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深夜のまめトーク ♯2「貴婦人になりたい」

突然だが、ロリィタ服を着たい。
ロリータじゃない、ロリィタだ。

実は10代の頃から興味はあった。しかしあの若干の万年ハロウィン感が、まだ青かりし思春期の御豆に少なからず抵抗感を抱かせた。

ハロウィンの仮装といえば、正直なんで仮装するのかよくわからないけれど面白そうだからやってみようという浮かれポンチ一般市民が、某驚安の殿堂や某電脳密林などで購入したであろう著作権ギリギリっぽい衣装を着てみるも、なんだか見た目が浮いているというか、その独特のチープさと既製品ゆえのサイズのミスマッチのせいか、絶妙な不格好さを醸し出しているぶっちゃけ残念な感じな様子を蒐集するのが醍醐味である。

うわダセェwとバカにしたいわけではない。あのなんとも言えない、思わず「おぉ…ホホ…」と曖昧な笑みが浮かぶのを禁じえない、あの感じを味わいたいだけである。

この人このままお家に帰って一人になってからふと鏡を見たときにウワッなんかビミョー!ってなるんじゃなかろうか…Oh…

って、やりたいだけなのだ。

このように私のスタンスは「なんか残念なコスプレ未満の仮装」を眺める側のそれである。そんな私がロリィタを着てみることを思うと、それはもうハードルが高いわけである。
私が着たのではこりゃもうハロウィンの仮装ではすまないんじゃなかろうか?高校の文化祭レベルじゃないの?実際ド○キで買ったメイド服を着たもんね。もはや着たというか被っただけだったね…。

そもそもロリィタはコスプレじゃないし仮装でもない。ファッションである。まんま着ただけでは許されない(気がする)。その世界観まるごとその身に受けなくてはならない。もはや生まれ変わるレベルで、だ。

絵になりますねぇ…


ロリィタ服はとにかく「舞台衣装なんか…?」と思うほどに作りが細かいし、アイテムも多い。
ベロアやジャガードといった重厚感のあるものからサテンや綿といった軽い素材まで種類豊富な生地、ふんだんにあしらわれたフリルにレース、ポイントごとに散りばめられたリボンにビジュー、腰はキュッとしめて、スカート部分にはパニエを入れてふんわり華やかに…

……え、なんかそういう貴族見たことね???

ラス・メニーナス(ベラスケス作)

ほら見て、ラス・メニーナスのこの真ん中のマルガリータ王女!

マルガリータ王女(ラス・メニーナスより抜粋)

……この服ロリィタじゃね!?!?!?

待て、落ち着け。
彼女は王族、お姫様だ。お姫様が着ているんだからこれはいわゆるファッションとは少し様相が異なるはず。ロリィタと断ずるのは誤りだ。

お姫様と聞くと、「本当にそれで生活するのか…?」と疑念を抱かせるほどの上等な布で仕立てられ、フリルやレースやリボンや宝石をふんだんにあしらい、腰をキュッとしめてスカート部分はパニエを下に重ねてふんわり仕上げた豪奢だがどこかかわいらしいドレスを着た高貴な女性のイメージが浮かんでくる。くるくる回ると裾がふわっと舞い上がってそれはそれは優雅で……

……いやそれロリィタじゃね!?!?!?

知ってるこれ姫ロリってやつだ。流石に姫ロリの「姫」は王族の姫君というガチのお姫様というよりは貴族のご令嬢あたりのイメージだろうが。
でもそっかーなるほどわかった貴族ってロリィタ服着てたんだね〜!


……え、もしかしてロリィタ服を着ると貴族になれる……?????


うわあああ貴族になりてえええええ〜〜〜〜〜〜〜
職場にロリィタ服で仕事して会社の人から「〇〇部の貴婦人」とか呼ばれたり午前休キメて優雅にロリィタアフタヌーン出勤して「大名出勤」ならぬ「貴族出勤」とか言われたり何も知らない取引先の人やお客さんから「おぉ…ホホ…」って生温かい曖昧な笑みを浮かべられてぇ〜〜〜

そう、私には夢があるのだ。ロリィタ服に身を包みオーセンティックバーに通い詰め、人知れず「貴婦人」と呼ばれる謎の常連になりたい…。

ちなみにいつも頼むのはグラスホッパーだ。
あのチョコレート食べた直後に歯磨きしたときのような味が好きなのだ。


普通にチョコミント味って言え。



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