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枕五味 makuragomi
2019年1月12日 21:00
これは昔のお話です。ある国に玩具職人の男が居ました。男は玩具で子供の笑顔を作る仕事に誇りを持っています。しかし、新しい玩具の木馬に、もう一工夫欲しいと考えウンウンと悩んでいました。朝から夜まで悩みます。立派な満月の夜も、月を眺めながら悩んでおりました。不意に、月から欠けらが数個落ちてきました。職人の男は大変驚きました。だって月か何かが落ちてくるだなんて初めてみる光景だったからです。考え
2019年1月12日 00:15
ある満月の日の夜、僕を乗せた小舟は小さな岩礁にのりあげていた。僕は親と喧嘩し、躍起になって舟を沖に出したが、岩にぶつかったせいで舟に穴が空いてしまい、乗ることができず、また親に助けを求めるのも憚られ、独りぼっちで夜を過ごしていた。その日は満月で、どんどんと海の水位が上がって行く。僕は狼狽えていると、自分のいる場所からすぐ裏手に誰かの気配を感じた。ポロロロンと艶やかな弦楽器の音も聴こえてきた。