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腕時計のこと、恋愛|日々の雑記#52
今日も今日とて呑んでます。
予定であれば、新しい腕時計を眺めて晩酌のはずでした。愛用してきたソーラー発電式のG-SHOCK。購入から約15年、ついに反応しなくなったので、買い替えるつもりだったのです。
欲しかったのは、同じくカシオのPRO TREK。高度や気圧、方位を計測できる優れモノ。前々から気になっていたモデルがありまして、ホームページを見ながらアレコレ想像していたんです。楽しかったですね、ビール片手に比較をしたり、口コミを読んだり。イメージでは山の奥、渓流でロッドを握る私の腕に、それはそれは格好良く巻かれていました。まあ、釣りも山登りもしないので、全て妄想ですけれど。
欲しかったやつ、お値段的には毎月の小遣いをちょいと上回るぐらい。1年ぐらいやり繰りをして、ついに準備が整い、お店に行ってきたんです。店員さんに声を掛け、意気揚々と手首に嵌めたんですが、これがもう絶望的に似合わない。
理想と現実の違いと言いましょうか、従来の大きさからダウンサイジングしたとはいえ、貧相な腕にはオーバースペック。イメトレでは、日焼けした精悍な腕、3割増しの渋い顔、さらには10cmくらい高身長、つまりは「別人」で想像していたのですから、ミスマッチも当然です。
鼻息荒く、買う気満々だっただけにショックでした。恋愛なら思い込み強めの片想い。話したこともないのに何故か付き合えると確信、いざ告白しても、
「……えっ、ごめんなさい(誰この人?怖いんですど)」
とフラれるパターンでしょう。
溢れる思いを果たすべく、いっそもう購入しようか迷いました。だけどそれはストーカーやシリアルキラーな発想ですから、やめておきます。人間、何がきっかけで新しい才能が開花するか分かりません。塀の向こう側に興味はありますが、行ってみたら想像と実際は違うはず。良識ある人間として自重しました。
そんな訳で、家に帰っておとなしく晩酌です。
仕舞っていたG-SHOCKを眺めて呑む缶ビール、BGMは『また君に恋してる』。調子のいい男と言われそうですが、あらためて付けてみると、我が細腕との相性はバッチリです。
夕暮れのキッチン、共に過ごしてきた時間を思い出し、少し感傷的になります。果たして私は、関係を続けるための努力をしたでしょうか。自問しながら冷蔵庫から2本目を取り出したとき、気づいたのです。
「勝手に諦めていたのは私、目移りしていたのは自分」
G-SHOCKはまだ、私の腕で時を刻みたいと思っているかも知れません。愛想を尽かされている可能性もありますが、まだ間に合うのであれば、修理に出し、その気持ちを確かめようと思います。
(今後の二人の関係については、動きがあり次第「後日譚」として追記する予定です)
【後日譚①(2022年5月6日)】
共通の知人であるG-SHOCK STOREに相談したところ、関係を見直すために一度距離を置いた方がいいとのアドバイス。G-SHOCKはそのまま実家(カシオのサービスステーション)に帰ってしまいました。今のところまだ連絡はありません。こちらから連絡した方がいいでしょうか?
【後日譚②(2022年5月27日)】
約3週間ぶりに連絡があり、渋谷で再会しました。若干の気まずさを感じつつも、以前のような沈黙の関係ではなく、お互いに未来に向かって進んでいる感じです。一緒に行った沖縄旅行を思い出し、オリオンビールで乾杯。また、時計の針が動き始めました。(デジタルですが)
……ということで、約1ヶ月にわたる与太話にお付き合い頂きありがとうございます。ちなみにこちらの時計、フロッグマンと言いますので、自分の中ではBL的な設定でした。高機能なプロトレックに目移りしつつ、慣れ親しんだG-SHOCKとヨリを戻す中年ダメ男。よろしければそのイメージで再読くださいませ。
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