見出し画像

⑧-2『ルポ児童相談所』2章

こんばんは。読みに来てくださった方、ありがとうございます(*^-^*)
いつもスキを残してくださり、励みになっております!
おそらくこのnoteフィーバーは、今月末か年始あたりまで続くと思われます。
穏やかな目で、見守ってくださると幸いです。

あーー、早く抜け出して、思いっきり本編書きてぇぇええ!!
今日もルポ脳に切り替えていきますぞ!!!
(『ルポ児童相談所』まとめ記事の続きになります)


第2章 子どもからのサイン

●アイロンの形のやけどがくっきり

「ふくらはぎに歯型がついている」
保育園から児相に連絡が入った。母親が大声で怒っていると近隣から虐待通告があり、児相が半年ほど見守ってきた3歳の女の子だった。
「両親に知的能力の課題がある家庭です。傷を確認して、写真を撮ってきて」
ワーカーの阿部が保育園に到着すると、女の子は昼寝中で、まず職員から話を聞いた。
女の子は着替えの途中で、自らズボンをまくり、
「ママにかまれた」「痛かった」と保育士に言ったのだという。

また、こんな事例もある。
とある家庭で騒音がすると近隣住民が町役場に通報した。
町職員が訪問し、さらに保育園にも事情を聞いたところ、そういえば……と思い出したように、保育園側からやけどの話が出てきた。
数週間前、子どもの母親が
「アイロンを使っていて不注意でやけどさせた」
「虐待を疑われるのが嫌だから、保育園を休ませる」
と保育園に連絡してきたのだという。保育園はそれを信じたらしい。
虐待の疑いがあると判断した町が児相に相談。
児相が確認したところ、女の子の体にくっきりとアイロンの形がついていたため、すぐに一時保護となった。


●頬とおでこに見つけた内出血

午後3時過ぎ、市の担当者から児相に連絡が入った。
小2の男子の顔にあざを見つけ、校長が聞き取りすると、
「同居の男に殴られた」「週に2,3発は殴られる」と答えたという。
校長が市へ連絡、市の担当者から児相に連絡が入った。
児相内ではすぐに緊急会議。
たたいたのは、母子家庭の中に入ってきた内縁の男性。
親に警告か保護か。議論の結果「保護」に決まった。

初期対応チームが小学校へ電話し、すぐに以下を伝えた。
・一時保護を決めたこと
・ワーカーが小学校へ向かうので男の子を帰宅させないでほしいこと
・子どもを安全なところに確保してから、児童相談所から親に連絡すること
・子どもがワーカーと一緒に行くのを嫌がれば、無理に保護はできないこと
(これは知らなかった…親に拒否権がない場合はあるけれど、子どもが嫌がる場合は無理強いはできないという方針かな)
・一時保護ができれば、事情がはっきりするまで子どもはしばらく預かること
・一時保護ができれば、学校の学習プリントなどを持ってきてもらうなどの協力をお願いすること
・親が苦情を言うようなことがあれば、「子どもにあざがあるような場合はは、学校は児童相談所に連絡することになっている」と伝えればいいということ

時間は4時10分。校長が在校している間に到着しなければならない。
それ以外にも不安な点があった。
授業中なら、ほかの子の目に触れずに保護できるが、放課後の時間だとそれが難しいため、子どもが嫌がって素直についてきてくれない可能性がある。

4時半前、学校に到着。保護対象の男の子は進といった。
ワーカーが好調と一緒に会議室で待機していると、担任に連れられ、進がこわごわとした表情で会議室にやってきた。
優しく話しかけるワーカー。進は保護を嫌がらなかった。

進は素直に、ワーカーとともに児相の車に乗り込んだ。
車の中で進は、普段どんなことをして遊んでいるか、宝物は何かなどを饒舌に語った。

進を乗せた車は病院に向かい、夜間の緊急外来で診察を受けた。
頬とおでこに内出血があった。手ではない何かで、かなり強く打ち付けた痕のようだった。

進が診察を受けているちょうどそのころ、児相には進の母親と、同居する男性がきていた。
「こんなあざができていたんですね。今朝は気が付かなかった」母親が言う。
同居の男性は素直にたたいたことを認めた。
「進はついたらいかんウソをつく。宿題やっても覚えが悪い。イライラしてたたいた」
さらに「連れて帰れないのか」と何度も聞いてきたが、
しばらく進には会えないこと、児童相談所との面談をしながら今後のことを話し合っていくことなどを伝えた。

一方、進を保護したワーカーは診察を終えていた。
児相に連れていかなければならないが、両親らと鉢合わせしないよう、コンビニによってジュースを買い、駐車場で時間をつぶしていた。
「お母さんは? お母さんに会いたい」
進がふいにそう言い出した。
「そうだね、いまはジュース飲もうか」
ワーカーの携帯が鳴る。母親らが児相をあとにしたとのこと。

児相に着いたのは、夜7時すぎ。
面接室で休んでいると、職員が夕食を運んできてくれる。
進は夕食をおいしそうに口に運びながら、これから一時保護所と言う場所で眠ることなどを説明される。
「そこって遊べる?」「ビデオとかあるの?」
進は矢継ぎ早に質問する。
「ドラえもんとかあるよ」と職員が答えると、進は嬉しそうに腕を突き上げた。


●真夜中の脱走

トレーナーにジャージ姿の女子高生ふたりが、スーパーの中にあるフードコードに座っていた。
児相のワーカーが走り寄り、その姿に気が付いたふたりは慌てて逃げ出した。

ふたりは一時保護中の高校生で、一時保護所をこっそりの抜け出してきていた。
このふたりが部屋にいないことに一時保護所の職員が気づいたのは、この日の朝。連絡を受けた児相のワーカーらが朝から手分けをして探していた。

児相に戻り、事情を聴いたところ、ひとりが前日からのことを話し出した。
前の晩、就寝時間をすぎた深夜1時頃、宿直の職員の目を盗んで一時保護所の外に出た。
近くにあった自転車に二人乗りし、コンビニを転々としたという。

一時保護の際、携帯や現金は事務所に預けるため、手元には一銭もない。
道で拾った小銭で菓子を買い、ミカンを万引きして腹を満たした。
友人宅に立ち寄って、少し眠ったりたばこをもらったりしたという。
その後、お腹がすいてスーパーの試食コーナーをはしごしていると、ワーカーに見つかってしまったのだという。

保護されたスーパーは、一時保護所から5キロも離れていた。

「閉じ込められてる感じがした。タバコが吸いたかった。でも、金曜日の献立は鶏のからあげだから、それまでに帰ってくるつもりだった」

この女子高生は、約1か月前に家出をし、帰宅を拒否したため、一時保護された。
入所理由は、深夜徘徊。もとは虐待の被害者でもある。
小学生の頃は母親にほったらかしにされ、体からは臭いがしたという。
離婚した父親のもとに引き取られたが、今度は父親から身体的な虐待を受けた。それでまた母親のところに戻ったものの、いまも母親とはうまくいっていない。

担当ワーカーに呼ばれた面接室の前で、ふてくされて床に座る姿は痛々しくもあった。


●「触られるのはイヤだけど、父親は好き」

「どうやったら事実が出てくるだろうか」
性虐待の場合、とくに1回目の面接で子どもから事実を聞き出すことが重要とされている。
何回も同じことを聞くと、証言が変遷したり、心の傷を深くしかねない。
児相で保護している中学生の由紀には、性虐待の疑いがあった。
由紀は、自分の部屋があるにも関わらず、家族全員が同じ部屋で寝ていた。
そこで、両親の性行為を見ていると思われた。
また、父親とも一緒に風呂に入っているとのことだった。
しかし、具体的なところが見えない。

ワーカーは家庭訪問をして家の様子を見たり、父母らの聞き取りをしたりした。由紀の中学、弟の保育園にも足を運んだ。
父親と雪の説明には食い違いがあった。

「父親について、由紀がかばっているような感じがする」とワーカーは言う。
虐待を受けた子供は、自分が事実を話すことで家族をばらばらにしたくないという思いがある。
「子どもには『触られるのはイヤだけど、父親は好き』って気持ちもあるんですよね」と、ワーカーはこれまでの経験から分析する。


●「家に帰りたくない」

母子は、生活保護を受けて暮らしていた。
母親には知的能力に問題があり、酒を飲み、大量服薬したり、リストカットりたりなどしていた。あるとき、包丁を娘二人にも向けたため、児童相談所が一時保護した。
そのとき二人の娘は「家に帰りたくない」とはっきり答えた。
母親は当初、担当ワーカーに反発した。
しかし、このまま施設入所を拒否し続けると子どもたちに会えないとわかり、しぶしぶ入所を承諾した(入所すれば面会はできるため)。

ワーカーは、子どもたちの入所に必要な下着や洋服、靴などを用意するように伝え、家に訪問した。
ワーカーは、持参した「確認書」を取り出して見せる。
①子どもの前で包丁を持ち出さない
②子どもはそれを怖がっている
③改善するために子どもたちが施設に入所することに同意する
④子どもたちとの面会、電話、外出は児童相談所の計画に従う
⑤関係機関と協力して支援を受けていく
母親は素直にそれにサインした。

しばらくして、娘たちに「お母さんに会いたい」かたずねた
「会いたい」と答える娘たち。
ワーカーは紙に一本の線を引き、「不安」と「帰りたい」を両端に書く。「今どこら辺にいるかな?」とたずねると、妹は「早く帰りたい」寄りの四分の一らへんに〇をつけた。
まだ少し、不安が残っているようだった。



今回の記事は以上です。
本文献のまとめはまだまだ終わりません…!(-_-;)
次の記事を上げる時間はないと思いますが、眠くないのでもう少し読み進める予定です。
明日仕事さえなければなあ……(笑)

そしてみなさん、執筆・お仕事おつかれさまです。
今日も充実した時間でした。
では、また明日の記事でお会いしましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?