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生徒から卒アル回収!?2003年の超ブラック学習塾の実態、暴露します。

20年前、私は塾講師だった

私は今年で42歳なので、社会人生活20年目だ。

新卒の頃は遂に80年代生まれが入社するとか松坂世代が入ってくるとか若さを驚かれたものだが、今となっては00年代の新卒すら居る状況なので逆に彼らの若さを驚く立場になってしまった。

20年も経つと世の中も変わる。当時は当たり前だと思っていたことが今ではとんでもないことだ。

当時使っていたPCのOSはWindows98だったし、今では化石の象徴として語られるフロッピーディスクには自宅で作成した小テストが1.4メガバイトの中にギッシリと入っていた。

福島の学習塾で悪戦苦闘する自分が居たからこそ今が有るわけだが、太古の昔の経験過ぎて自分の糧になっているかも大いに疑問だ。

ということで今日は当時勤めていた学習塾で本当に行われていた、今では絶対に出来ないことをいくつか紹介したいと思う。

深夜0時にチラシを600部ポスティング

学習塾の社員になると授業をしているだけではなく運営に関するあらゆることを行う。生徒に配布するテキストを準備したり、公的機関でテストのための会場を予約したり、とにかく様々だ。

そんな中で最も重要と言えるのが入会活動だ。

生徒に講習会に来てもらうために夏や冬の前には説明会は勿論学校の前でチラシ配りも行う。この程度ならまだわかる。

驚いたのは、先生と言われる人物がポスティングまですることだ。しかも授業が終わった後に日付が変わったところからが勝負なのである。

人が通っていないことを確認し「ポスティング禁止」という掲示が無いことを確認して素早く上から順に投函しまくる。

なんだこれはと思いながらもポスティングを行った地域から翌日に問い合わせが掛かってくる。とんでもない時間に肝を冷やしながらやっていることなので、苦労が報われたような気がして嬉しかった。嬉しいと感じることも異常なのだが当然本人はそのことに気付いてはいなかった。

生徒の卒業アルバムを回収

苦労の甲斐あって講習会に来てくれた生徒に囲まれる中で授業を行うと、朝9時から夜9時まで立て続けとはいえ充実感がある。

講師というのは授業が一番楽しいのである。日ごろのストレスを授業で晴らすと公言する職員も珍しくはないし、私だってその中の一人だった。

ただ、ここで一つとんでもない指令を受ける。全てのクラスの生徒に卒業アルバムを持参するように依頼するのだ。

目的は、そこに書かれた卒業生の住所と電話番号である。

福島市の少年少女は純粋なので、こんな頼みでも応えてくれる。持参してくれた卒業アルバムをコピーし、ゼンリンマップに生徒の家をマーキングする。

そして次回の講習会前にそれらの家庭を訪問し、学習塾の勧誘を行う。

ちなみにここで得られなかった住所情報については市役所に出向いて有料で住民基本台帳を閲覧し、1件ずつ手書きで補完していくことになる。ちなみに現在これは厳しい制限がかかっているのでご法度になった模様である。

面談という名の洗脳

2003年当時、地方だと夏休みや冬休みだけ授業を受けに来るような生徒が多かった。

川崎育ちの私には全く理解できなかったが、どうやら地方だと当時でも毎週塾に通うというのは経済的になかなか難しいところがあったらしい。

ただ講習会は安めの価格設定にしており、学習塾としてはこの機会に生徒を味方に付けて親を説得しどうにか入塾させたいわけである。

実に不思議な現象なのだが、生徒は塾に行きたい、親は行かせたくないということが頻繁に発生するので、親を説得させるための材料を講師が持たせることになる。

講習にしか来ない生徒に対して講師陣はスケジュールを組み、合計で3回の面談を行う。今後も継続して塾に来たいかを質問し、来られない場合はその理由を聞く。

経済的なことを建前に断られたとしたら、志望校と現在の成績の乖離を見せ、現時点で不足している分が一人で埋められるかを聞く。塾の質の高い授業を受けている生徒にこのままでは差がつけられてしまうと入れ知恵をする。

そして次回また同じことを聞き、親を説得できたかを尋ねる。大人にこんなことを言われると次第に生徒の方が折れてくるので、旗色が変わってくるケースが増えてくる。

面談という名の洗脳によって、生徒を説得する。
こんなことを我ながらよくやっていたものだ。

20年前のブラック学習塾の経験があるから

果たしてあの学習塾は今もなおこんなことを行っているのだろうか?

当時から個人情報保護やポスティングが迷惑行為であるという認識は社会的にもあったように思うが、組織の中に居ると感覚がマヒしてくるようで良心は疼くものの最終的には流されていた。

こうして人はボーダーラインを越えてしまうのかと思う。今では「コンプライアンス」という言葉があり、誰でも動画を録画してYoutubeにアップロードできてしまう時代なのでこのようなことをした場合に痛い目に遭うのは企業の方だ。だから今同じことはしづらいと言えると思う。

こういう時代を生きた最後の世代として、人に見せてはいけないことを隠れて行うようなことはするまいと改めて思った次第だ。

しかしこの方法がNGだとしたら今どうやって生徒たちを説得し、入塾してもらっているのだろうか?それだけは気になる。

次回予告:何故選挙に行くことが嫌か考えたら、したり顔の奴と暑苦しい奴のせいだった話

日曜日に選挙でしたけど、選挙って本当に行きたくないんですよね。

いや、行きますよ。行くんですけど、なんだかこう、気乗りしないんですよ。

我ながらなんでかなぁと考えたら理由がありました。そうか。そういうことだったのか。

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