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吸血鬼に言いたい【詩】

たとえそれがヴァンパイアであっても驚いてはいけないよヴァンパイアは淋しん坊さんだからねでも同情してもいけないよ顔に出ちゃうからねヴァンパイアはすぐに察するから動乱の時代がなんども通り過ぎていった大昔ヒッピーたちが大手を振って街や田舎でラリっていたぼくはもちろん生まれてもいないけどヴァンパイアはヒッピーに紛れて生きていけたいい時代だったと思うよでもいまでは街の映画館が軒並みシネコンに駆逐され駄菓子屋さんもなくなって公園も子どもたちだけのものではなくなってますます小さなお友だちが外に出なくなり骨ばかりになったヴァンパイアたちは何処へ行ってしまったのか犬が吠えているか細い声だ栄養不足なのだろうかこれもみんな新自由主義がいけないのだと非難するのは容易いだが果たしてそれだけか大昔サイレント映画で観たヴァンパイアはアインシュタインによく似ていたそれが何を意味するのかわからないしわかりたくもない効果音ほど怖いものはない机の上にある髑髏よりも効果音の方が恐ろしいお祭りが近いので隣の家から篠笛の音がきこえてくるいいぞ効果音なんてやっつけてしまえでも篠笛よりも能管の方が好みだなあのピーという高音が堪らないメロディーなんて関係ないところも潔いどうかヴァンパイアさんお願いだからぼくの下手な能管で踊ってくれないかしらプラ製の踏んでも割れないやつを持ってくるからそしたらサバトとも死霊の盆踊りとも違う第三の道をぼくと歩まないかいや進もうではないかベタな東欧趣味なんていま時分流行らないぜ注文は以上だわかったかねわかったら早く寝ること

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