短編小説「かっぱ巻きの醤油でなぞる30センチ円周軌道」
「うわぁ、完全に赤字ですね」
積み重なった帳簿の山を見上げながら、疑問を通り越して呆れ、呆れを鍋の上げ底にして失笑、そんな感情が湧いてくる。
かつてはそれなり、相応の資金を持っていた結社だが、今では比喩でもなんでもなく、子どものお小遣い程度のお金しか残っていない。
政治的透明性、情報化社会といわれて久しい現代社会において、ある意味で主義主張や公約以上に重視されるものがそれである。本来陰で行動し表に出ない場所で暗躍する秘密結社に求められるようになったものも、また政治的透明性であ