもっと張り切った。ポジティブのドミノ倒し。
新しい私を発見できたし、前よりちょっと自分のことが好きになれた。
お風呂はなかったから、井戸の冷たい水を頭からビッシャーンって
かぶる生活やったし、トイレはポットンで夜なんて恐怖そのものやったけど
全くそんなの気にならんかった。

キャンプ終了日、島から船で帰る時、泣きすぎて大変やった。
私だけじゃなくてグループの子もペペさんも、みんな大泣き。
でも、子どもでもこれはいい涙なんやってわかってた。
こんな涙をたくさん流せるように生きていきたいと
大雨の中、揺れる船の中で思った。
ペペさんはもうおばーさんやな、今は。
元気で幸せでいてほしいな。

今年はじめてのかき氷を食べながら
明日の予定をカレンダーに入れながら
ベランダに椅子を出してお月さんを眺めながら
聴いてくださったらうれしいです

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