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十三夜の遊び(あんこ)|酒と肴 その四十二

カップ酒によく合う肴がありまして、赤貝の缶詰に、回転寿司の持ち帰りについてるガリをちらし、七味を振ったものです。

季節の変わり目はどうにも億劫で、料理はもちろん、お店に行くのも、出来合いを買うのも気乗りしません。何だか頭と体がうまく繋がらず、ビールを飲もうと冷蔵庫からカップ酒を取り出す始末。たぶん、心の軟骨がすり減っているのでしょう。

そんな時、ままごとみたいに作れるツマミがあると、気持ちにちょっと余裕が生まれます。それが冒頭の一品。ドアポケット、納豆の辛子なんかと一緒くたになっているガリを使うのがポイントです。

それにしても、こんなんで気分が変わるのですから「酒呑みとは一体何なのか?」と思いますが、おかげで料理への興味も戻ったことから良しとします。

さて、今月は十三夜がありました。旧暦の九月十三日、豆名月とも呼ばれるお月見です。そこであずきを煮て一杯飲ることにしました。

そうと決まれば小豆の調達。金曜日、会社帰りに製菓材料のお店を訪れます。
うまい具合に北海道産の新豆が出ていたのでカゴに入れました。豆は普段、アメ横で買うことが多いのですが、初訪問のこちらはレンズ豆など料理系も豊富な品揃え。職場に近いこともあり、これは「豆活」が捗りそうな予感がします。

そして迎えた週末。朝からあんこを炊いて拵えたのが、

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粒あん×マスカルポーネチーズの最中です。

さすがは製菓の専門店、最中の皮が売っていました。500円玉よりひと回り大きいくらい、ちんまりとした皮にあんことチーズを詰めていると、私の中の「乙女心」が満たされます。すると今度は「お酒心」が騒ぎだしたので、こちらは呑んで鎮めます。

合わせたお酒は島根、板倉酒造の「無窮天隠 天雲」。あんこの甘みとマスカルポーネの口溶けに寄り添う、やさしい味わいです。酒屋のご主人が言っていた「主張が強すぎないので、ゆっくり、長く味わえる」を実感しました。

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久しぶりに白玉団子も作り、

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トーストにものっけて“あんこ漬け“の休日を楽しみます。

さて休み明け、18日の月曜日が十三夜でした。

近所の河川敷を散歩して、豆のような、蓮の種にも似た月を眺めます。風はすっかり寒く、季節の移ろいを感じます。冷えたワンカップを飲みながら、小一時間ほど物思いに耽っていました。

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気付けば今年もあと2ヶ月あまり。今の調子で行けば、会いたかった人たちとお酒を飲む機会が増えるかもしれません。
きっと気忙きぜわしい師走はあっという間にやってくるでしょうから、心身ともに健康で、余裕を持って年の瀬を迎えたいものですね。寒い日が続いています、皆様ご自愛ください。

以上、夜遊びで風邪をひいた中年からのお知らせでした。

メニューと材料
・あんこ(小豆、昆布、砂糖、塩)
・各種甘味(最中種、白玉粉、カンパーニュ、あんこ、マスカルポーネチーズ、きな粉)

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