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⑪-2『死体があった部屋から見えること』

公募小説の参考文献11冊目!
前回の記事の続きです。
(文献情報は、ひとつ前の記事にあります)

以下、文献のメモです!



第3章    罪深き死

ケース1 凄惨!首つりの現実

まだ20代の若い男性。
残暑が残る9月。天井の梁にロープをくくりつけ、首を吊って自殺。

部屋に入り、大家さんが見たのは床の上にごろんと転がった頭と、首なしの胴体。
腐敗が進んだ首つりの死体は、自重で首のところから切断されてしまったのだ。

 ◆自殺2週間の惨状

その後、セントワークスの作業員が入ったときには、警察の手によって死体は片付けられていた。
ロープには皮膚や体液が付着、ロープの下には腐敗液が溜まる。

人が首を吊ると、鼻や毛穴などから血や体液など、ジェル状の赤いものが流れ出してくる。
その現場は、死体が発見されるまでに2週間もたっていたため、腐敗臭が茶褐色に変色し、固まりつつあった。
切断された頭部が転がっていたためか、部屋の片隅には髪の毛がぞろっと落ちていた。
押し入れの中にも腐敗液がべっとりついており、首が取れた胴体が床に落ちる前にぶつかった痕だと思われた。

首つりの自殺は、首がしっかり閉まれば確実に、そしてあまり苦しまずに死ねると、自殺志願者には人気の高い方法らしい。
が、現場は汚れ、悪臭を放つのが現状。


ケース2 腹割自殺の惨劇 

◆目に刺さる悪臭

ご遺体は、二度にわたり文化包丁で腹を切り裂いて亡くなった。
死後二週間、八月半ばだった。

室内に足を踏み入れた瞬間、ガンっと頭を殴られたような悪臭。
硫黄泉の温泉場で目がしょぼしょぼするが、その硫黄泉の十数倍はあろうかというような刺激。

普段は近隣の迷惑になるためやらないというが、その時だけは窓を開けて作業したらしい。

 

ケース3 ありえない光景

◆吹っ飛んだ幸せ

「義理の弟が家で自殺しました。現場検証が終わったので来ていただけないでしょうか」と男性。
自殺現場は、新しい二階建ての一軒家。庭には花壇や家庭菜園。
猟銃の散弾銃で、自分の頭を吹っ飛ばしたのだという。

故人が引き金を引いたのは、大きな液晶テレビの前。
顎の下に銃口をつけて引き金を引き、銃弾は口の中を通り、脳天を貫いた。

天上には直径20cm程度の穴。周り3メートル範囲には、散り散りになった頭皮がへばりついている。
天上にへばりついた頭皮の一部には長さ5センチ程度の髪の毛が生えたままの状態。
頭皮の間には、ベージュ色をした脳漿や血液が飛び散り、赤と白のマダラを描いている。
床、壁、窓、その他家具もそのような有様。

 人間の脳は、まるで魚の白子のよう。
そのとろりとしたものを、スプーンですくって清掃したという。

 凄惨な現場ではあったが、清掃自体は楽なもので、12時間程度で汚れはおとせたという。

 

第4章 孤独死――この国の現実

 ケース1 後を追っていったおじいさん

◆人形のシルエット

70代前半のおじいさんが病死した。
季節は8月。発見されたのは、死後2週間後。
おばあさんが先立たれていて、親戚が3回忌の打ち合わせに来たところ、亡くなっていたのを発見したという。

 現場には、畳の上にくっきりとうかびあがった人形のシルエット。
両手両足が黒く変色し、頭があったとおぼしきところには、入れ歯が転がっていた。

 腐敗液は万年床からややはみ出すように広がっている。
そして、腐敗液はドロドロの状態で、茶褐色のスライムのよう。

 

◆腐敗液の掃除の仕方

火鉢の中にあるサラサラの灰“ワラ灰”を使って清掃のようにをする。
時には、消石灰(消灰石になってたけど、たぶん誤字だと思う)とおがくずを使用する。
体育の授業のライン引きに使うやつ。

腐敗液の上にばらまくと、粉が液を吸い上げてグミのように固まるため、ちりとりで集めてみ箱に捨てる。こうなると、腐敗液はさらに猛烈な悪臭を放つため、ごみ袋にしまい、すぐに閉めておく。

 

ケース2 トイレのパイプに“移植”された髪の毛

◆浴室とトイレの危険

風呂場で亡くなるケースは特に冬場が多い。
脱衣所で冷え切った体で熱いお湯につかると、急激な温度変化により脳溢血を起こす。
また、トイレでは「いきみ」が原因で、頭の血管が切れ、昏倒してしまう。

 そういった密室だと発見が遅れてしまう。


6月半ば。マンモス団地の4F。
故人は、2LDKで一人暮らしをされていた60代半ばの女性。
連絡をなさったのは、亡くなった女性の息子さん。お母さんと同居せず、自分の家族と一緒に別の場所に暮らしていた。

発見したのは近隣住民で、ドアの下からぞろぞろ出てくるウジ虫をみて、警察に通報した。
警察の立ち合いのもと室内に入ると、室内で変わり果てた姿で発見。

死後5日だったが、熱く締め切った室内で腐敗が進んでいた。

 

◆ヘラとタワシで清掃

現場のトイレは洋式。脳内の血管がぷつんと切れた瞬間にショックで上半身が後ろにひっくり返り、後頭部を後ろの排水パイプに強打したらしい。
パイプにはどす黒いコールタールのようなシミと一緒に大量の髪の毛がべったりとついている。
梅雨の気候と、密室された環境により、頭皮がずるりとむけてしまったようだった。

 足元のウジ虫たちに殺虫剤をかけて足場を確保する。
パイプは、お好み焼きやもんじゃ焼きでつかうようなヘラとステンレスの金ダワシで塗装もろともこそぎ落とした。

 

ケース3 親兄弟の明暗

 
死後2か月半立った現場。中に入ると、ご遺体があったと思わしき場所には、腐敗液で人形が形成されていた。

そのシルエットから部屋の隅に置かれていたタンス、その裏側まで腐敗液が染みており、それが天井の高さまで到達していた。

腐敗液はつやつやと黒光りし、まるで長い間こびりついた油汚れのよう。親指の腹で押せば、くっきりと指紋が付きそうなくらい。

 

 

第5章 ゴミ屋敷――現代の病理

ケース1 ゴミとトイレと日本刀

◆流さないトイレ

公衆便所で、黄色い帯がこびりついた小便器を見ることがあるが、その帯が1センチほど盛り上がっている状態。強いアンモニア臭。
ハツリ用のコテでがりがりと削る。

通常、トイレ掃除は市販のトイレ用洗剤を使う。
市販のものは優秀であり、むしろ強すぎるものを使うとトイレや床を傷めてしまうためだ。

しかしこの現場では、1リットル入り、35パーセントの塩酸二本を使った。

ちょろちょろと塩酸をかけ、汚れが徐々にやわらかくなり、浮いてきたところを見計らって、ヘラでがりがりと削る。便器に傷をつけるわけにはいかないため、この作業を丁寧に繰り返す。

お客さんへの放棄置くように、ビフォー・アフターの写真をデジカメで撮影した。

 

ケース2 他人のせいにする住人たち

◆「汚したのは妹です」

依頼人は、看護師の女性。
ビニールに入った生ごみ、カップ麺の残骸、食べかけのコンビニ弁当、こぼしたジュースやビールなどのシミ、残飯などもいたるところに残っており、くるぶしくらいの高さまで積もっている。

床は見えず、ごみを踏みしめたような獣道の通り道ができている。
部屋の中は、饐えたようなにおいが充満。
しかし、ベッドの上を見ると、彼氏らしい人が寝泊まりしていたような形跡がある。

「妹に部屋を貸していたら、こんなに汚くされてしまって……」
部屋が汚いことを、人のせいにするパターンはよくあるらしい。

 

◆水道のない洗濯機

新品洗濯機の搬入を手伝った際の部屋が強烈だった。
玄関を開けて出てきた女性は、かなりの美人。
ドアを開けると、強烈な猫のおしっこの臭い。

いたるところの壁紙がはがれ、布団は牽きっぱなし。
男女物の下着、缶コーヒーの空き缶、吸い殻が山になった灰皿、ファッション雑誌や漫画が散らばっている。

短パンTシャツの男が退屈そうにタバコを吸っていた。

 

ケース3 現金のみの取り扱い

◆ささやかな安らぎの空間

お客さんは30代女性。
電話で事前に部屋の様子を聞き取りし、大体3、40万円と見積もったものの、実際訪れるとはるかにごみの量は多かった。

生理用ナプキンが散らばり、大きいポリ袋、衣類、お菓子の空き袋などが山になっている。傍らには子供の姿。

ゴミだけでざっと4トントラック2台分。七十万弱はかかりそうだった。

 

ケース4 ゴミに埋もれたお金とエログッズ

◆丼いっぱいの小銭

若い2,30代のごみ屋敷で見かけるのが小銭。
徐々に床や畳が見えてくると、なぜか十円玉や五円玉などの小銭が出てくることが多い。

整理しながら、不要となった丼や箱などに入れてためておく。丼に集めたら、3杯分になることも。

 

第6章 遺品は語る――浮かび上がる生前の姿

ケース1 老人の哀しき性

◆絶縁状態だった家族

春の終わり頃。半年以上入退院を繰り返していた父親(70代)がなくなったから、遺品整理をお願いしたいと、故人の息子さんから依頼の電話があった。

息子の妻は遺品をひきとりたくないというため、すべて不用品扱いに。
敷きっぱなしだった万年床のまわりには、ポットや新聞、薬の空き袋などが散らばっている。

だが、その部屋で亡くなったわけではないため、部屋はきれい。
これなら時間は、せいぜい2時間というところだった。

押し入れの奥の段ボール箱から、大量の写真集が出てくる。
日活ロマンポルノ全盛期の女優や、かつてアイドルいまは演技派女優になっているタレントのヌード写真集などだった。

 

◆広島から来た姉

秋に差し掛かった頃。マルトクの清掃。
故人は40代後半。会社勤めはしておらず、生活保護を受けて暮らしていた。

自宅で、インスリン注射を打っていた模様。

家に引きこもり、表へ出るときは病院へ行って人工透析のみ、というような日々だったと推察された。
近所の人が異変に気が付き、通報。県外に住んでいたお姉さんが、慌てて駆け付けた。

警察により、遺体が運び出された後。お姉さんは、ネットで近くの遺品整理業者を探し、依頼の電話をしてきたのだった。

音沙汰のなかった親類が自宅で亡くなり、その後片付けをしなくてはならなくなったケースの場合、“見積もり即作業”で依頼されるケースは少なくない。

現場の臭いはきついが、腐敗はそれほど進んではいなかった。

間取りはワンルームで、布団が牽きっぱなしの万年床状態。
押し入れを開けて遺品整理を進めていると、エロ系のDVDが大量に出てきた。ざっと見積もって100枚以上。ミカン箱サイズの段ボールに二箱ほどになった。

 

◆貧しきものの見方、保存食

特に依頼人の貧富の差を感じるのは、食品類だという。

特に貧しい側の家庭だと、よく出てくるのは、インスタントラーメンや春雨、干しシイタケなどの乾物類。梅干し、梅酒、蜂蜜の瓶がやたらに出てきたりする。
製造年月日が昭和のレトロなインスタントラーメンなども出てきたりするそう。



以上です!
あと1冊分まとめをあげたら、今晩のノルマは終了です!!
では、次の記事でお会いしましょう!

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