⑧-4『ルポ児童相談所』5章
参考文献8冊目の4記事目。
そろそろ前書きも書くことがなくなってきました。
さっそく本文に移りますかね。
まぁ、こういう日があってもいいでしょう。
5章
●担当が何件あるかわからないくらい
初期対応ワーカーが抱えるケース数はだいたい70件ほど。
(著者が取材した児相の場合である。全国だと、100件を超えるケースを抱えるワーカーもいる)
それぞれが月に1回、会議で上司とケースについて話し合う。
一時保護をしたケース、自宅で見守るケースなど様々。
それに加え、日々、虐待通告による子どもの安全確認、緊急の職権保護なども業務も押し寄せてくるという。
ワーカーは自分が担当するケースを、リスクに応じて「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」「Ⅳ」の4段階に分けて管理している。うち、「Ⅰ」「Ⅱ」はリスクが高く要注意とされているケースである。
とあるケースに対する意見。
「心配なのは、子どもと別居になって、子どもの分の生活保護が止まると、母親が子どもを自宅に連れ戻そうとするのではないかということです。保護費のこと以外、子どもがいないことには困っていません」
→(なるほど……ずっと疑問だったんですよね。ネグレクトなど、明らかに子どもを疎ましく思っていたりする親が、なぜ子供が引き離されることに抵抗するのかと。子どもの分の生活保護をあてにしている親もいるということですね)
●48時間ルール
午後6時すぎ。職員の就業時間を過ぎてから、児相の電話が鳴った。
「住んでいるアパートで、母親が娘を怒鳴る声がしている。娘が泣いている」
虐待通告を受けた児童相談所は、48時間以内に子どもの安全を確認するよう求められている。
「48時間ルール」は、児童相談運営指針が2007年に改正され全国的な取り決めとなった。
京都府で、児相が4回通告があったにもかかわらず、児相が確認を怠り、虐待死がおこった事件があったためである。
→(毎回問題になる話ではあるけど、ここまで忙しければ、場合によっては対応に手が回らない場合もある…と思っちゃったなあ)
大丈夫だろうとあとまわしにして子どもが死亡するケースを防ぐため、虐待通告が重なれば、人手を割いて安全確認をしに向かわなくてはならない。
「泣き声通告」を受け、手の空いていた職員が住所地の自治体に問い合わせると、30分ほどで打ち返しの連絡があり、名前や家族構成が判明した。
→(なるほど、自治体と連携して個人情報を渡してもらえるのですね)
その名前を見て、ワーカーが
「その名前、聞いたことがある」と思ったらしい。(覚えてるのすごい)
急いで過去の通告記録を調べる。
離婚して別所に住む父親が「娘が母親に虐待されているかもしれない」と通告していた記録が見つかった。
内容は、「娘からメールがきた。娘が泣いているようだ」というもの。
だが父親は「自分が通告したことは絶対に言わないでほしい」と主張したため、家庭訪問ができずにいた事案だった。
●夜食はコンビニのおにぎり
精神的に不安定な母親が、女の子のランドセルを放り投げたり、女の子を蹴ったりしているとの通告があった。母親が包丁を持ち出しているとの情報もあった。
しかし、女の子は「お母さんといたい」「施設はイヤ」と言う。
女の子はかつて、児童養護施設に入ったことがある。
児童相談所では親の同意がなくても職権で子どもを一時保護することもある。
ただ、この児童相談所では、意思表示できる年齢の子どもに対しては、保護の理由をきちんと説明したうえで、承諾してくれるかどうかを尋ねる。
嫌がる子どもを引きずっていくわけにもいかず、その場合は保護を見送るしかない。
このケースのように、子どもが一時保護に同意しないことも少なくない。
●【キーワード】里親制度
里親には以下のような種類がある
・養子縁組を希望する里親
・親族里親 → 実親が死亡したり行方不明になった場合
・養育里親 → 一定期間、子どもを迎え入れて養育する
・専門里親 → 養育里親の中でも、虐待や非行、障害などの理由で専門的な援助を必要とする難しい子どもを引き受ける
いずれも、児相が家庭訪問などをして里親としてふさわしいか調査、その後研修を受け、審査を経て登録される。
家庭的な養育環境としては、そのほかに、定員5~6人の「ファミリーホーム」というものもある。
養育里親やファミリーホームでは、一時保護を委託される場合もある。
●夜中も早朝も夕方も鳴り響く電話
夜間や週末、休日の電話受付簿というものがある。
児相が閉庁している間は、電話の受付担当をする職員が出勤し、児相にかかる電話の一時対応を一手に引き受けている。
何日の何時、電話の相手、電話内容、何分間…というような。
「30分以内に対応しろ」
「担当ワーカーを出せ」など。
電話の内容は大体以下のような感じ。
・親からのクレーム
・養護施設や乳児院でのアクシデント
・警察からの緊急連絡
・住民からの虐待通告
●「開けない夜はない」
数年前のこと。
ゼロ歳と2歳のふたりの子どもをか開けたシングルマザーがいた。
身なりはよくおしゃれな母親だったが、家ではネグレクトをしていた。
地元の保健師が何回も家庭訪問ぢ多賀、交際する相手のもとに言っていて、母親に会うことができなかった。
「家の中から異臭がする」
保健師から児相に連絡があり、大家に鍵を開けてもらって立ち入り調査。
ドアを開けると、部屋の中はゴミだらけ。
台所のシンクには食器や食べ残しが山積みになっていて、床には黒ずんだ布団やごみ、衣類、ミルク缶が散乱していた。
その中に、子どもがいた。
ふたりとも汚物まみれで、来ているパジャマは茶色になっていた。
衰弱しきっていて、「あー」とも「うー」とも声を上げられない状態だった。
「あのままだったら、ふたりは死んでいた」
とワーカーの阿部は語る。
おつかれさまです。
本書のまとめは、これにて終了です。
一冊の本に、またもや4つも記事をさいてしまった。
時間かかりすぎです……。
あぁ、気が付けばもう夕方……休みの日の体感速度は本当に早いです(T_T)
時間がたっぷりあると思うと、なかなか集中力が続かないんですよ。
さて、今からまた次の文献に移ります。
日付が変わるまで、あと7時間。やってやろうじゃない!!!
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