見出し画像

「理外の理や演出が過小評価されているのでは?」という本を読んだ

『欲望の錬金術―伝説の広告人が明かす不合理のマーケティング』を読んだ.広告業としての人々の不合理な行動を観てきた著者が,近年の「エビデンス主義」や「認知バイアスは避けるべき欠陥」とみなす流れに対して,「よくわからないが上手くいくこと」もあることや,「不確実な世界で生き残ってきた人類の,社会的知性を無視しすぎているのでは?」といった意見をぶちまけていて面白かった.


参考になった点,大きく3つ.

1.エビデンス主義に対する注意

「あらゆる解決策には,論理的根拠があるべきだ」という思想に対し,「合理的な行動に,合理的な動機や理由は必要ない」し,世の中にはプラシーボ効果のように,「よくわからないが上手くいくこと」もあるし役に立つと注意している.

2.「物理的な現実」と「心理的な現実」は違う.「心理的な現実」は文脈依存である.

人の行動を考えるときには文脈を無視してはいけない.たとえば,社会的な文脈では「10x1と1x10は違う」.一度に10人採用するのと,1人ずつ10回採用するのは違う.一度に10人なら多様性を重視しするが,1人ずつならその時点での適応度を重視する.

3.「心理的な現実」を「演出」するアイデア

「心理的な現実」をいかに「演出」できるかというアイデアが,具体例を通して紹介されている.(「アフォーダンス」「おとり効果」「シグナリング」「不確実性嫌悪」「プラシーボ効果」「自己プラシーボ」「イケア効果」「焦点錯覚」など)

おわりに

本書を読んで,「理外の理」や「演出」を軽んじていたなと反省した.よくわからない儀式や慣習.自分のテンションを上げてくれる,相棒の道具とか勝負服といった演出.よくわからないが人生を豊かにしてくれるものってあるな.なんかディズニーって感じだ.ディズニー成分が欠けてたな.



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?