キャンプ場の友達
(約1000文字)
キャンプに行くと初めて会う子供同士でも、すぐに遊び始めることがある。
駆け回ったり、松ぼっくりを拾ったり、探検したり、お菓子交換したり、お互いの技を披露したり、伝授したり、、、。
そして、撤収の日、
またね
と、さよならの挨拶をする。
お互いちょっと目元が赤かったりする。
そんな訳でお菓子はいつも個別包装のものを持って行くのだが、、、。
残念ながら今回の年越しキャンプでは、「お友達」はできなかった。
日の入りが早いこの冬の時期、遊ぶ時間帯は限られてくる。
チェックイン後、家族皆んなで設営にとりかかり、4時半過ぎには日が沈みすぐ夕飯となる。
日の長いオンシーズンであれば、夕飯後、遊びに飛び出して行けるのだが、、、。
一泊であれば翌日は早朝から撤収準備となる。早いところでは10時にはチェックアウトだ。
今回我が家は3泊頑張ってみたのだが、そもそも長めの逗留は、歴戦の勇者のような年配の方々しかいなかった。
子供達の集団が出来上がるくらいいたら、設営も撤収も、お手伝いなぞおっぽり出すものだが、そもそも冬のシーズン、子供が少ない。
撤収当日、私は朝から余裕がなかった。
いやな感じの雲が迫っていたのだ。
子供がトイレから戻ってきたが、
いつもと違っておとなしい。
シュラフを収納バッグに押し込みながら
どうかした?
と、聞いてみた。
うーん、、、。
なんだか歯切れが悪い。
ん、もう!シュラフ入らねぇー
溢れ出てくるシュラフをゲンコで戻しつつ、子供に促してみる。
何、どうした?
、、、ポツポツと子供が語るところによれば、、、
トイレで同い年くらいの子に、ばったり会ったそうだ。
しかし、その子はじぃーっとうちの子の顔を見ると、なぜだか固まったようになり、結局、言葉も交わさなかったらしい。
う〜ん?
メデューサかいな〜
私はやっと手を止め、こんな感じ、と言った我が子の顔を、その時初めてちゃんと見た。
そして、私も固まった。
その目を見開いた様子、、、よりも
鼻口から一筋、血が垂れていた。
鼻血、出てる!
慌ててティッシュで押さえながら、思った。
そりゃ、いきなり鼻から血を垂らした子が目の前にいたら、誰しもびっくりするだろう。
子供なら尚更だ。
しかし、うちの子は、
なんだ、鼻血だったのか〜
と、なんだか嬉しそうにカラカラ笑った。
そして、仲良くなった兎とフクロウにお別れの挨拶をしてくる、と飛び出して行った。
私は、シュラフとの格闘に戻った。
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