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映画『RRR』を見て

『RRR』という映画が偉くおもしろいという噂を聞き、遅ればせながら見に行った。

声出し・踊りOKの特別上映もあるとのことで、どんな映画なのかイマイチ検討がつかないまま映画を見に行った。


映画を見た一番の感想は、こんなパワフルで楽しい映画があったのかという驚きと感動だ。

なぜかわからないが、映画が終わった後もドキドキして、もっとこの二人を見ていたいという願望が私を支配し、今にも駆け出したい衝動が駆け巡った。

そして、私はインドという国を知った。

今の日本に、こんな楽しくて明るくて元気の出る映画が作れるなんて思わない。

インドって、未来がある国なんだろうと思った。

羨ましくもあり、脅威でもあった。

そして、あの俳優二人の名演技と言ったらない。

親友でいるときのあの表情は、観客全員を魅了し、愛着を持たせるあの目と笑顔。むっちりした体つき。

一方、戦闘シーンではそれとは打って変わってあの鋭い眼光からは揺るがぬ肉体と精神の強固さを感じる。

踊りと音楽とはまたこれもダイナミックで、一観客でありながら、思わず手拍子と足踏みをし、時には声を出して歌いだしたくなるような魔力を持っている。

あれほどにまで観客を包み込み、会場が一体となって二人のエネルギーに飲み込まれていく映画は他にない。

母親の殴死シーンやむち打ちのシーンなど、心が締め付けられ、目を閉じたくなるようなシーンを観客がじっと我慢してみていられるのは、この物語への限りない探求心と、この二人の主人公に対する溢れ出る愛着があるからだろう。

あまりにもめちゃくちゃだと思う点は山のようにあるが、あの勢いとパワーで観客を納得させ、終わりに向かって突き進んでいく映画の姿は、目まぐるしかった。

そして、最後のエンディング。

これだけ観客を満足させることができる映画があったんだ。

これだけにも観客の目をキラキラさせられるエンディング、映画があったんだ。

映画館が明るくなった瞬間、自然と拍手をしていた。

見ず知らずの隣の観客と、目を見合わせて、思わず抱きしめあいたくなるような情熱を私たちに宿してくれた。

映画というのは、こんなにも人にエネルギーを与えることができるのか。

しかし、悲しいことに、今の日本にはこんな映画を撮ろうと思う人も、演じられる人もいない。

私ははじめてグローバル化の意味を知った。

グローバル化とは、情熱を伝播させることであり、インドは、世界を引っ張っていく国なのだと感じた。

今もまだ、心がインドから帰ってこない。

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