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相談(16)環境の変化が大きい春。子どもに、どう声をかける?

今回の記事は、言葉の教育に携わるメンバーで構成される
「子どもとことばの教育ラボ」でのライブインタビューをもとに
内容を再構成してお届けします。

回答:かわてみか(み)
インタビュアー:高田ともみ(と)・永田盛香せいこ(せ)
(※ともに「子どもとことばの教育ラボ」管理人)

(構成:高田ともみ)


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テーマは、「環境の変化が大きい春を心おだやかに過ごすには?」。
引っ越しや進学・進級、就職。
心が揺れやすいこの季節、親子で心地よく過ごすにはどうすれば? 
2回に渡ってみかさんに相談に乗っていただきました!

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:みなさまこんにちは。今月のライブインタビュー「私とことば」では、女性と子どものメンタルコーチとして活躍する、かわてみかさんをお迎えして、”春らしい”テーマでお届けしたいと思います。

早速ですが、実は個人的には春ってすごく揺れやすいんです。希望を感じる一方で、環境の変化も大きくて感傷的になってしまったり。この時期、相談も増えるのではないですか?

:そうですね。この時期は子どもの調子が悪いとか、様子が変わってきた、荒れてきた、というような相談がけっこう多いですね。

:やっぱり、子どもにも影響があると考えた方がいいんですね。

:はい。ときどき小学校の就学前健診などで講座をさせてもらうことがあってお話することなのですが、この時期ピリピリしているのは子どもたちだけじゃなく、親や先生方もなんですね。

先生は卒園式の練習があったり、次の代にいくために「この子たちを育てないと」っていうプレッシャーを感じていらっしゃる。それを子どもたちが察知して、ストレスを感じたりすることもあると思うんです。子どもも「自分も頑張らなきゃ」って思うでしょうし。

:そういうとき、家庭でできることって何でしょうか?

:うちの子はけっこう繊細で、そうしたちょっとしたストレスで”固まる”タイプだったんですよ。もう何もしない。ぼーっとしてるとか、ゲームに没頭して他のことに何も手をつけない。親は心配になっちゃいますよね、なんとかしなきゃと。

でも、そこを何とかしなくては、ではなく、「そうだよね、今しんどいよね」っていう目で見てあげるだけでもすごく変わってきたと思います。

:実際に声をかけたりするといいんでしょうか?

:以前は根掘り葉掘り何がダメなのか、何が嫌なのか聞いてたのですが、そうやってもなかなか話してくれなかったり、「何もないよ」みたいな返事しか返ってこないんです。だから、今は、本人が話してくれるのを待つようになりました。ぽろっと何か言ってくれるのを待っていますね。

:確かに、聞いてもらえるって思えるだけでも、安心しますね。

:そうなんです。「大丈夫なの? それで一年生になれるの?」とか言っちゃうと、本人もなかなか言いづらくなってしまいますよね。

:そうすると、家の中では子どもに話してもらいやすい工夫をしておく必要がありますね。

:そうですよね。でも何かしなきゃっていうよりは、例えば、親がテレビ見てガハハって笑ってるとか(笑)。「失敗しちゃったテヘ」、みたいな雰囲気を親が出しておくといいと思います。そうすると、子どももゆるんで、話してみようかなとなるかもしれない。

ちょっと言ってみただけでホッとするとか、もうどうでもよくなったとかって、大人でもよくありますよね。「しんどいんだー」って聞いてもらうだけで解決することって、子どもにも同じようにあると思います。

:でも、子どもって話してくれても、言ったことすぐ忘れるじゃないですか。親としては、毎回すごく親身になってしまうんだけど、真に受けすぎなのかなって思うことがあります。

子どものことは、片目瞑ってみるくらいがちょうどいいですね(笑)。子どもって、言葉と気持ちが一致してないことってあると思います。友だちと喧嘩して帰ってきたりすると、自分をものすごく被害者ぶって言うけど、よくよく聞いてみたら我が子も結構悪いことしてたりする。話半分くらいに聞いておいても、本人は十分聞いてもらったって感じると思いますよ。

:わ、いま気づきましたが、「子どもの話を話半分で聞く」ってことに罪悪感を感じてる自分もいますね。

:わかります。でも、わたしたちでも、一生懸命聞いてくれる人には、かえって言いづらかったりしませんか?でも、サバサバと「大丈夫よ!」って言ってくれそうな人には相談したりする。

:それはある! 私も母がいい意味ですごく想って子育てしてくれたなって感じがあるんですけど、だからこそ心配かけまいというのがあります。春だからって取り立てて声かけを工夫しなきゃって思わずに、お互いゆるんでおくことが大事なんですね。

:ただでさえ、デフォルトが緊張なんです、春って。寒暖差があるから、体もそれに一生懸命対処しようとする。春は、意識だけではなく、体も頑張っているんですね。だからこそ、安心するとか、ほっとするとか、「ゆるむ」にぜひ意識を向けてほしいです。

:例えばどんなことをすると「ゆるむ」につながりますか?

:おすすめしているのは、見通しを立てることですね。先のことを知っておくことって、安心につながるんです。例えば、今度進学する学校に、一回行ってみるとか。ホームページがあるなら一緒に見てみようとか。自分に情報を増やすんですね。

私が関わっているお子さんは不安がすごく強かったりするので、実際に教室に行って写真を撮って見せてあげたりするといいですよ、とアドバイスすることもあります。靴箱の写真や、どうやったら教室まで行けるのかなどを、見せてあげる。見通しが立てば、どう行動したらいいかわかるので。

:うちはまさにこの春、引っ越しと娘(8歳)の転校があるんです。進学前に、一度学校に挨拶をと思っているんですが、その時に校内とか見せてもらおうかな。


(2へ続く)


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