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そもそも「団結する」とはどういうことか?

今日は『ソーシャル物理学 - 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』(著:アレックス・ペントランド)より「エンゲージメントを可視化で調節させる」を読みました。

組織のパフォーマンスの違いの50%は「交流のパターン」で説明することができる。交流のパターンを可視化して、メンバーにフィードバックを与えることで情報とアイデアの流れを変え、集団的知性を高めることができます。

また、エンゲージメント(繰り返される協調的交流)が成功するためには、対面でのコミュニケーションが重要であり、個人個人が枠の外に出て自律的に情報を探索し、持ち帰って密に共有する。いつも決まったコミュニティやメンバーの中にいると情報やアイデアの流れが滞ってしまうのです。

良いアイデアの流れを生み出すことが難しい場合もある。たとえばまったく異なるバックグラウンドを持つメンバーによって構成されているグループや、複数の言語が使われているグループのようなケースだ。この問題に対処するために、私の研究チームは、エンゲージメントに関するフィードバックを視覚的な形でリアルタイムに提供し、さまざまなタイプの職場のパフォーマンスを高める仕組みを開発した。このようなリアルタイムでの表示を人々に活用してもらい、より良い交流パターンを形成するのに必要な社会的知性をもたらすことで、生産性の向上や創造的な成果の改善を図ろうというのである。

異なるバックグラウンドのメンバーが集まるプロジェクトではメンバーの相互理解が不可欠です。自分のアタリマエが相手のアタリマエであるとはかぎりません。そのような状況では、自然発生的にどのような交流のパターンが生まれるのでしょうか。

「話が合わない」と思い距離を置いてしまう。あるいは「興味深い」と思い特定の人に交流が集中してしまうこともあるかもしれません。だからこそ、交流のパターンに関するデータを集め、可視化によるフィードバックを行うことはたしかに有効かもしれません。

地理的に分散したグループがミーティング・ミディエーターを使用した場合、最も顕著に表れる変化は、1分間あたりの発言回数の増加と、メンバー間の発言回数の平準化である。つまり短い発言が増え、メンバーの誰もがディスカッションに参加するようになり、会話を独占する人物がいなくなるわけである。

ミーティング・ミディエーターとは著者が開発に携わった交流パターンの測定装置です。装置を通して収集したデータを分析すると、コミュニケーションのパターンが浮かび上がってきます。

フィードバックを受けたメンバーは、足りないネットワークを強くするため、相手の話に耳を傾けようとします。交流に使える時間が有限だとするならば、「発言機会の数」と「一回の発言あたりの情報量」が両立することで個々人持っている情報やアイデアが、全体に行き渡ってゆくのです。

「自分ばかり話してしまったな」と振り返ってみる。その振り返りを次の交流につなげる。地道ですが、日々実践出来ることかもしれません。

実際に、グループ内の行動にこうした変化が起きることで、期待通りのパフォーマンス向上が生まれる。研究室内の実験では、地理的に分散したチームがミーティング・ミディエーターを使用することで、協力のレベルを大きく改善できただけでなく、対面でのグループと同じ程度にまで向上させることができた。さらにメンバーに対し、信頼感や仲間意識といった感情を抱いているか質問したところ、こちらも対面でのグループの場合と同程度にまで改善されていることが確認された。また会話の筆記録だけを見た場合は、研究者はどちらのグループの方がより協調的に行動しているか、また高い信頼感を抱いているか、判別することができなかった。重要なのは彼らが何を話しているかではなく、どのようなエンゲージメントを実現しているかなのである。

重要なのは「何を話しているのか」よりも「どのように交流しているか」ということ。対面でのグループでなくとも、エンゲージメントは高めることができる。また、交流のパターンが心理的な安全性、信頼感を醸成することにつながっている。これは自分の実感に照らし合わせても的を得ているように思います。

団結力という言葉は便利ですが、「そもそも団結力とは何か?」と問われたら、それこそ「交流のパターン」「エンゲージメント」ということになります。要点をまとめて簡潔に伝える。その積み重ねが個人の中で消化されて、新しい発想のタネになる。そのようなことを思いました。

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