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『⑦-3『ルポ 児童相談所 -一時保護所から考える子ども支援』3章(2)~』

参考文献まとめ7冊目の3記事目でございます。
ここからは、「そもそも児相とはなんぞ」と言う話と、「一時保護所までのフロー」などが説明されます。
むしろ、事例や問題点をあげていく前に、一番に説明すべきことだったんじゃじゃないだろうか…?と章の組み方に疑問を覚えましたが、そこらへんは突っ込んでも仕方がないので、とりあえず読み進めていきましょう。



(1)なぜ、子どもたちは一時保護所にやってきたのか
・児童相談所の概要

児童相談所とは、児童福祉法に基づいて都道府県に設置されている行政機関であり、17歳の子どもたちを対象に以下のような仕事を行うことが児童福祉法によって定められています。

・子どもに対する様々な問題について、学校や家庭からの相談に応じること
・子どもおよびその過程につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的および精神保健上の判定を行うこと
・子どもおよびその保護者につき、前号の調査または判定に基づきて必要な指導を行うこと

  • 子どもの一時保護を行うこと

条文にはこのように書かれているが、児相の業務のほとんどは、虐待を受けている子どもや養育困難にあたる子どもとその家庭の支援・問題対応に集中している。

児童虐待が起きている家庭などにおいて、子どもの安全が危ういとされる場合や、貧困家庭において一時的に親子分離をせざるを得ないと判断した場合は、児相の所長の判断で、子どもを親元や養育者から引き離し一時的に保護することができる。
こうして一時保護された子どもが一時的に暮らすことになるのが「一時保護所」。
一時保護所は児童相談所に併設されている場合が多く、滞在時間の平均は約1か月である。

一時保護までのプロセス
どのような法的根拠をもって、子どもたちは一時保護されるのか。
実情として、法律にはほとんど何も書かれていないというのが事実。

一時保護では、「職権保護」を伴う場合がある。
それは、児相が自らの判断によって子どもを一時保護することで、親の意向を無視して行われる。
場合によってはチェーンソーで家のドアをこじ開けて子どもを保護したり(臨検・捜索といい、児童虐待防止法に基づき、裁判所の許可を得て行われる)、親が買い物中に駐車場に止めてある車から子どもを連れ去ったりすることもある。

児童相談所は、厚生労働省が定めた「児童相談所運営指針」を、一時保護をする際の実務上の指針としている。
それによると、一時保護を行うケースは次の3つである。
①緊急保護
 養護の必要がある子ども(棄児、迷子、家出など)
 被虐待の子ども。
 非行が見られる子ども
②行動観察
③短期入居指導
※詳細はP124~125に記載がある。

一時保護の判断までのフロー
ここでは、主に虐待のケースについて記載。
※P129~132に厚生労働省が公開しているフローチャートと説明がのっているので参照。

まず、トリガーは児童相談所への通告。
これは電話であったり、文書面談だったり様々。
▼事例
・子どもの泣き声を毎日のように聞いているという隣人からの電話通報
・子どもが「帰りたくない」と訴え、学校側から連絡が来る
・虐待の当事者が「ダメだとわかっていても、つい衝動を抑えられず、どうしても子どもを殴ってしまう」と自ら訴える。

通告を受けたら、まずは基本情報を把握したうえで、緊急受理会議で当面の方針を決定する。
その後、二人以上の児相職員が必要な情報を収集し、一時保護をするかどうかについてのアセスメントシートを記入する。
※P127にアセスメントシートの例があるので参照。

受理会議での一時保護検討
必要な情報を収集したうえで、児童相談所の定例会議や緊急受理会議で一時保護の検討がなされ、児相の所長の判断で一時保護の実施が決定される。
一件当たりの所要時間はさしあたり15分程度。
一方で、一時間以上を一案件について割く場合もある。
一時保護を実施するか否かというより、一時保護の行き場が全く考えられない状態にある子どもについて、その次に何をすればいいのかわからない場合に時間がかかる。
事例は以下である。

  • 施設措置が望ましいのは児相から見ると明らかだが、子どもが施設に行きたがっていない

  • 父子家庭の子どもが「母親のところに帰る」といって聞かない

  • 本来自宅で生活すればよいのだが、親に子どもを養育する能力がない

  • 虐待は起きていないが、子どもが問題を抱えており、親が子育てに苦労している

(3)一時保護決定後、保護所での生活が始まる
一時保護後の各種手続き

一時保護が決定された後には、児童相談所運営指針により、各種手続きが行われることが定められている。

・告知
運営指針では、原則として子供や保護者に一時保護の理由も、目的、期間、入所中の生活等について説明し、同意を得る必要があるとされている。
この告知の際には、一時保護中必要な日用品、着替え等を準備するよう保護者に連絡することとなっている。
しかし、実態としては、期間が明確に伝えられることは非常に少なく、子どもたちはいつ一時保護所を出られるか不安なまま日々を送ることになる。
また、大切にしている物の持ち物も基本的に不可。服についても一時保護所で支給されるものを選んで着るよう言われることがほとんど。

・個別の生活プログラム
一時保護される子どもについては、氏名・年齢・住所といった個人情報から、一時保護の理由、子どもの性格・傾向や対応上の注意点が書かれた一時保護児童票を作成される。そして、一時保護中に実施する検査等の予定を一時保護所での生活のプログラムの中に折り込めるようにしておくことになっている(運営指針上では)。
また、原則として入所前に健康診断を受けさせることになっている。



とりあえず、今日はここまで。
明日は、本書の最終まとめと、自身の創作論を交えてあとがきをちょろっと書こうかなと。
残りのページは読み飛ばしていい部分も多かったので、次回で本書のまとめは終了にします。
いやぁ、よかった……まじで参考になりまくってる。
間違いなく時間かけてる甲斐があります。

大学の論文書くわけでもあるまいに、小説書くためにここまでちくま新書読み込んでるやつはそういないだろうという自負がある!(笑)
シンプルにルポの内容に興味があるからなんですけどね。
小説のためだけだったら、ここまで意欲的に読めているかはわかりません。

ではまた明日~!おやすみなさい!



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