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「変わっていたい私」と「変わらない君」


昨日、久々に1日中動き回ったからなのか
何度か目を覚ました記憶はあるものの、結局、昼過ぎまで眠っていた。

少し前までは、眠っているときに夢なんて全く見ることがなかった。
それくらい「眠る」ということに没頭していた。

けれど、最近はよく夢を見るようになり
目が覚めていたとしても、夢の余韻に引きずられる。

どんな夢だったかは、ほとんど覚えていない。
けど、良い目覚めではないことは確かだ。
お腹の底のほうから何とも言えない感情が押し寄せてくる。

鉛のように重い身体をベッドから起こし、
顔を洗うために向かった洗面台の鏡に映った自分の顔をみてつぶやいた。

「最後に、心から笑ったのっていつだっけ…」

いつの間にか、私は笑い方を忘れていた。

そのつぶやきに答えてくれる人もいない。
こんな生活にも、もう慣れてしまった。

私は顔を洗いながら、
さっきまで見ていた夢を思い出していた。

見た夢の内容というよりも、
ある瞬間だけが鮮明に記憶に残っていたのだ。

中学の頃、兄弟のように仲が良かった男の子が目の前に立っていて
どんな内容だったのかわからないけれど、
何かに固執して、周りと溝を深めてしまった私に

「本当、お前のそーゆーところが、心配なんだよ」

そう呆れているのか笑っているのかわからない顔で
けれど、とても優しい眼で私を見ていた。

なぜ彼だったのか
なぜその瞬間だけ覚えているのか

全く見当もつかないけれど、
ただいつも夢から覚めたときのような後味の悪さはなく

すごく温かいものが私を包んでいた。
初めてではない、どこか懐かしい感覚。

しっかりと働くようになった頭で、少し思い出してみると
そういえば、彼はいつもあんな顔をして、あの瞳で、
すぐに敵を作ってしまう私を見ていたような気がする。

夢のようにはっきりと想いを口に出すことはなかったけれど
それでもいつも、彼の温かさに救われていた。

幼かった私は、そのことに気付くことなく、
クラスの女子の中で、自分の孤立が深まっていく中
彼のことすら、信じられず、心を閉ざし始めた。

「私は1人なんだ。でも、1人でも、生きていってやる」

はっきりとした記憶ではないけれど
あの頃の私は、そんなことを強く心に決めていたような気がする。

今と、同じ。

仕事に対しての情熱を見失い、職場の人たちと距離をとり、
全て自分で選んだこととはいえ、孤立を感じずにはいられない今。

「私は1人なんだ。でも、1人でも、生きていってやる」

そう、肩に力を入れていたような気がする。

約15年前、そうやって肩に力を入れていた私に、
唯一、彼が言葉にしてくれた想いがあった。

「そんな辛そうな眼して、笑うなよ」

その先のことはもう、覚えていないけれど
今、その言葉をかけられたら、間違いなく涙腺は崩壊してしまうだろう。

 

私、また無理、してたんだ。

 

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