⑧-1『ルポ児童相談所』
公募の文献まとめは、今回で8冊目になります。
最近ハイペースで文献読みを進めているまめでございます。
年末までにあと11冊……!!無謀ともとれるこの数字……!!
ええ、無謀なんです、今のペースでは…(-_-;)
ようやく最近、平日仕事をしながらも家に帰ってPCに向かい、文献読みを始める習慣ができてきました。これがまったく苦痛ではなくて、早く読みたい!進めたい!の気持ちが強い。とてもモチベーションが高い状態です。
やればできるじゃないかっっ!ならばもっと早くやれよ!!
でも、そういうところが私なんですよね……気持ちを上げるまでにひじょーーに時間がかかる。上がればアホほど集中するのですがね……。
相変わらず、自分の感情のおもりもまともにできないまめなのでございます。
今は時間がないとはいえ、今月末は2日有休をとることにしましたので、おかげで年末年始は10連休!!(会社の所定休も含めて)
その間、まめはせっせと文献読みにいそしもうかなと思っています。
まだまだ文献の読み方を思い出せない状態で、記事のまとめ方も要領を得ない感じです。前回のルポなんて、記事4つに分けて書いてますからね……もっと簡潔にうまくまとめられないものなのか。
さて、無駄話はここまでにして。本編に入りましょう。
作品情報は以下です。
実はですね、前回に引き続き、今回も『ルポ 児童相談所』というタイトルなんですよ。全く別の文献ですが。
前回はちくま新書さん。今回は朝日新書さんですね。
在学時代は、朝日新書さんにもお世話になったことがありますが、それも『ルポ〇〇』というタイトルでした。そういうシリーズなのかしら。
それから、朝日新書さんの特徴なのでしょうね、著者は朝日新聞社の記者の方です。
私が読んだことのある朝日新書さんの文献のうち、今手元にあるものも、著者は朝日の記者の方でした。
そのため、ほんとに読みやすい。まず、エピソードの見せ方がうまい。さらに、文章のリズム感が小気味よい。読めばすぐに、記者やライターの方だなとわかります。
ただ、ひとつ問題が。ルポとして面白すぎる。
ダメなんですよ!!!私が欲しいのは情報なのに!!
エピソードとしてしっかり起伏をつけて書かれているために、重要なとこだけを抜き出すのが難しい。面白いけど、文献向きじゃなーーい!
今回は、きっちり書き記すというより、軽くメモをとりながら自身の心に収めるのがよいでしょう。それだけで大いに意味はあります。
第一章 一時保護の現場
●包丁を持ち出されて
20代の母親とゼロ歳の隆ちゃんが暮らす家を訪ねた。
ふたりで部屋にあがって母親と話をしながら、ワーカー(児童福祉司)の阿部は、隆ちゃんを抱かせてもらう。
阿部は、母親がもうひとりのワーカーと話しているすきを見て、隆ちゃんを抱いたまま、アパートの玄関口へ移動した。
そっとドアを開け、外で待機していた別の職員に隆ちゃんを手渡す。
うなずき合い、その場を離れたのを確認する。
「隆ちゃんを職権確保しました」
いやや!いやや!と母親が叫ぶ。
母親は台所へ飛んでいき、包丁を持ち出した。
こちらに向かってくるかと思いきや、母親は自分の腹に刃を向けた。
すぐ近くで待機していた警察官が飛び込んできて、母親を取り押さえた。
職権保護を決めた児童相談所はこの日、4人の職員を派遣、不測の事態を考えて警察にも事前に応援を頼んでいた。母親には、事前連絡なしで訪問した。
隆ちゃんについては数か月前から母親の虐待を疑われる通報が入っていた。
母親は未婚で、生活保護を受けている。隆ちゃんを保育園に通わせてはおいなかった。
母親に愛情がないわけではない。ただ、精神的に不安定で、赤ちゃんを死なせてしまう可能性があるとのことだった。
ここ数年、虐待を受けて死亡した子供の6割は、ゼロ歳児であった。
今回のように、子どもが危険な状態だと児童相談所が判断したとき、「職権保護」として、親の同意なしに子どもを強制的に引き離す場合もある。
子どもを守るために親と対立してまで実施する一時保護だが、その後に、親とできるだけ良好な関係を築いて、育児環境の整備や生活などを支援しながら、子どもを家庭復帰させる可能性を探っていかねばならない。
子どもを保護しに行き、親から包丁を向けられるケースはほかにもある。
「母親が子どもの顔を叩いているようだ」と保育園から児相に連絡が入った。
児相は職権保護を決め、保育園から5歳の子どもを保護した。
その後、保護したことを母親に伝えにいった。
すると、女は台所から包丁を持ち出し、自らの腕や首にあてた。
母親の着ている服が切れるのを見たという。
距離をとりながら説得を続け、携帯電話で警察に連絡。
警官が母親を取り押さえて、大事には至らなかった。
●夫婦喧嘩からの脱出劇
「いま夫婦喧嘩をしている。子どもが巻き込まれるから、保護してほしい」
喧嘩をしている真っ最中の母親から、児童相談所に電話があった。
子どもは、3歳と赤ちゃんだという。
ワーカーの阿部と高橋が家に到着すると、母親が赤ちゃんを腕に抱えたまま、ののしり合い、手を出し合っていた。
「連れていくな!帰れ!」と父親がすごむ。
阿部が割って入り、赤ちゃんを抱えて避難する。
父親は、母親の首を絞め始めた。
高橋が止めに入ると、父親が母親にむかってふるったこぶしが飛んできた。
近くに暮らす親類が駆けつけ、仲裁を始めた。警察官も間に入り、なんとは喧嘩はおさまった。
高橋は部屋の奥に入り、3歳の子どもを無事保護した。
●赤ちゃんを置いてパチンコへ
午後5時すぎ、市の担当者から児相に電話が入った。
「赤ちゃんが、家に放置されているかもしれない。どうしたらよいでしょうか」
いきさつはこうだ。
姉が保育園で発熱、母親に電話をかけるも、出ない。
仕事中の父親に確認すると、「妹も具合が悪く、病院にいったはずだが今は母子ともに家にいるはずだ」と答える。
この家庭には、以前にも市が介入していた。姉にあざが見つかり、拳で殴ったことを認めたためだ。
母親が反省し、保育園に見守りを頼んでいたが、再度保育園から連絡を受け、市の担当者が保健師を自宅に向かわせていた。
しかし、不在。この母親は以前、赤ちゃんを置いてパチンコにいっていたこともあった。
必要があれば、子どもは一時保護しなければいけない。
だが、ゼロ歳児は一時保護所では対応できない。
乳児院ですら、難色を示されることは少なくない。
かぜをひいている状態なら、ほかの子どもへの感染のおそれもある。
ワーカーはとりあえず、問題の家へ向かった。
着いたのは、午後7時前。
先に来て家の様子をうかがっていた保育士が駆け寄ってきて、ついさっき母親が帰ってきたのだと言った。
赤ちゃんは中にいた。おむつの状態などから見て、3,4時間は放置されていたと思われた。
しかし母親は、「夫の仕事の手伝いに行っていた。祖母に世話を頼んでいたから、実質1時間半しか放置していない」という。
そうなると、父親の話とつじつまがあわない。
渋る母親を説得し、祖母の電話番号を聞き出し、事情を確認。やはり祖母の話も、母親の説明とは会わなかった。
「児童相談所としては、お子さんを保護する方向で考えています」
とワーカーが伝えると、母親は小さな声で、
「保護なんかされるとお父さんに怒られる」と言った。
かと思えば、「お父さんが帰ってくるまでいてください」と懇願しだした。
一時間後、父親がバイクで仕事から帰ってくる。
子どもが一時保護されたことを知ると、激怒。
部屋に入ってくるなり、手にしていたヘルメットを床に投げつけ、「出ていけ!」と怒鳴った。
1章の内容を読み終えたので、今回の記事は、キリよくここまで。
すべての事例を書き留めているわけではないですが、1章だけでかなり書いてしまいましたね…。
本当によく取材して書かれています。
内容が重たいので、気を抜くと気持ちが引きずられてしまいそうです。
さ、今日はもうひと踏ん張りしますかね。次からは2章に入ります。
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